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尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、20%台の低支持率であったが、これを支えてきた核心支持層に崩壊の兆しを見せ始めた。70代以上の尹大統領支持率が、3週間で23ポイントも下落しているからだ。長期化する医療ストによって、急患が「救急室たらい回し」され結局、死亡するという痛ましい犠牲者が出ている。健康問題に敏感な高齢層が、尹氏支持を撤回したのであろう。 

問題は、医学部定員増加に反対する医師や医学部が既得権益を「死守」する姿勢にもある。絶対に妥協せず、犠牲者が出てもストを継続する状態は正常な感覚ではない。生涯高賃金を確保するためには、医師の数を増やさず競争を避けるという自己保身が見え隠れしているのだ。最大の犠牲者は一般国民である。

 

『東亜日報』(9月14日付)は、「尹大統領支持率が20%、就任後最低」と題する記事を掲載した。 

尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の国政支持率が過去最低の20%を記録した。与党支持率も同時に下落し、尹政権発足後の最低の28%だった。与党が医学部定員の増員をめぐる医政葛藤の解決策を示すことができず、医療空白が長期化することに対する批判的世論が反映されたものと分析される。

(1)「韓国ギャラップが、9月10日から12日にかけて全国の成人1002人を対象に実施した調査結果(詳細は中央選挙世論調査審議委員会ホームページ参照)によると、尹大統領の職務遂行に対する肯定的な評価は先週より3%ポイント下落した20%だった。否定評価は先週より3%ポイント上がった70%で、5月第5週と同じ最高だった」 

最新世論調査では、尹大統領支持率が20%、不支持率70%という数字が出た。これは、極めて危険なデータである。

 

(2)「韓国ギャラップは、「否定評価は『医学部定員拡大』(18%)、『経済・民生・物価』(12%)、『疎通不十分』(10%)、『独断的、一方的』(8%)、『全般的に間違っている』(6%)などを理由に挙げた」と明らかにした。これに先立って総選挙惨敗後、尹大統領の職務遂行評価は5月第5週に肯定評価が21%、否定評価が70%だったが、支持率が徐々に回復した。7月第3週には29%まで上昇したが、その後、医学部定員問題が議論になり、引き続き下落傾向を示したのだ」 

尹大統領は、医学部定員問題が足かせになって支持率が低下している。尹氏の「正論」が通らない以上、さらなる妥協策も必要だろうが、医師側の「頑迷固陋」ぶりも見逃せない事態だ。結局、韓国では巨大な既得権益層があらゆる改革を阻止していることがハッキリしたことである。

 

(3)「大統領室は、「支持率については言及しない」として公式反応を示さなかった。しかし、秋夕(チュソク=陰暦8月15日の節句)連休の直前に発表した世論調査で最低を記録すると、少なからず戸惑っている様子だ。特に与党内部では、心理的マジノ線である20%台まで崩れる場合、国政の動力喪失が加速化する懸念する声が出ている」 

支持率が、20%を割込む事態となれば、下線部のように野党を勢いづかせて「弾劾」という無法な要求を実現させる恐れもゼロではない。「弾劾癖」のついている左派にとっては、「尹氏追放」という夢を抱く可能性を強めている。そうなると、韓国政治は麻痺状態に陥るであろう。すでに、その前兆が出ている。国会で最大野党の共に民主党から「ニューライト論」が仕掛けられている。「新右翼」とでも解釈するのだろうが、反日と結びつけているのだ。

 

『中央日報』(9月17日付)は、「韓国政界を揺さぶる『ニューライト』」と題する記事を掲載した。 

「首相は『ニューライト』をご存知ですか」〔申栄大(シン・ヨンデ)共に民主党議員〕

「『ニューレフト』もあるのですか。どうか“色塗り”はしないでほしい」〔韓悳洙(ハン・ドクス)首相〕 

2日の韓国国会予算決算特別委員会全体会議で、申議員と韓首相が交わした舌戦だ。3日、安昌浩(アン・チャンホ)国家人権委員長候補人事聴聞会でも「もしかしてニューライトですか」〔徐美和(ソ・ミファ)共に民主党議員〕、「ニューライト史観が何ですか」(安昌浩国家人権委員長候補)のような攻防が続いた。 

(4)「いわゆる「ニューライト」論争が9月政界を飲み込んだ。野党圏は金文洙(キム・ムンス)雇用労働部長官や安昌浩国家人権委員長候補ら、最近尹錫悦政府の主要人物と韓日関係をはじめ独島(トクド、日本名・竹島)造形物撤去や歴史教科書問題などを前面に出して「ニューライト」総攻勢をしかけた。与党は、「理念主義に持っていこうとするな」と対抗した。尹大統領は先月29日、国政会見で「正直、ニューライトとは何かよく分からない」とまで話した。政界関係者は「80~90年代『セッカル論(理念論)』攻防を連想させる」とし「変化したのは保守と進歩側の攻守が逆になったこと」と話した。 

国会での理念論争を否定しないが、反日を搦めて政府を批判して、肝心の議案審議を棚上げしている。この裏には、文前大統領「疑惑」をニューライト論で消そうという思惑があるのかも知れない。だが、党利党略もほほどほどにすべきだろう。