韓国政界は、機能停止の渦中にある。高位公職者犯罪捜査処(公捜処)は25日、2回目の出頭要求にも応じない尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する逮捕状請求をめぐり「あまりにも遠い段階」とし「まだ検討する部分が多い」と明らかにした。要するに、尹大統領の逮捕は差し迫った事態でないことが明らかになった。尹大統領が最後まで出頭しない場合、公捜処が3回目の出頭要求をするのか、逮捕状請求をするのかに耳目が集中する中、公捜処は「逮捕状請求はあまりにも遠い段階」という立場を明らかにしたのだ。
この事態を苦々しくみているのが、最大野党「共に民主党」代表の李在明氏であろうとの予測がされている。早期の大統領選になれば、李氏が当選の可能性があるからだ。ただ、李氏は選挙法1審で有罪判決を受け目下、控訴審に身を委ねている。有罪になれば、10年間の立候補が禁じられる。それだけに、早く尹氏が有罪になれば、李氏が有利になるとソロバンを弾いているとみられる。駆け引きしているのだ。
『中央日報』(12月25日付)は、「弾劾事態が政界に送った警告状」と題するコラムを掲載した。筆者は、チェ・ジンウォン/慶煕大公共ガバナンス研究所教授である。
憲法裁判所が、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の12・3非常戒厳宣言行為が、正当な政治・統治行為かどうかを審理して判決するまでもう憲法裁の時間だ。弾劾以降、政界は次期大統領選挙をめぐり深刻な対立を予告している。憲法裁がいつ判決を出すのかという時点をめぐっても激しく対立している。8件の事件、12件の容疑で裁判を受ける李在明(イ・ジェミョン)民主党代表の次期大統領選挙出馬可否と直結しているからだ。
(1)「憲法裁は、180日以内に結論を出さなければいけないが、順調には進まないと予想される。弾劾賛成・反対側の市民団体がそれぞれ大規模集会を予告しながら味方に有利な判決が出るよう圧迫する支持層結集戦略を見せているからだ。政界もこれに乗る勢いだ。すでに政略的な政界の早期大統領選挙時計は作動している。弾劾の受恵者である李在明代表は、すでに「憲法裁は手続きを迅速に進めるべきだ」と圧力を加えている。李代表は「国政安定協議体」も提案し、地域貨幣予算のための補正予算編成に言及するなど国政主導権争奪戦に動いている」
憲法裁判所は、180日以内に結論を出さなければならないが、ギリギリまで遅れるであろう。李在明氏は、早急に結論を出せと圧力をかけている。自分の控訴審判決が出る前に、憲法裁判所の結論が出れば、有利になるからだ。露骨である。
(2)「国民の力は、弾劾賛成党論を提案した韓東勲(ハン・ドンフン)代表を辞任させるなど民心に逆行している。国民の力は、「李在明有罪」の反射利益を期待する戦略で早期大統領選挙での幸運を願っている。政界は、弾劾後にも戒厳事態を呼んだ陣営対決をまともに反省していない。手段を問わず権力を握ろうとする「選挙至上主義」に固執している。こうした態度に固執すれば国民は怒りの鉄槌を下すだろう」
与党「国民の力」は、李氏に有罪判決が出れば、与党へ有利になると踏んでいる。
(3)「もう政界は、小細工をやめて責任ある行動をとらなければいけない。多数決の暴政で法治主義を脅かす民衆扇動家の「民主政」と、戒厳を宣言する僭主扇動家の「僭主政」がもつれて民主共和国がどのように墜落するかを省察し、これを治癒・予防することに力を合わせる必要がある。2つのことが重要だ。「尹錫悦有罪」が、「李在明有罪」を隠す免罪符になってはいけない。政界が相手陣営の「有罪」で自分たちの陣営の過ちを隠そうとする手法から抜け出さなければいけない」
「尹錫悦有罪」が、「李在明有罪」を隠す免罪符になってはいけない。これでは、韓国政治が浄化されないのだ。大統領弾劾という非常事態は、今回を最後にもう終らせるべきだ。
(4)「1つ目、戒厳勢力に対する与党の粛静が求められる。戒厳事態は、逮捕・拘禁などで政治的競争者を除去しようとしただけに政治失踪を象徴する。政治は、複数の人たちが対話をして公論をすることだ。戒厳は、言葉でなく強圧的武力を使用したという点で極めて反政治的だ。今回の事態は、21世紀の脱冷戦時代に「冷戦(反共)自由主義哲学」で武装した戒厳勢力が反則負けを喫したようなものだ。「金建希(キム・ゴンヒ)特検」を前面に出して、自身の司法リスクを防弾しながら大統領選掌握を狙った李在明代表を捕らえようとした尹大統領は逆に捕虜の身になった」
このパラグラフは、秀逸である。尹大統領の本音部分を、ズバリ指摘している。これが、真相であろう。
(5)「2つ目、民主党の自省が必要だ。民主政治は、混合政を追求する民主共和政とは違い、多数派と少数派が対立する不安定な政治体制だ。このため民衆扇動家と僭主扇動家が競争する中で没落するとみるアリストテレスの「政体循環論」で今回の事態を眺める必要がある。今回の事態は、尹錫悦大統領と与党の責任だけでなく、立法独裁と弾劾を乱発しながら極端政争を誘発した野党にも責任がある。特に民主党は、李代表の犯罪容疑を捜査した検事を次々と弾劾した。選挙法1審で有罪を受けた李代表は、2審の裁判を遅延させようとした。政界は、弾劾後に尹錫悦も李在明も法の上にいないことを立証し、国民の信頼を得なければいけない」
最大野党「共に民主党」の責任も重い。李代表の犯罪容疑を捜査した検事が、次々と弾劾されたからだ。韓国政治は、民主主義からほど遠い感じが強い。与野党ともに、深い反省が必要であろう。


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