台湾のTSMCが、中国の華為技術(ファーウェイ)製品に自社半導体が使われている事実を米国に通知した。米国は、中国に先端技術製品が流れ込むことを阻止している。今回の事例は、輸出統制が実際に困難であることを示した。同時に、中国では先端AI(人工知能)半導体が製造できないことも証明した。
TSMCは、自社半導体がファーウェイの製品から見つかったのを受け、使われた半導体に関連した顧客へ出荷停止した。台湾当局筋が明らかにした。TSMCはこの顧客への出荷を約2週間前に停止し、詳しい調査に乗り出していた。TSMCは、「重要な警告事象」だと受け止めて米国、台湾の両政府に既に通知したという。同筋はTSMCが出荷を停止した顧客名を明らかにしなかった。『ロイター』(10月24日付)が報じた。
ファーウェイが、自社名を偽って他社を窓口にして輸入を図っていたことは、中国の半導体技術の未成熟さを証明している。中国では現在、半導体を巡る誤報や詐欺事件が頻発している。半導体「低開発国」の悲哀を滲ませているのだ。
中国では、先の国慶節にまつわる大型連休中に、中国が独自技術で回路線幅8ナノメートル級の半導体製造が可能な深紫外線(DUV)露光装備を開発したというニュースで盛り上がった。このニュースは、中国工業情報省の資料に含まれた中国製アルゴン・フッ素(Arf)露光装置に関する技術指標の誤読というお粗末な結果であった。そこには、「解像度65ナノメートル以下、オーバーレイ精度8ナノメートル以下」という表現がある。この「オーバーレイ精度8ナノメートル以下」を、8ナノメートル級の半導体製造が可能と早とちりした、笑うに笑えないミスが重なったのだ。
中国当局は、この露光設備指標を公開し「意味ある技術的な突破口を開いた」と主張した。しかし、この設備は世界最高水準のメーカーであるオランダASMLが、2009年に発売した深紫外線(DUV)露光装備と同じレベルであることが判明。中国の半導体製造設備は、世界水準よりも15年も遅れであることまでばれてしまったのだ。となれば、ファーウェイが、自国製半導体を諦めて恥をしのんで、他国企業になりすましTSMC製半導体輸入へ手を染めた裏事情が解明できるのだ。
こういう中国の内部事情を知らないメディアは、これまで中国先端技術を「絶賛」してきた。このメディアも今は、ファーウェイ同様に恥ずかしい思いをしているだろう。
韓国『ハンギョレ新聞』(8月18日付)は、「ファーウェイの『驚くべき復活』、米国の制裁が結局足を引っ張る可能性も」と題する記事を掲載した。
ファーウェイの自主開発したAIチップ「Ascend 910C」の性能は、エヌビディアが昨年披露した「H100」と同等の水準だと、同社が顧客会社に説明した。事実なら、先端AIチップの輸入が滞っている中国市場で、相当な売上を上げることが期待されるという評価だ。
(1)「ファーウェイは、今年末に発売するスマートフォンの新作「Mate70」に5ナノチップを搭載すると知られていたが、最近7ナノに変更したという観測も提起されている。高い費用と低い収率が足を引っ張ったということだ。この場合、グローバルライバル企業の技術水準に追いつくことはさらに難しくなりうる。台湾の市場調査機関トレンドフォースは先月、「(ファーウェイが性能のために5ナノに固執するならば)相当なマージンを確保するのに困難を負うだろう」と分析した」
5ナノ半導体を7ナノ半導体へ変更したなどと、真実まがいの報道である。現実には、15年遅れの半導体製造技術しか持っていないのだ。中国では、この種の「半導体詐欺話」が横行している。『朝鮮日報』(10月21日付)が報じた。
中国国内では8月末、「中国版エヌビディア」と呼ばれた象帝先計算技術という画像処理装置(GPU)ファブレス設計業者が解散を宣言した。同社が開発したGPUは、エヌビディアどころか、ファーウェイのAIチップ「アセンド910」シリーズより性能が劣り、販路を見つからなかったという。
北京左江科技も6月28日、データセンター内のサーバー効率を最大化するデータ処理装置(DPU)の開発で注目を集めたが、金融詐欺の疑いにより深セン証券取引所で上場廃止となった。顧客に販売したことになっていたDPUのほとんどが、同社倉庫に山積みになっていた。
このように、中国では半導体にまつわる詐欺事件が頻発している。半導体技術未発達を証明している。


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