自民党は5日、衆院選を総括するための両院議員懇談会を7日に開催すると発表した。石破首相(党総裁)と党所属議員が意見交換する予定で、首相や森山幹事長ら党執行部への批判が噴出する可能性もある。党内には、「衆院選の総括なしに、首相指名選挙で『石破』と書いてくれと言われても納得できない」(中堅議員)との声があるという。このため、11日召集の特別国会に先立ち、懇談会を開くことになった。
『日本経済新聞 電子版』(11月5日付)は、「自民党『石破おろし』に動けぬ非主流派 大敗で内紛難しく」と題する記事を掲載した。
自民党は、衆院選で与党過半数割れとなった結果を総括する。執行部と距離を置く非主流派も落選が多く、石破茂首相(党総裁)に交代を求める迫力はない。少数与党で内輪もめすれば政権を失いかねない危機感があり、予算編成・審議や参院選を控え様子見する。
(1)「全所属国会議員が出席できる両院議員懇談会を7日に開催し、衆院選の結果に関して意見交換する場を設ける。首相は5日の党役員会で「よく意見を賜りながら今後の党運営に皆さんとともに努力したい」と発言した。公示直前の党公認を巡る混乱や非公認候補の党支部への2000万円支給といった党執行部の対応が議席減の一因となったとの指摘がある。責任論が浮上し、首相や森山裕幹事長の辞任を求める声が出ているものの広がりは欠いている」
両院議員懇談会は、どうなるか。荒れれば、未だ反省が足りない証拠であろう。
(2)「高市早苗前経済安全保障相ら次の首相をめざす「ポスト石破」候補は、すぐに倒閣に動く気配がない。自らの側近議員の落選が相次いだことが大きい。首相に批判的な傾向が強かった旧安倍派は2023年12月時点から衆院議員が6割減の22人にまで減った。高市氏は党総裁選での推薦人20人のうち7人が落選・不出馬だった。鈴木淳司元総務相や高鳥修一氏らを含む。石破政権で役職を断った小林鷹之元経済安保相は推薦人のうち6人が議席を失った。
現状で、石破氏を批判できるとすれば、解散を巡る早急さであろう。「臭いものに蓋」で大急ぎで選挙へ突入した。この誤った判断が傷を大きくした。
(3)「推薦人の落選・不出馬は支持勢力の縮小を意味する。首相が5人、小泉進次郎前選挙対策委員長が3人、林芳正官房長官は2人にとどまる。これに比べると、非主流派に身を置く高市、小林両氏の打撃がより大きい。まずは足元を固めることに注力せざるを得ない。高市氏は5日夜、都内ホテルで総裁選で自身を支えた議員らと会食した。選挙対策本部長を務めた中曽根弘文元外相が「大きな政局が予想される時期だからこそ結束が不可欠だ」と会合を設定した。小林氏も同年代の中堅・若手らと結びつきを強める」
非主流派は、大量の落選者を出した。カネにまつわる問題を抱えていたのだろう。となれば、ますます、石破批判はできなくなる。自分の不始末が原因であるからだ。
(4)「党執行部のひとりは「いま腹を決めて石破おろしをやれる人はいない」と話す。派閥全盛だった40日抗争の時代と異なり、衆目が一致する代わりの首相候補がいない。いま不満を持つ議員が高市、小林両氏らでまとまっているわけではない。7日の懇談会について「ガス抜きに終わる」との見方がある」
大平・福田で繰り広げた「40日抗争」は、派閥全盛時代の遺物である。今や、派閥が形の上では消えて、団結力を維持できなくなっている。
(5)「11日召集の特別国会での首相指名選挙を経て第2次石破内閣は少数与党として発足する見通しだ。国民民主党など野党の協力を得なければ予算案や法案を通せない。2025年度予算案が成立する春までは自民党内で権力闘争する余裕はない。高市氏の側近は「今は誰が首相をやっても難しい。首相に衆院選の責任はあるが、しばらくは続投すればいい」と話す。」
反石破として先頭に立つべき高市派が、戦いをギブアップしている。良識を働かせざるを時代なのだ。
(6)「来夏は参院選が控える。少数与党になれば野党が提出する内閣不信任決議案が可決される展開もありうる。与野党の対決次第でいつ衆院解散・総選挙になってもおかしくない。当面の課題である予算の成立後、首相の支持率が低いままならば選挙の顔を意識して党内から退陣論が強まる雰囲気になりやすい。旧安倍派「5人衆」の一人は「参院選までは石破政権がもたないだろう」と指摘する。こうした潮目が変わるのを待つ構えが目立つ」
こういう感覚は、自らの責任を忘れている証拠だ。自民党を惨敗させたことへの反省がないのは驚きである。
(7)「首相は、党総裁の任期が27年9月まで続く。続投の意向を示す限りは、党内の批判勢力が首相の座から引きずり降ろすのは難しい。首相指名選挙や内閣不信任決議案で造反すれば、野党に政権を明け渡す事態になりかねない。非主流派は動けないジレンマに陥っている」
反石破行動を始めれば、自民党は政権没落に繋がる。石破氏への不満があっても、「政権党」の魅力から、行動は慎重になろうという。卓見である。
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