ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は、予想を上回る大幅な事業再編を計画しており、国内で少なくとも3つの工場を閉鎖し、数万人の従業員を削減する方針であることが28日、労働組合幹部の話で明らかになった。残りの工場も恒久的に縮小される見通しという。労組側は、「経営陣はこの件に関して完全に本気だ。労使交渉における脅しではない」と指摘。ドイツ最大の企業グループであるVWが、国内での事業や資産の売却を開始するための計画だと述べた。閉鎖される具体的な工場名や削減数は明らかにしなかった。
『日本経済新聞 電子版』(10月28日付)は、「フォルクスワーゲン、ドイツ3工場閉鎖・数万人削減を検討」と題する記事を掲載した。
自動車大手ドイツのフォルクスワーゲン(VW)がドイツ国内の少なくとも3工場の閉鎖を検討していることがわかった。独国内で数万人の人員削減と賃金の約20%減も検討している。労組側は反発している。
(1)「VWは、9月2日に工場閉鎖を検討していることを明らかにした。工場閉鎖を巡り同月下旬に第1回の労使交渉を開き、10月30日に独北部ウォルフスブルクの同社本社で2回目となる労使交渉を予定している。リストラ案は2回目の交渉に先立ち、VW経営陣が組合側に通告した。独に十数カ所ある工場を閉鎖すれば、1937年の創業以来初めてとなる。リストラ案では、閉鎖対象以外の独国内工場も生産体制を縮小し、独国内のグループ従業員30万人のうち数万人を削減する。残った従業員についても月給の10%減に加え、手当などの廃止で賃金水準を約20%引き下げる計画だ」
世界2位の自動車メーカーVWが、重大な事態を迎えている。総従業員30万人のうち、数万人の解雇を予定している。残った従業員にも、賃金水準を約20%引き下げるという厳しさである。
(2)「28日朝にはVWの独国内の全工場で生産を一時停止し、従業員らが集会を開いた。従業員代表(労組に相当)のダニエラ・カバリョ氏は「ドイツ最大の産業グループが自国で(工場を)売却する計画で、国全体が影響を受けることになる」とリストラ案について到底受け入れられないとの考えを示した。欧米を中心とした電気自動車(EV)の販売不振と中国での需要減からVWの業績は急速に悪化する。VWは9月下旬、24年12月通期の売上高について従来の5%の増収予想を、約1%の減収に下方修正した。業績の下方修正は今期2度目だ。労組側は業績不振について「経営陣が責任をとるべきだ」としている」
2024年12月通期の売上高は、前期の3223億ユーロ(約51兆2000億円)を下回り3200億ユーロとなる見込みだと発表した。従来の5%の増収予想から一転、約1%の減収に下方修正した。欧米を中心とした電気自動車(EV)の販売不振、中国でのエンジン車の販売減が響く。VWは、24年の世界新車販売台数が900万台となる見込みだとも明らかにした。23年は924万台で、約3%の減少となる。これまでは23年比で最大3%増加すると予想していた。
24年通期の売上高営業利益率は、従来予想の「6.5〜7%」から5.6%に下方修正した。営業利益は180億ユーロを見込む。売上高営業利益率は、自動車メーカーにとって5%台維持がレッドラインとされている。これを割込むと、新車開発などで支障を来すとされる、VWは、経営的にギリギリの線へ追込まれている。
(3)「VWは、労使で11月末までストライキを実施しないことで合意している。カバリョ氏は「経営陣には猶予が2日間ある」と述べ、30日の第2回労使交渉までにリストラ案が変更されなければ、12月からストに踏み切る可能性があると示唆した。独最大の産業別労組IGメタルは同日、「このような冷酷なリストラ計画は受け入れられない。経営陣は想像もつかない抵抗を覚悟しなければならない」と述べ、VW労組の全面支援を強調した」
ドイツ最大の産業別労組IGメタルは、VWが大規模な人員整理と残りの従業員へも約20%の賃下げ提案だけに簡単に飲めるものではあるまい。解決までには相当の時間がかかろう。
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