中国では、10月1日から国慶節(建国記念日)に伴う7連休が始まった。期間中に、公共交通機関や自家用車で延べ19億4000万人が地域をまたいで移動すると予測される。その中で、海外旅行では日本が渡航先トップである。国内では節約志向の影響で、割安に抑えられており、地方都市への車旅行の人気が高まっている。
『日本経済新聞 電子版』(10月1日付)は、「中国・国慶節、日本が海外渡航先トップ 国内は節約志向」と題する記事を掲載した。
今年は1〜7日の7連休となる。1日平均の移動人数は2023年同時期と比べて1%増える見込み。建国75周年の節目にあたり、北京市や上海市の街中では、国旗や75周年を祝う文言や飾りが掲げられる。連休開始前日の30日には、上海の鉄道駅はスーツケースなど大きな荷物を持った市民で混み合った。
春節(旧正月)の休暇は故郷への帰省が中心だが、国慶節は旅行する人が多く、関連業界は書き入れ時となる。
(1)「旅行予約サイト最大手の携程集団(トリップドットコムグループ)によると、連休中の海外旅行の目的地の首位は日本だった。2位はタイ、3位は韓国で、航空券が手ごろな近場のアジアが上位を占めた。タイやマレーシア、シンガポールは旅行需要を底上げするために中国人旅行者などの短期滞在ビザ(査証)を免除する優遇策を導入している。日本行きにはビザが必要だが、中国での人気は根強い」
海外旅行先では、1位が日本である。日本行きにはビザが必要だが、それでも日本熱が冷めないようだ。リピーターは、帰国後の「日本は本当に素晴らしい国だ」と口を揃えているそうです。
(2)「携程によると「東京・大阪・京都の定番の旅行地以外を予約する傾向が強まっている」という。横浜市のほか、古くからの町並みが残る岐阜県高山市などが前年比で2倍以上の予約の伸びを見せた。静岡県では東伊豆町が「風光明媚(めいび)な温泉町で、心の豊かさや健康を求めた旅行客の人気を集めている」。新型コロナウイルス禍で減少した日本と中国を結ぶフライトの回復が9割超まで進んでおり、23年の国慶節と比べて、航空券の価格が下がっている」
中国では、マルチビザを使って数ヶ月に一度、日本各地を訪れているリピーターもいるという。根っからの「親日家」である。こういう人たちが、確実に増えているという。一方では、生活苦で反日宣伝に煽られて、日本へ反感を持つ人たちがいる。経済的に余裕のある人たちは、反日ではないようだ。
(3)「航空情報アプリの「航班管家」によると、中国の航空会社では国際線・国内線併せて延べ1618万人の利用を見込む。1日あたり約230万人と前年同時期比で8%増、19年同時期比では22%増となる。延べ移動人数に占める2割りは、鉄道や飛行機など公共交通機関を利用すると予測される。鉄道会社によると、今年は10月8日までの10日間で延べ1億7500万人が利用する見込み。路線の拡張も追い風となり、1日あたりの利用者数は23年同時期比で8%増える。9月29日からは各地で増便するなど特別輸送体制がとられている」
中国は、7日間の大型連休で国際線・国内線併せて、延べ1618万人の利用を見込む。1日あたり約230万人と前年同時期比で8%増という。飛行機を利用できる人たちは、経済にゆとりがある人たちだ。
(4)「移動人数の8割にあたる15億2600万人は自家用車やレンタカーなどを利用する。連休中は高速道路の通行が無料となるため、車移動が主流になっている。今年はホテル代などが高い大都市を旅先として避ける傾向が強まっている。配車アプリ最大手の滴滴出行(ディディ)は、連休中に中小都市を指す3〜5級都市で配車需要が連休前比で40%増加すると予測する。大自然を楽しめるモンゴル自治区フフホト市、石窟で有名な甘粛省天水市など、これまで旅行先としてあまり注目を集めなかった都市で需要増が見込まれている。飛行機の利用者数は堅調だが、自動車の利用者と同様に節約志向がみられる」
移動人数のうち、8割にあたる15億2600万人は節約派である。自家用車やレンタカーなどを利用するという。ホテル代などが高い大都市を旅先として避ける傾向が強い。
(5)「旅行者の財布のひもは固い。国慶節や春節など大型連休の旅行者1人あたりの支出額は19年比でマイナスが続く。景気減速の影響が色濃く出た。中国は個人消費が国内総生産(GDP)の約4割を占めるが、8月の社会消費品小売総額(小売売上高)は前年同月比で2%増にとどまった。不動産市況の低迷などを受けて、消費者が慎重になっている。国慶節の連休にあわせて消費を活性化しようと、各地の地方政府が割引などに使える消費券の配布を拡大している」
大型連休の旅行者1人あたりの支出額は、19年比でマイナス状態という。それだけ、経済実態が悪化していることだ。何時になったら、19年レベルを抜けるのか。
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