韓国経済の足取りが怪しくなっている。日本経済を抜くというかつての「元気」さが消え、7月の全産業生産指数は3ヶ月連続のマイナス状況に陥っている。一方、韓国の潜在成長率が12年低下し続けているのも気懸かりだ。OECD(経済開発機構)加盟38ヶ国中では、韓国だけにみられる現象である。韓国経済が、正念場を迎えているのだ。この記事は、数字が多いので、コメントだけでも読んでいただければ、韓国経済の実態をご理解いただけるであろう。
『中央日報』(8月30日付)は、「韓国、7月の産業生産が前月比マイナス0.4% 3カ月連続減少 小売販売も1.9%減」と題する記事を掲載した。
韓国の産業生産が3カ月連続でマイナスとなった。先月の消費・建設既成指標も一斉に下がった。
(1)「統計庁が30日に発表した「7月の産業活動動向」によると、先月の全産業生産指数(季節調整・農林漁業除外)は112.7(2020年=100)と、前月比で0.4%減少した。サービス業(0.7%)などで増えたが、鉱工業(-3.6%)などで生産が減少した。特に半導体(-8.0%)、自動車(-14.4%)など主要業種の生産が減少した影響が大きかった。自動車は2020年5月(-24%)以来50カ月ぶりの最大減少となった。これを受け、全産業生産は5月(-0.8%)、6月(-0.1%)に続いて3カ月連続の減少となった。これは2022年8-10月以来21カ月ぶりの最長期減少」
韓国経済を支えるのは、半導体と自動車である。この二大産業が、揃って不調である。半導体は、汎用品のメモリーである価格が安いという難点がある。台湾のTSMCが、好業績を上げている理由は、特注品の非メモリーであるからだ、半導体の主力は、非メモリーへ移っている。サムスンは不利だ。自動車は、EVの売上が不振であるので、現代自はこの影響を受けている。韓国では、EVの発火事故が相次いで起こり、人気を離散させている。
(2)「消費動向を表す小売販売は車両燃料、乗用車などで販売が減少し、前月比1.9%減となった。4月(-0.6%)、5月(-0.2%)と2カ月連続で減少した後、6月(1.0%)に一時的に反騰したが、また減少に転じた。小売販売は車両燃料など非耐久財、乗用車など耐久財、娯楽・趣味・競技用品など準耐久財の販売がそれぞれ1.6%減、2.3%減、2.1%減と一斉に減少した。3つの同時減少は2023年7月以来1年ぶりである。投資分野で設備投資は運送装備投資が前月比で10.1%増えたが、建設既成は土木で工事実績が減り、前月比1.7%減少した」
韓国の消費不振は、高金利による影響もある。だが、最大要因は家計による過剰債務の反動である。つまり、借金しすぎて首がまわらず、やむを得ず消費を抑えている結果である。この「悪習」は、朝鮮李朝時代から続いているもので、「宵越し金を持たない」という習慣が今も生きているのであろう。
こうした韓国独特の経済パターンは、韓国経済に難題を持ち込んでいる。潜在成長率低下という事態である。少子高齢化が顕著に進む韓国にとって、大きな障害である。
『中央日報』(2月14日付け)は、「潜在成長率12年連続下落、OECDで韓国しかない」と題する記事を掲載した。
韓国経済の成長性・躍動性・収益性が主力産業から下落していることが明らかになった。韓国証券市場の低評価「コリア・ディスカウント」の根本原因として「韓国企業の投資魅力度低下」が挙げられる理由だ。
(3)「中央日報と大韓商工会議所SGIが共同分析した結果、電子・化学・電気装備製造業など韓国主力産業の成長率は1970年代の19.3%から1990年代に9.6%、2010~2022年には3.4%まで大きく落ち込んだ。20年で3分の1水準まで急落した」
韓国主力産業の成長率が、20年間で3分の1まで急落している。中国が国産化を強力に行っている結果が現れている。これまで、韓国製造業は中国市場へ輸出することで拡大してきた。この道が今や、消えかかっているのだ。
(4)「韓国の主力産業が揺らぎ、国全体の動力も弱まった。韓国の今年の潜在成長率は2.0%で2011年の3.8%以降一度の反騰もなく下がるばかりだったが、経済協力開発機構(OECD)38カ国のうちこうした国は韓国しかない。製造業稼動率は2010年の80.4%から昨年は71.3%(速報値)まで下落した。資本市場研究院のカン・ソヒョン研究委員は「投資家には北朝鮮情勢など他の要因よりも、韓国企業の低い成長性自体が投資の障害」と指摘する」
潜在成長率低下は、合計特殊出生率低下がもたらす生産年齢人口(15~59歳)比率の低下が大きく響いている。この影響は、今後さらに高まる。前途は多難と言うほかない。こうなると、最大の問題は安全保障である。日本との良好な関係維持が不可欠のはずである。左派には、そういう認識がゼロである。
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