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中国のダンピング輸出が、韓国の重厚長大産業を揺さぶっている。中国経済は、不動産バブル崩壊による内需不振によって、過剰生産問題に陥っている結果だ。韓国も、この影響を大きく受けている。韓国は、これまで対中貿易が「ドル箱」であったが逆転した。 

『ハンギョレ新聞』(9月13日付)は、「中国の供給過剰に『韓国経済の中枢』製造業が傾く」と題する記事を掲載した。 

韓国経済の中枢を支える「重厚長大」産業が一斉に危機に直面しているという警告音が大きくなっている。中国企業の生産過剰および輸出拡大で、韓国の相当数の製造業種にネガティブな影響が及んでいるというのが骨子だ。このような中国の供給過剰は外部の構造的な問題であるため、その衝撃も長期化しうるという懸念も大きい。

(1)「LG化学は、今年上半期の石油化学事業で上げた営業利益は、約12億ウォン(約1億2700万円)。上半期の会社の利益全体の0.2%に過ぎない。2022年には同事業利益は1兆ウォン(約1060億円)に迫る規模だったが、業況が180度変わった。サムスンSDIは10日、偏光フィルム事業を中国メーカーに1兆1210億ウォン(約190億円)で売却することにした。中国企業の攻撃的な低価格競争で収益性が悪化し、事業売却を決めたのだ。ポスコの子会社であるポスコフューチャーMも先日、OCIと合弁で設立した二次電池の素材企業であるP&Oケミカルの持分をすべてOCI側に売却することにした。中国の供給過剰などによって本業である鉄鋼と二次電池の業況に影が差し、経営を引き締めることにした」 

韓国の主要産業である化学工業が、中国のダンピング攻勢で大揺れである。中国との合弁事業の出資持分を中国側へ売却して撤退を余儀なくされている。

 

(2)「韓国の信用評価会社「ナイス信用評価」は11日、「深まる中国の供給過剰と信用危機」と題するセミナーを開き、「中国の供給過剰が続き、韓国の主要事業の環境も厳しくなるものと見通される」と指摘した。具体的に、鉄鋼・石油化学・太陽光・ディスプレイ・電気自動車(EV)・二次電池など6つの主要業種の需要と供給条件が韓国企業に不利だと予想された。中国製を含めた製品の過剰供給が需要を大幅に上回り、価格下落など企業の実績に悪影響を及ぼすだろうという話だ。特定の要因が国内の製造業全般に衝撃を与えるという懸念が提起されるのは異例のことだ」 

中国のダンピング攻勢で、韓国は鉄鋼・石油化学・太陽光・ディスプレイ・電気自動車(EV)・二次電池など6つの主要業種が不利な状況へ追込まれそうである。韓国製造業を支える主要分野だけに看過できない問題である。韓国政府は、関税引き上げを具体的に検討すべきであろう。

 

(3)「ハナ金融経営研究所も6月、報告書を通じて「中国が2024年に入り半導体、自動車、造船、太陽光など主要品目の価格をさらに引き下げたことで、当該品目の輸出量が前年同期に比べ40~60%急増した。多くが韓国の輸出品目と重複しており、韓国が最も大きな打撃を受けるものと予想される」と述べた。中国の事情に詳しいある証券会社の研究員は「最近は中国の内需が崩壊しているが、中国政府は内需浮揚の代わりに製造業育成に政策焦点を合わせ、過剰供給がますます激しくなっている」とし、「すでに中国製品の品質がかなり高くなっているため、相当数の品目で韓国製との競争が避けられない状況」だと指摘した」 

中国は、24年にはいって半導体、自動車、造船、太陽光などの輸出価格を40~60%も引下げている。もはや常識を超えた状態だ。これは当然、韓国の関税率引上げを正当化する理由になる。

 

(4)「実際、LG化学やロッテケミカルなど石油化学企業の実績悪化を招いたのは、中国が「自給率の向上」を掲げて自国製品の生産を大きく増やし、韓国製品の輸入が減ったことが大きく影響した。この5年間、中国の石油化学の基礎原料であるエチレンの増設規模は約2600万トンで、韓国の生産能力の2倍に達する。中国政府の補助金のおかげで高速成長した太陽光とディスプレイ、内需の消費規模の2倍余りにのぼるEVバッテリーの余剰生産量などもグローバルな価格下落を招き、ハンファソリューション、LGディスプレイなど韓国企業の業績悪化につながっている」 

中国は、石油化学の基礎原料であるエチレンの増設によって、韓国の生産能力の2倍に達している。こうしてコストを切下げる一方で、ダンピング輸出で攻勢をかけられたら、韓国企業は対抗困難である。 

(5)「先日、構造調整に着手したドイツのフォルクスワーゲングループとは異なり、実績好調を見せている現代自動車・起亜など韓国の自動車部門も「安全地帯」ではない。ナイス信用評価のホン・セジン研究員は「内燃機関自動車の電動化が加速し、中国車のグローバルシェアが高くなれば、新興国を中心にEV部門の競争が激しくなるだろう」とし、「長期的に原価競争力を備えた中国製のEVがグローバル競争を深める危険要因として作用しうる」と指摘した」 

中国製EVが、低価格を実現しているのは電池の生産コストが低いことだ。原料にリチウムを使わないでコスト切下げを実現した。この製法は、他国も採用し始めている。トヨタ自動車は、中国製EVへ真っ向から対抗する。26年から新方式の電池(全固体電池ではない)を採用した高性能電池(航続距離1000キロ)を登載した新型EVが登場する。世界のEV地図が、塗り変わるであろう。