あじさいのたまご
   

米国テスラは10日、完全自動運転を想定した電気自動車(EV)の無人タクシーの試作車を公開した。2026年の生産開始をめざす。将来は人や荷物の移動サービスを無人で実現し、稼ぎの主体をハードからソフトにする。中国も自動運転車の開発に力を注いでいる。車の付加価値を巡る競争の軸が、EVから自動運転に移ってきた。ただ、完全自動運転は未だ夢の話だ。 

(1)「約20台のサイバーキャブを公開した。車両のドアは2つで自動走行を想定し、人による運転制御で使うステアリングホイールやペダルはついていない。認識や制御はカメラと人工知能(AI)だけで行う。センサーで制御する既存の自動運転車に比べて安価にすることを目指す。価格は3万ドル(約440万円)以下とした。サイバーキャブの生産に先駆けて、25年にまず南部テキサス州とカリフォルニア州で、運転手が介在しない形の自動運転を想定したシステムを既存EVの「モデル3」と「モデルY」で実用化する」 

テスラは、未だ公道試験を一度も行っていない。その意味では、当局から許可が出るのか不明である。自動運転タクシー用のEV価格は3万ドル(約440万円)以下とした。世間の関心を惹く戦術ともみえる。

 

(2)「搭載するシステムは、同社の高度運転支援システム「フルセルフドライビング(FSD)」の進化版とみられ、特定の条件下で運転手が不要な「レベル4」の実現を目指す。テスラは既に米国などで実用化しているFSDの機能を進化させ、人の介入を必要としない自動運転の走行距離を増やすとみられる。現在のFSDは運転手が介入する形の「レベル3」にとどまるが、進化型は運転手が介在しない形の「レベル4」に近づく。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は同日、「運転に費やしていた時間を自分の好きなことに使えるようになる」と話した」 

下線部のように、特定条件下での「レベル4」を目指している。どこでも自由に運転手不要で走れる訳でない。ここが、マスク氏の巧妙な説明の仕方だ。 

(3)「テスラは同日、人や貨物の大量輸送が可能な自動運転の「ロボバン」も披露した。バンは一度に20人までの輸送ができる。サイバーキャブやロボバンが実用化されれば、労働力の代替などで自動運転市場の拡大につながる可能性があるが、AIに頼った自動運転は事故が起きた際の責任について明確な規制がなく安全面の課題は多い。テスラは同日、これらの車両を使ったサービスの開始時期は明確に示さなかった」 

自動運転タクシーのサービスの開始時期は明示されていない。当局の認可を必要とするからだ。

 

(4)「(自動運転の)レベル4は、既に米国で米アルファベット傘下で自動運転技術を開発する米ウェイモが、中国では百度(バイドゥ)が実用化している。テスラがサービスに本格的に参入すれば市場が広がる可能性がある。米テスラが10日に米西部カリフォルニア州で開催したイベントでのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の主な発言は次の通り」 

マスク氏は、「大構想」を語っている。夢物語として聞いていても愉快である。

(5)「監視付きの完全自動運転から完全自動運転へと移行し、目的地に到着した時には眠ってしまっていても大丈夫なようにする。自動車(の運転)に費やしていた時間を、携帯電話や映画鑑賞など自分の好きなことに使えるようになる」。「保険や車両代、保管のための費用を考えると、自動車を持つのは高すぎる。平均的な自動車の使用時間は週のうち10時間程度で、大半の自動車は動いていない。自動運転ができるようになれば、今よりもおそらく5〜10倍使われるようになり、1台が生み出す価値は5〜10倍になるかもしれない」 

監視付きの完全自動運転から完全自動運転へと移行させるので、車内で眠っていても安全という。これが現実化すれば、パーフェクトだ。自動車免許証は要らなくなるのか。タクシーに使えるから1台が生み出す価値は5〜10倍になるとも。これ1台あれば、立派な副業になるのかも。自動車生産台数は、急減することになろう。


(6)「まずはモデル3やモデルYで(完全に自律型の自動運転を)体験することになるだろう。完全に自律型のFSDは25年にも南部テキサス州とカリフォルニア州で始める。自律走行用に高度に最適化されたサイバーキャブの生産は、時期について少し楽観的になりがちだが27年より前には量産する」「人間より10〜30倍は安全に走行できるようになるだろう。自動運転が人間より優れているのは何百万台もの自動車で運転の訓練をしているからだ。人は何百万人分の人生を生きることもできければ、同時に多方面を見ることもできない」「(高度なセンサーなど)高価な設備を使わず、AIとカメラだけで製造しているため、車両の製造コストを低く抑えられる。モデル3やモデルSなど(既に販売している車両)でも完全自動運転はできる」 

自動運転車は、AIとカメラだけで製造する。車両の製造コストは低く抑えられる。テスラが、すでに販売したEVでも完全自動運転が可能になるという。これまでのテスラEV購入者は、完全自動運転の夢を買っている。