ホンダ・日産・三菱で世界3位
トヨタは中国でEV工場を建設
EV世界決戦は日本が断然有利
ラピダス最先端半導体が武器に
EV(電気自動車)の登場が、世界の自動車業界を「100年に1度」の激変期に変えた。動力源がガソリンから電気へ変わって、自動車製造方法が大変革を起こしたからだ。EV部品は、内燃機自動車の3分の1で済むとされる。それだけに、他産業からの新規参入が跡を絶たない「激戦産業」へ変貌した。その象徴が、中国にみられる「EV地獄」である。
自動車は、日本経済の基盤産業である。2022年で、全就業者の1割(約560万人)、名目GDPの2.5%(約14兆円)を占めている。戦後、日本経済の工業化を支えたのは、この自動車と家電であった。雇用吸収力が高く、政府が産業政策として支援した理由もここにあった。
時代は変わり、政府といえども自動車再編へ口出しできる環境にない。企業の自主的判断で、再編を進める以外に道はないのだ。今回、ホンダと日産自動車が統合することで基本合意した。26年8月をメドに共同で持ち株会社を設立し、統一すると発表したが、政府はもちろん蚊帳の外である。
この両社の統一案について、日産自動車の前会長ゴーン氏(逃亡中)は、否定的見解を表明した。「両社の間に補完性がないように見える。産業上、意味が無い。うまくいくだろうか」と懐疑的な見方だ。「二社とも日本の自動車会社で、強い分野も弱い分野も同じだ」として相乗効果は望みづらいと分析した。両者間の重複する技術などの取捨選択は、難題になると指摘している。
ゴーン氏の指摘は、正しいだろうか。ゴーン氏は、逃亡中の身である。世界の自動車を取巻く状況が、必ずしも十分に把握されているとは思えない箇所があるからだ。それは、「二社とも日本の自動車会社で、強い分野も弱い分野も同じ」という部分である。合併相手が海外企業であれば、統合は成功すると言えないからだ。現に、フランスのルノーと日産の資本提携は、意思疎通面で円滑でなかった面がみられた。企業は、国籍にかかわらず、技術的に補完できる条件を備えていれば、円滑に行くものなのだ。
特に、冒頭に指摘した「100年に1度の激変期」を乗り越えられる条件として、技術的な補完性が重要な要因になる。製造業での企業統一は、技術的な補完性が重要な要因である。具体的に言えば、日産自動車はEV、ホンダはHV(ハイブリッド車)、参加が有力視される三菱自動車は、PHV(プラグインハイブリッド車)で、でそれぞれ相互補完できる関係にある。ゴーン氏の指摘が、間違いであることを示唆している。
ホンダ・日産・三菱で世界3位
今回のホンダ・日産の統一では、両社の販売台数が年間700万台を上回り、三菱自動車を加えれば800万台を超える点に注目が集まっている。現在の世界1位はトヨタ、2位がフォルクスワーゲン(VW)、そして3位は、韓国の現代自に代わって、ホンダ・日産・三菱がランクインするからだ。
世界自動車販売台数(2023年)
1位 トヨタ 1123万台
2位 VW 923万台
3位 ホンダ・日産・三菱 813万台
販売台数が増えることは、生産合理化効果が高まることを意味する。具体的に、次のような効果が期待できる、としている。
ホンダと日産は、7つの分野で統合効果を引き出す。
1)車の基礎構造となる車台の共通化を目指す。
2)同じ車台をベースに内外装の異なる独自車種を両社が投入する。
3)研究開発拠点は統合する。
4)生産体制も見直す。世界にある両社の生産拠点を相互に利用する。
5)工場稼働率を高め、人件費などの固定費削減につなげる。
6)部品共同調達を広げることで供給網を最適化し、規模拡大による競争優位性を確保する。
7)販売金融サービスの統合。
こうした統合による合理化目標に対して、格付け企業はどのような評価をしているか。ムーディーズ・レーティングスは、両社の信用力に全体的にはポジティブであるものの、ホンダにとってはリスクを伴うと、指摘した。ムーディーズのシニアアナリストのディーン・エンジョー氏は、事業規模の拡大は特に信用指標が低い日産にとって信用力の強化につながると指摘。両社は研究開発コストを共有することも可能になると述べた。『ブルームバーグ』(12月23日付)が報じた。
ホンダの四輪車事業の利益率は、二輪車事業に比べて低いのが悩みである。これが、日産の自動車事業を吸収することで、収益の柔軟性を低下させると指摘する。ホンダにとってはリスクを伴うとしている点だ。ホンダは、企業統一で営業利益率10%を目標にした。実現できれば、自動車の世界企業として恥ずかしくない経営基盤が確立される。トヨタですら、10%の営業利益率は、2015~16年に達成しただけである。(つづく)
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