韓国社会は、政治的関心が高い反面で将来への不安心理が高まる「矛盾した構造」に陥っている。自信をもって大統領弾劾訴追案に賛成したのであれば、意気揚々とすべきであろう。だが、逆に不安に陥るという矛盾した心理状態で、財布の紐を締めるアベコベ現象を呈している。
『ハンギョレ新聞』(12月25日付)は、「韓国、『内乱ショック』で消費心理が急激に冷え込む コロナ禍以来最大幅の萎縮」と題する記事を掲載した。
韓国では「12・3内乱事態」ショックの余波で、消費心理が新型コロナパンデミック以来最も大幅に悪化した。
(1)「韓国銀行が24日に発表した消費者動向調査の結果によれば、12月の消費者心理指数(CCSI)は88.4で、前月より12.3ポイント下がった。これは新型コロナパンデミックの衝撃が襲った2020年3月(-18.3ポイント)以来最大幅の下落だ。指数自体も2022年11月(86.6)以来2年1カ月ぶりの最低水準だ。内乱事態のショックで消費心理が急激に冷え込んだと分析される」
12月の消費者心理指数が88.4で、前月より12.3ポイントもの急落である。大統領弾劾ショックである。
(2)「消費者心理指数は、現在の生活状況・生活状況見通し・家計収入見通し・消費支出見通し・現在の景気判断・今後の景気見通しからなる6つの指数を利用して算出した指標だ。指数が100より大きければ消費者の期待心理が長期平均(2003~2023年)より楽観的という意味であり、100未満ならば悲観的という意味だ」
消費者心理指数の構成項目からみて、経済に対する総合的判断である。これが、韓国社会の偽らざる「現状判断」である。先行き警戒論である。
(3)「韓国銀行のファン・ヒジン統計調査チーム長は、「米国大統領選挙結果にともなう輸出鈍化の懸念などで11月にも小幅に下落したが、今月初めの非常戒厳事態でさらに大幅に下落した」として、「政治的不確実性がどれくらい早く解消され安定を取り戻すかによって、消費心理の回復速度も決まるだろう」と話した。これに先立って韓国銀行のイ・チャンヨン総裁は18日、物価説明会で「(内乱事態以後)様々な不確実性のために急激に下がった消費心理を安定させることが何より重要だ」と診断している」
大統領弾劾訴追が、憲法裁判所で認められれば初夏には次期大統領選挙になる。ただ、朴槿恵大統領弾劾の際にも明らかになったが、2年間の個人消費は停滞する。早期回復は期待薄である。
(4)「消費者心理指数を構成する6つの指数が全て大幅に下落した。現在の経済状況に対する認識を示す現在の景気判断(52)と、6ヶ月後の景気見通しを示す今後の景気見通し(54)が最も大幅(18ポイント)に下落した。各々2020年3月以降、2022年7月以降で最大の下落幅だ。現在の生活状況(4ポイント)、生活状況見通し(8ポイント)、家計収入見通し(6ポイント)、消費支出見通し(7ポイント)も軒並み下がった」
景気悪化見通しが、最も大きいことが分る。これは、雇用不安や小幅賃上げという連想に繋がっている。
(5)「住宅価格見通し指数(103)は前月より6ポイント下落した。マンション売買価格の上昇傾向が鈍化した影響で、9月(119)に約3年ぶりの最高水準を示して以来3カ月連続で下がっている。韓国銀行が10・11月連続で基準金利を引き下げたが、金利水準見通し指数(98)は前月より5ポイント上昇した。6カ月後の金利水準は今より低くなるだろうという見通しが依然として優勢だが、家計融資の規制および管理強化にともなう融資金利の上昇基調が影響を及ぼしたと韓銀は分析した」
住宅価格見通しまで悪化させている。政治不安の招く範囲が、広範に渡ることを示している。
(6)「今後、1年間の物価見通しを示す期待インフレ率は2.9%で、前月より0.1ポイント上昇した。消費者物価の上昇率が鈍化し、今年5月以降は下落傾向を示していたが上昇に反転した。最近、ドルに対する韓国ウォンの価値が急落し、米国発のインフレ圧力が高まるだろうという見通しなどが影響を及ぼしたものと分析される」
政治不安によってウォン相場下落を招き、これが国内物価を上昇させるという、きわめて整合的な見通しになっている。驚くほど論理的である。この韓国社会が、大統領弾劾でお祭り騒ぎを演じ後で不安心理に陥るのは、これまた不可解な現象である、
(7)「今回の調査は12月10~17日に全国2500世帯を対象に行われた。回答の90%以上が国会による尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領弾劾訴追案の可決(14日)以前に集められたものだと韓銀は明らかにした」
来年1月の消費者心理指数は、さらに悪化している。調査期間が、100%大統領弾劾訴追案可決後になるからだ。仮に、大統領逮捕の事態になれば、底なしの悪化になろう。


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