韓国経済がふらついている。与野党の対立によって、国内世論が殺気だっていることも影響している。再び、ユン大統領弾劾運動も始まっており、左派の反政府運動が消費者に不安感を与えているのだ。韓国企業の半数が、25年に緊縮経営をする計画であることもわかった。韓国経営者総協会によると、従業員30人以上の企業239社を調査した結果、49.7%は25年の経営計画基調を「緊縮経営」と答えている。
『東亜日報』(12月2日付)は、「OECD『韓国は6年連続で潜在成長率を下回る』」と題する記事を掲載した。
韓国銀行が来年と再来年の経済成長率の予測値を1%台に下げている中、韓国経済の成長率が来年まで6年連続で潜在成長率に達しないだろうという予測が出た。経済生産性の低迷が長期間続き、構造的景気低迷への懸念も高まっている。
(1)「韓銀が12月1日、国会に提出した資料によると、5月、経済協力開発機構(OECD)は韓国の実質国内総生産(GDP)と潜在GDPの格差を示すGDPギャップが、2020年から来年まで連続マイナスを示すものと予想した。GDPが、潜在GDPを長い間下回るということは、生産設備と労働力など一国が保有している生産要素がまともに使われていないという意味で、長期的な景気低迷の可能性を示唆する」
韓国経済は、OECDによれば2020~25年まで、潜在成長率を下回る成長率であることが分った。韓国が、長期的構造不況に陥っているとみられる。「克日」(日本に勝った)ムードに水を差すことになろう。
(2)「韓国のGDPギャップは、2001年から2019年までは2年連続でマイナスを示したことがなかった。しかし、年度別GDPギャップ率は、2020年のマイナス2.5%を皮切りに、2021年(マイナス0.6%)、2022年(マイナス0.3%)、2023年(マイナス1.0%)などマイナス行進を続けており、2024年と2025年もそれぞれマイナス0.4%とマイナス0.3%を示すと試算された」
韓国のGDPギャップは、2001~19年まで2年連続でマイナスになることはなかった。それが、2020年代へ入ってから「連続化」しているのは、文政権時代の大幅な最低賃金引上げが、経営者に罰則を伴って強行された影響を無視できない。さらに、年功序列賃金による上昇で、中高年社員解雇が雇用構造を破壊している。こうした「政策ミス」が、韓国経済を追込んでいる。
(3)「主要7ヵ国(G7)のうち、6年連続でGDPギャップのマイナスが予想される国は、フランスが唯一だ。日本と米国は、2023~2025年の3年連続の実質成長率が潜在成長率より高いと予測された。韓国経済成長に対する警告音が相次ぎ、構造的長期低迷がすでに始まっているという評価も出ている。高麗(コリョ)大学経済学科のカン・ソンジン教授は、「6年連続のマイナスということは、すでに韓国が構造的不景気に直面しているという意味だ」とし、「今は本当に既存の製造業中心の経済成長戦略が限界に達したのではないか、という根本的な質問をする時になっている」と説明した」
G7では、日本と米国が2023~25年の3年連続で、実質成長率が潜在成長率を上回ると予測されている。日本の場合は、従来にない高い賃上げが個人消費を刺激し、設備投資を促す好循環過程へ入っていることを示している。韓国は、頑なに年功序列賃金体系を守っており、これが中高年社員解雇という悲劇を生んでいる。
『東亜日報』(11月21日付)は、「『経済の腰』40代の雇用が過去最大の減少幅」と題する記事を掲載した。
今年第2四半期(4~6月)は30歳未満の若年層と「経済の腰」を担当する40代の雇用が、それぞれ過去最大幅の減少を記録した。建設業などを中心に内需業況が不振だったためと分析される。一方、60代以上の雇用は全体賃金労働雇用の増加幅を上回り、雇用が高齢層に偏る現象が一段と強まっている。
(4)「20日、統計庁が発表した「2024年第2四半期の賃金労働働き口の動向」によれば、今年5月基準で全体賃金労働者雇用は2083万9000人で、1年前より25万4000増えた。これはコロナ禍だった2020年第2四半期(21万1000)以来、最も少ない増加幅だ。年齢別に見ると、30歳未満の雇用が13万4000減り、関連統計を取り始めた2017年以降、最大幅の減少を示した。40代も5万6000が減り、同様に史上最大幅の減少となった。一方、高齢層である60代以上の雇用は26万1000が増え、全体賃金労働雇用の増加幅を上回った。50代と30代の雇用も、それぞれ12万4000と5万9000が増えた」
驚くべきことに、30歳未満と40代の雇用が過去最大の減少である。一方、60代以上の雇用が増えている。これは、何を意味するかだ。賃金上昇率が高くなる年代を解雇していることだ。60代以上は低賃金の短期雇用増である。こういう歪な雇用構造の韓国が、構造不況へ落込むのは不可避であろう。
コメント
コメントする