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米大リーグ・ドジャースは5月、たこ焼きチェーン「築地銀だこ」と複数年のパートナーシップ契約を結んだと発表した。約90年前に大阪発祥のたこ焼きが、今や海を渡って「国際グルメ」に加わる人気ぶりである。だが、人気が高まる一方で、原料のタコが不漁に見舞われている。日本では、魚の王様「マグロ」を上回る値段へ跳ね上がっている。たこ焼きは、世界的に有名になったが、喜んでばかりいられない事態だ。

 

『日本経済新聞 電子版』(10月24日付)は、「タコ、ついにマグロ超え コスト上昇・世界的需要増で」と題する記事を掲載した。

 

タコの値段が高騰し、世界一のタコ消費国である日本に重くのしかかっている。小売価格は高級魚のマグロを超えた。国内の漁獲が減る中、アフリカなどから輸入してまかなってきたが、世界の需要増加や円安基調、輸送費上昇で値上がりが止まらない。「世界で引っ張りだこ」のタコの高級化は、庶民の味、たこ焼きにも影響し始めた。

 

(1)「総務省の9月の小売物価統計によると、東京都区部の「たこ」小売価格は100グラム507円と「まぐろ」の同499円を超えた。比較可能な統計が始まった2000年にはタコとマグロは2倍の価格差があったが、タコが右肩上がりを続けて逆転した。エビ(同362円)やブリ(同360円)と比べてもタコが高い。23年のタコ類漁獲量は2万2500トンと、過去10年で3」割減った。国産だけでは需要をまかなえず、23年は約3万トンを輸入した。主にモーリタニアやモロッコなどアフリカ産だ。日本がアフリカにタコ漁の技術を伝え、1980年代から輸入を増やした。回転ずしで安い皿で回っていたのはほぼアフリカ産だ」

 

庶民の魚であったタコの値段が、王様のマグロを上回るとは、誰も想像できなかったであろう。まさに、「下剋上」である。

 

(2)「近年は世界的に需給が引き締まり、輸入コストがかさんでいる。「スペイン料理などとして欧米でタコを食べる国が増えている」(水産商社)。海の環境が変化する中、アフリカも資源管理のため漁獲制限を強化している。円安や運賃の上昇も重なる。財務省貿易統計によると、24年のタコの輸入単価は1キログラムあたり1400~1500円と過去最高値圏で推移。5年前から4割上昇した」

 

タコの値段は、5年前の4割上昇という。

 

(3)「タコの高騰が響いているのがたこ焼きだ。日本コナモン協会(大阪市)の熊谷真菜会長は「たこ焼きの原価の7割ほどをタコが占める店もある」と指摘する。大阪の繁華街では「5年前は1個70円ほどが平均価格だったが、現在は同80~90円」。小麦粉や青ノリ、光熱費などあらゆるコストが上昇する中で「本来は100円でもおかしくないが、庶民のグルメなので値上げを我慢している店も多い」という。

 

「たこ焼き」は、タコの値段アップに直撃されている。5年前は1個70円ほどが平均価格だったが、現在は同80~90円という。

 

(4)「大阪市内を歩くと、たこ焼き店のメニューも変化している。たこ焼きの元祖、会津屋(大阪市)では「ホタテバター」や「豚アスパラチーズ」、マスカルポーネチーズを使った「牛すじクランベリー」など多彩な具を提供している。タコが高いためだ。売上高にしめるタコ以外の割合は23割ほどに高まっている。他店でも、サバやめんたいこ、チキングラタン味など様々な具の種類がある。家庭でも選択肢は広がっている。たこ焼きソースを販売するオタフクソース(広島市)は同社のレシピサイトやたこ焼き教室で、ウインナー、キムチ、バナナなど約15種の具を紹介している。「チーズが特に好評。価格高騰も背景にタコ以外のレシピのニーズは増えている」(同社)という」

 

タコの値段上昇で、「代替品」も登場している。タコ以外のレシピのニーズが増えているという。

 

(5)「タコは養殖できないのか。水産研究・教育機構(横浜市)の水産技術研究所生産技術部の伊藤篤副部長によると「卵からふ化させ、稚ダコを量産する技術はほぼ確立した」。課題は、出荷サイズまで安定飼育する手法の開発だ。天然のタコは貝やカニ、伊勢エビなど高級魚介を捕食している。研究所でもカニの幼生や冷凍イカ、エビなどを与えているが、商業化にはより安価な餌が不可欠だ。天然のマダコの寿命は1年から1年半。「成長が早く、可食部も多いので養殖対象種としては非常に魅力的」(伊藤副部長)だ。一方、欧米ではタコは知能の高い生物として国際的な動物保護団体が養殖に反対している。米国カリフォルニア州議会で今夏、タコ養殖禁止法が成立したこともあり、一部の水産会社は養殖研究を縮小している」

 

タコの養殖は、国際的な動物保護団体が反対している。タコは、知能の高い生物であるというのが反対理由だ。そう言われれば、タコは占い役にも登場してくる。こうなると、タコは、ますます庶民から離れた「神様」になるだろう。