中国の住宅販売統計では、下落率が「零コンマ以下」に収まっていることだ。日本の例をみてもあり得ない現象である。その秘密は、地方政府が販売価格に干渉している結果、値下がりしても「微々たる」金額になっている。
河南省の省都である鄭州市では7月、住宅販売規制を撤廃した。住宅販売の自由市場ができたのだ。その結果、8月上旬には従来よりも価格を2割も引下げたところ完売したという。実需に見合った価格引下げをすれば、売れることを証明した。
『日本経済新聞 電子版』(10月18日付)は、「中国住宅業界の悲鳴、底なき安値競争 原価割れ販売停止」と題する記事を掲載した。
不動産不況が長引き、過度な値崩れを防ぐ価格統制を撤廃した都市では安値競争が激化した。原価割れで8割の空室を残したまま販売を停止する不動産会社も出てきた。
(1)「10月1〜7日の国慶節(建国記念日)連休だけで成約件数は80件に上り、9月1カ月分に並んだ」。河南省鄭州市は2023年末から販売を始めた新築マンションの展示場で、販売員の孔さんは語った。全国で住宅販売が極度の不振に陥っているのに記録的な売り上げを記録した。マンション開発会社による短期的な販売戦略が背景にあった。国慶節の連休が終わったら2%値上げする――」
国慶節の連休が、終わったら2%値上げする。こういう異色の広告が効いて、河南省鄭州市のあるマンションは、国慶節連休だけで成約件数は80件に上ったという。
(2)「同社は9月下旬、SNSの微信(ウィーチャット)上でこう予告した。当時の売値である1平方メートルあたり1万7000元(約35万7000円)が安値であると強調して連休中の駆け込み需要を生み出した。売り上げ急増は一時的だった。値上げ後1週間の成約件数は10件前後に落ち込んだ。孔さんは「まだ売れ続けますよ」と強がるが、全体の2割に相当する100戸超が売れ残ったままだ。連休後の週末は展示場を訪れる顧客の姿がまばらだった」
先に「値上げ予告」したマンションは、値上げ後1週間の成約件数が10件前後に落ち込んだという。値上げ予告の波及効果は一時的であった。
(3)「中国は、住宅の販売不振で価格下落が続く。国家統計局が18日発表した9月の主要70都市の新築住宅価格動向によると、全体の94%にあたる66都市で価格が前月の水準を下回った。鄭州市も17カ月連続で値下がりした。鄭州市政府は7月、新築住宅の値下げ制限令を解除した。従来は値下げ幅を周囲の物件の10%以内に収めるよう規制していた。住宅の値崩れによって地方政府の主な歳入である国有地使用権の売却収入が大きく落ち込むのを防ぐ狙いだった。結果として価格が需要に見合わず高止まりし、販売がさらに落ち込む悪循環に陥ったため、不動産会社による自由な価格設定を認めた」
鄭州市政府は7月、新築住宅の値下げ制限令を解除した。マンション価格が、需給に合せて設定されることで、実需がどこまで回復するかだ。
(4)「値下げ幅の規制がなくなり、販売価格の下落に拍車がかかった。8月下旬にはさっそく同市内の新築で、それまでの相場より2割低い1平方メートルあたり9800元のマンションが売り出された。マンション近くで年内に新たな地下鉄が開通するという利便性の向上も後押しし、販売開始から40日間で350戸が完売した。地元の仲介業者は「最近は安くて質のいいマンションが次々と売りに出されている。売れ残った新築や中古住宅はますます売れなくなる」とこぼした。原価割れを防ぐため販売を一時停止する不動産企業も出てきた」
鄭州市の「マンション自由価格制」により、マンション近くで年内に新たな地下鉄が開通する利便性の向上も後押しし、販売開始から40日間で350戸を完売した。近時にないヒットである。近所で売れ残った新築や中古住宅はますます売れなくなると、原価割れを防ぐため販売を一時停止する不動産企業も出てきた。
(5)「市内の別の地区にある新築マンションは23年末に完成したものの、半年足らずの24年5月に販売を停止した。1平方メートルあたり1万6000元まで値下げしたが買い手が付かないと判断した。全1500戸のうち8割が空室のままだ。このマンションの不動産会社は上場企業で、物件の販売停止により一定程度の減損処理を計上する見通しだ。マンションの周囲に住人の姿はほとんど見当たらない。以前は展示場だったとみられる建物の扉は閉じたままで、販売停止を知らせる張り紙が残っていた。併設するマンション管理会社の女性は「販売再開の見込みはたっていない」とだけ話した」
値下げしても効果がないマンションは、販売停止して減損処理するという事態まで出ている。この先、このマンションの扱いをどうするのか。無駄な投資になった。


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