セブン&アイ・ホールディングスは、創業家による買収提案を受けているが、実現に向けて布石が打たれている。9兆円とも言われる買収資金調達では、日本のメガバンク3行の他に、三井住友信託など2行も買収資金融資に対応と伝えられている。ただ、9兆円という資金負担が、いずれ大きくのし掛ることは必至であるので、北米事業を株式公開して1兆円程度を確保する案も検討されているという。
『ブルームバーグ』(12月4日付)は、「セブン北米事業IPO検討、創業家のMBO計画の一環でー関係者」と題する記事を掲載した。
セブン&アイ・ホールディングスの創業家による同社への買収提案の一環で、創業家陣営が買収後に北米でコンビニエンスストア事業を手掛けるセブンーイレブン・インク(SEI)の新規株式公開(IPO)を検討していることが4日、分かった。1兆円を超える規模の資金調達につなげ、MBOに伴う借り入れの返済に充てる。複数の関係者が明らかにした。
(1)「創業家の伊藤一族による買収提案では、経営陣による買収(MBO)に最大9兆円がかかる見通し。関係者によると、創業家や伊藤忠商事が出資し、3メガバンクなどから最大6兆円規模を借り入れてまかなおうとしているが、負担が大きくなりすぎるため、北米事業のIPOで得た売却益を返済に充てる。また関係者の1人によると、IPO後もセブン&アイは一定程度の持ち分を維持する計画という」
融資は、最大6兆円規模になるという。これだけの巨額借入は、金利負担が大きいことから北米事業のIPO案を見当している。セブン&アイは、一定程度の持ち分を維持する計画だ。
(2)「カナダのコンビニエンスストア大手、アリマンタシォン・クシュタールによる買収提案への事実上の対抗策としてMBO計画が浮上。史上最大のバイアウト(注:議決権の過半を支配)になる可能性もあるセブン&アイのMBO案は、大規模な借り入れ負担への対処が課題だった。SEIのIPOで1兆円を超える規模の資金が手に入り、返済計画の説得性が増すことでメガバンクなども巨額融資に応じやすくなり、MBO計画の実現性が高まる」
北米事業のIPOが実現すれば、MBOによる買収後の金利負担が軽減される。これによって、金融機関も融資しやすい条件が生まれる。一挙両得である。
(3)「報道を受けてセブン&アイ株は上げに転じ、一時2.7%高の2683円(注:終値2620円)を付けた。SEIは北米で、セブン-イレブンやガソリンスタンド併設型コンビニチェーンのスピードウェイなどを展開する。セブン&アイの資料によると、今期(2025年2月期)のSEIの売上高は573億ドル(約8兆6000億円)の見通し。これまでセブン&アイは北米事業を成長の柱として位置づけてきた」
伊藤家側が、北米事業のIPOを検討しているのは、日本国内事業などを守って、クシュタールへ渡さないという強い決意である。
(4)「IPOを通じた資金調達プランが浮上し前進したように見えるものの、MBO案には課題も残る。創業家と伊藤忠が主な出資者となる計画だが、資本は十分に集まっておらず、創業家側は複数の投資ファンドに資本性資金の要請を行っている。出資と資本性資金の合計で3兆円規模の調達を目指している」
創業家と伊藤忠が主な出資者とされている。だが、ダークホースとして三井物産も満を持している。大手商社では、伊藤忠と三菱商事がコンビニ事業と関わっているが、三井物産は完全に出遅れている。それだけに、妙手を編み出す可能性も残されている。


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