韓国は、金融引き締め下において債務が増加するという「逆走」状態にある。韓国銀行(中央銀行)は、利下げしたくても利下げをすればさらに債務が増えると状態にある。韓国政府は、気楽に「利下げできず遺憾」と発言している。これにカチンときた韓国銀行は、「なぜ利下げできないか省察が足りない」とチクリ。政府へ説教した形だ。
『東亜日報』(8月29日付)は、「借金に包囲された韓国経済 楽な道を選んだら苦痛が長引く」と題する社説を掲載した。
韓国は、対GDP比における家計・企業・政府の負債割合が、昨年末で251.3%となった。これは、コロナ禍だった2020年末より8.6ポイント増である。一方、世界の平均負債の割合は同期間、285.4%から245.1%へと40.3ポイントも改善している。
(1)「世界各国が金利高の時代を経て、過度な負債を削減する正攻法を使う時、韓国だけが「一人で負債逆走行」の道を選び、デレバレッジング(負債削減)のゴールデンタイムを逃したという評価が出ている。韓国の家計・企業・政府などの経済主体は、同時に借金の泥沼に陥っている。物価高と景気低迷の中で、家計と自営業者・小規模自営業者の融資依存は引き続き高まっている。徴収額が少なく税金より支出が多い政府は、国債を発行して借金を増やす。問題は、ベルトを締めなければならない時、借金を増やす楽な道を選んだ結果が、苦痛を長期化する効果につながることだ」
世界の常識では、高金利になれば債務を減らして返済するものだ。韓国は、これが逆になっている。家計が、高金利にもかかわらず住宅購入を急いでいるからだ。また、自営業者が資金繰り難で借入れに依存している面もある。こうした特有の事情で、家計債務を軸に韓国全体の債務が増えている。
(2)「逆走の後遺症は、すでに本格化し始めている。政府財政は今年上半期、103兆4000億ウォンの赤字を出した。赤字は大きいが、年間予算の66%を上半期にまとめて使ったため、下半期は内需萎縮に対応する実弾が足りない状況だ。低金利政策融資の拡大、融資規制の導入延期など、「借金を勧める」政策が重なり、家計向け融資は急増している。不安定な住宅価格や家計向け融資のため、韓国銀行は先週、基準金利を下げられず、1年7ヵ月間据え置かなければならなかった。コロナ禍後、玉石見分けを行わずに延ばされた自営業者・小規模自営業者向け融資の元利金の返済は、多くのゾンビ企業を産んだ」
財政赤字の一時的増大は、景気刺激で必要である。だが、家計の債務増加は首を捻る事態だ。韓国では、会社勤めを辞めて安易に自営業者になる風習が強い。会社の役職で後輩に抜かれると、「メンツが立たない」と退職して自営業を始めるケースが圧倒的である。学歴社会で年功序列の強い社会ゆえに、後輩の抜擢には耐えられないというのだ。企業の立場から言えば、効率を上げるには官僚社会でない以上、抜擢人事はやむを得ないことだ。それ故、耐えるほかない。サラリーマンが、すぐに自営業を始めても経験不足で立ちゆかなくなる。そこで、債務に依存するのである。韓国の家計債務増加の裏には、こういう事情が潜んでいる。
(3)「もはや劇薬処方に近い措置なしに、負債の罠から脱出することは難しくなった。金融当局は今年、当初の計画より多くの家計向け融資を行った銀行の来年の新規融資の規模を縮小する「融資総量制」を施行するという。官治の失敗で増えた融資を統制するため、より強い官治を動員することになる。全面的な融資統制で、住宅投機とは関係のない融資実需要者の被害が避けられなくなった」
来年は、家計向け融資を抑制するという。韓国の家計債務は、対GDP比で100%を超えている。80%以上になると個人消費が落込むので、韓国経済を蝕む結果になる。家計向け融資の抑制は、長い目で見て景気対策になるという妙な方程式ができあがっている。
(4)「李昌鏞(イ・チャンヨン)韓国銀行総裁は、負債急増の責任を負わなければならない政府が、「金利据え置きは残念だ」としたことに対して、「なぜ利下げに躊躇しなければならないほど、構造的問題に陥ったのか省察が足りない」と厳しい忠告をした。今の家計負債の状況は、「金融危機を招きかねない水準だ」と話した。もはやすべての経済主体が苦痛を分担しなければ、過度な借金による危機を乗り越えることは難しそうだ」
韓国銀行の李総裁は、物事をハッキリと言う性格だ。元ソウル大教授でIMFではアジア局長を務めた金融のエキスパートである。それだけに、韓国経済の脆弱ぶりに落胆している様子が、外部からも分るのだ。李総裁の辣腕に期待するほかない。


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