最大野党の立憲民主党、野田佳彦代表は、50議席増の148議席を獲得した追い風を受け、「首相指名を取りにいくのが当然」と意欲を示している。だが、維新・国民は公約の違いもあって「後ろ向き」姿勢である。一方、自民党の政権担当意欲は変わらず、維新・国民へ協力を要請している。立憲と自民は、維新・国民へ向けて綱引き競争を始めた。
『読売新聞 オンライン』(10月29日付)は、「立憲民主、政権交代へ野党結集に注力 国民民主・維新は後ろ向き」と題する記事を掲載した。
立憲民主党は、衆院選で自民、公明両党を過半数割れに追い込んだことを踏まえ、政権交代の実現に向けて野党勢力の結束に注力する。近く召集される特別国会の首相指名選挙で協力を得たい考えだが、鍵を握る国民民主党などは慎重姿勢を崩しておらず、連携の行方は見通せていない。
(1)「立民は28日、党本部で執行役員会を開き、ともに連合の支援を受ける国民を軸とした野党への働きかけを強めていく方針を確認した。小川幹事長は会合後、首相指名選挙などへの対応について「野党各党に連携や協力を呼びかけることで一致した。様々な調整に入る」と記者団に語った。野田代表はこれに先立ち、東京都内の連合本部を訪れ、連合の芳野友子会長と会談した。会談後、野田氏は記者団に「野党のチームをどう作るかに心を砕いていきたい」と意欲を見せた。芳野氏からは「立民も国民も躍進できた。ぜひ我々の要求を受け止めて対応してほしい」と両党の連携への期待感が示されたという」
立憲民主党は選挙運動中、「政権取りに行く」と宣言してきた経緯から言っても、政権獲得への具体的な行動をみせなければならない立場だ。ただ、野党はバラバラである。選挙の共闘もできなかった内部事情を抱えている以上、連立政権を組むなどあり得ないことなのだろう。
(2)「ただ、他党は連携に後ろ向きなのが現状だ。国民の玉木代表は28日、「外交・安全保障、原発を含むエネルギー政策や憲法などについて一致がなければ、協力は難しい」との認識を改めて訴えた。野党第2党の日本維新の会の藤田幹事長も同日、首相指名選挙に関し、「立民とは政策について大幅に違う部分が多々ある」と指摘し、協力に否定的な姿勢を重ねて強調した。野田氏は他党のこうした立場も踏まえ、野党党首会談の開催も検討しており、直談判を通じて事態打開につなげたい考えだ」
原発政策を巡っても、立憲は廃止、維新と国民は継続となっている。立憲の金融政策では、日銀の「物価上昇2%目標」廃止を主張。「0%超」へと主張している。これで、実質賃金をプラスになるとしているが、これは不可能であろう。名目賃金引き上げ理由は、賃上げ分を物価に反映させて、名目成長率のアップによって歳入増を図る循環構造を描いている。「物価0%超」目標では、強力な賃上げ理由がなくなるのだ。元の木阿弥になる。
『毎日新聞 電子版』(10月29日付)は、「国民民主・玉木代表、部分連合『定義がわからない』連立入りは否定」と題する記事を掲載した。
与野党は29日午前、衆院選の結果を受けた政権枠組みを巡る動きを続けた。国民民主党の玉木雄一郎代表は29日の定例記者会見で、衆院選で過半数割れした自公連立政権への参加について「政策実現に全力をあげるので連立はありません」と改めて否定した。
(3)「政策ごとに連携する「部分(パーシャル)連合」については「定義がわからないことにはお答えしにくい」と明言を避けた。国民民主から閣僚を出さずに政権に協力する「閣外協力」の可能性についても「どういうことなのか定義による。政策ごとにいいものには協力するし、駄目なものは駄目と貫いていく」と述べるにとどめた」
玉木氏は、「是々非々」というフリーハンドをもって政策の実現を図るスタンスである。国民民主党は、キャスティンボードを握る形だけに有利な立場でだ。
(4)「玉木氏は会見で、自民党や立憲民主党、日本維新の会などと幹事長や国対委員長レベルで情報交換をしているが「決まったことはない」と説明。国民民主側から「具体的に要求していることはないと聞いている」とし、党首会談の予定も「未定」と述べた」
玉木氏は一転、自民党や立憲民主党に対して、「売り手の立場」になった。このチャンスを生かして、党勢拡大を図るのであろう。
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