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韓国政治は、これまで混乱の極にあった。最大野党は、国会の多数を占めて政府の政策を阻止することに全力をあげてきた。こうした事態の中で、非常戒厳という不幸な事態を迎えた。歴史の歯車を逆回転させる動きだ。韓国の政情が、余りにも不安定であり政策が空転していた。来るべきものが来た、というのが実感である。

北朝鮮が、ロシアとの関係を強化しており軍事的にも不穏な情勢が生まれていた。今回の非常戒厳は、国防相の建議とも伝えられている。北朝鮮が、何らかの動きを見せていたのかもしれない。38度線を境に、未だに「休戦状態」にある韓国だけに、日本では分らない緊迫した事態が持ち上がっているとも考えられる。

 韓国憲法は第77条で、大統領は、戦時などの国家緊急事態や公共の安寧秩序を維持する必要がある場合に、戒厳令を宣布することができると定めている。非常戒厳が宣布された際は、法律が定めるところにより、言論・出版・集会・結社の自由などに関する特別な措置をとることができるとしている。

韓国国会は4日未明、非常戒厳の解除要求決議案を出席議員190人の全員賛成で可決した。憲法の規定によると、国会の過半数が賛成した場合、戒厳令を解除しなければならない。禹元植国会議長は可決後、「大統領は直ちに戒厳を解除しなければならない。もう非常戒厳宣布は無効だ。国民の皆様は安心してください」と発言した。

『読売新聞オンライン』(12月3日付)は、「韓国が戒厳令、尹大統領『野党が反国家行為』戒厳軍が国会に入る」と題する記事を掲載した。

(1)「尹錫悦大統領が非常戒厳を宣言し、一切の政治活動を禁止した。尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は3日夜、緊急談話を出し、政党活動の禁止や報道機関の活動を制限する「非常戒厳」を宣言した。野党が政府高官の弾劾訴追案を提出したり予算案の削減を求めたりしていることを理由に挙げ、「憲政秩序を踏みにじる明白な反国家行為」だとした。韓国では反対する市民が国会前に集まるなど混乱が広がっている」

野党には、節度を持った対応が欲しかった。福島処理水放出でも、中国と連携して反対するなど、科学的姿勢は一切みせずただ、煽り立てていた。

(2)「戒厳司令官が布告した3日午後11時時点の「戒厳司令部布告令(第1号)」によると、反国家勢力の脅威から自由民主主義と国民を守るためとして、議会や政党など一切の政治活動の禁止や、すべての報道と出版の統制、集会行為の禁止といった措置が示され、違反者に対しては令状なしに逮捕、拘禁、押収捜索ができ、処罰するなどとした」

非常戒厳は、相当の根拠がなければ発動できないはずだ。いずれ、真相が明らかになるだろう。問題の所在はどこにあったのか。これでまた、韓国経済は一段の落込みだ。

(3)「大統領府で緊急の特別談話を発表した尹氏は、国会で過半数を握る最大野党「共に民主党」などが政府高官や検事らの弾劾訴追案提出を繰り返し、治安に関する内容を含めた予算案の削減を求めているとして、「国政がまひ状態にある」と指摘した。その上で、国会が「犯罪者集団の巣窟となり、国家の司法・行政システムをまひさせ、自由民主主義体制の転覆を企てている。国会が自由民主主義体制を崩壊させる怪物になった」と主張。今回の戒厳令の目的について「北朝鮮に従う勢力を撲滅し、自由憲政秩序を守る」とした」

下線部は事実であり、最大野党「共に民主党」代表・李在明氏を無罪にすることが最大目的になっていた。政府高官や検事らの弾劾訴追案提出を繰返し、国会審議を妨害してきた。

(4)「国民に向けては、「善良な国民に多少の不便はあるが、不便を最小限に抑えることに力を注ぐ」とした上で、「自由な韓国の永続性のためにやむを得ず行うものであり、国際社会で責任と貢献を果たす対外政策に変わりはない」と理解を求めた」

韓国国民は、自らの政治選択が国政を麻痺させていることに冷静な判断を加えるべきである。こういう事態は、今回をもって最後にさせるべきだ。