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米労働市場は、従来の想定以上に軟化している。米国のエコノミストらは、FRB(連邦準備制度理事会)が利下げペースを加速させ、その幅も大きくなるとみている。ブルームバーグが実施した最新の月間調査で明らかになった。8月の調査では、エコノミストらは失業率が年末までに4.4%でピークを付け、2025年半ばまで同水準で推移するとの見通しを示した。

 

前記の調査では、政策金利が年末までに0.75%の引き下げを予想している。7月調査では0.50%の引き下げを見込んでいた。8月調査では、25年から26年にかけて金利低下ペースが速まると予想している。

 

『日本経済新聞 電子版』(8月24日付)は、「米フィラデルフィア連銀総裁『年内の利下げ23回に』と題する記事を掲載した。

 

米フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は23日、米連邦準備理事会(FRB)が9月から年内に23回の利下げを実施するとの見通しを示した。1回としていた従来の予測よりペースが速まるとの見解だ。ジャクソンホール会議が開かれた米ワイオミング州の山荘で、日本経済新聞の取材に応じた。

 

(1)「米連邦公開市場委員会(FOMC)は3カ月おきに参加者の経済と政策金利の見通しを集計し、匿名で公表する。FOMCに参加するハーカー氏は前回6月の見通しで年内1回の利下げを予測した。ハーカー氏は「6月は1回か2回かで迷ったが、いまは2回と3回の間だ」と説明した。パウエル議長は同日朝の講演で9月の利下げ開始をほぼ認めつつ、その後の利下げペースは明らかにしなかった。金融緩和に消極的な「タカ派」として知られるハーカー氏の予測変更は、ペースが6月の見通しより速くなるが、市場の期待ほどではないことを示唆する。金利先物市場は6月会合後、年内利下げを2回分と織り込み、23日時点では4回分とみている」

 

ハーカー氏は、これまで利下げに慎重な「タカ派」とされてきた。そのハーカー氏が、年内に2~3回の利下げに賛成という立場に変わってきた。実勢悪の表面化が、見通しを変えさせた。

 

(2)「ハーカー氏は、「計画的な利下げのプロセスを開始する時期であることは間違いない」と明言した。次回の9月会合までには8月分の雇用統計や消費者物価指数(CPI)が公表されるが「単月のデータに振り回されるのではなく、長期的なトレンドに目を向ける必要がある」と述べ、9月利下げは変更しない考えを強調した。0.%の大幅利下げについては「可能性は排除しない」としつつ、利下げは企業が予測しやすいように「計画的」であるべきだと消極的な見解を示した」

 

タカ派のハーカー氏らしく、慌てて利下げするイメージを与えないようにしている。だが、労働需給が想像以上に緩和されている現実は、認めるほかなくなっている。

 

(3)「利下げが、住宅価格を押し下げるという見方も示した。低金利の住宅ローンを持つ家主が高金利を忌避して売り控えをしたことが、物件不足による価格上昇を招いていた。「金利が下がれば、住宅のインフレ率も下がるというのは少し直感に反するが、私はそれが現実だと思う」と述べた。ハーカー氏は景気を冷ましも熱しもしない中立金利を3%程度だとみる。政策金利をいまの5.25〜5.%から2年以上かけて同水準に引き下げるとした6月の見通しは、経済状況の急変がなければおおむね維持できるとの見方も示した」

 

ハーカー氏は、中立金利を3%程度だとみている。時間をかけてもこの水準まで利下げされる。これが現実になれば、日米金利差は日本が0.25%としても2.75%まで縮小する。日本が、0.5%の政策金利とすれば、日米金利差は2.5%まで縮小だ。大幅な円高相場が実現する。

 

(4)「米景気が、急速に悪化するとの懸念には反論した。失業率は7月に4.%と上昇基調が続いているが、企業による解雇の件数などが増えていないことから「労働市場が弱いという概念に異議を唱えたい。労働市場は良好だ」と指摘した。今後の金融政策運営には政治的なリスクもくすぶる。共和党の大統領候補となったトランプ前大統領は、大統領がFRBの決定に発言権を持つべきだと主張する。ハーカー氏は、「米国の内外で中央銀行の独立性が侵害されたケースは必ず悪いことが起きている。独立を守ることは非常に重要だ」と強調した」

 

「もしトラ」になれば、FRBの政策へ干渉するリスクが高まる。FRBは、断固反対するであろう。