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韓国半導体は、サムスンのファンドリー事業(受託生産)の赤字で将来性に赤信号が灯っている。サムスンは、米テキサス州テイラー市に半導体工場建設計画を立てたが、当初予定の規模を縮小した。ファンドリー事業の技術的限界の結果とみられている。こうした状況を受けて、韓国の半導体学会はファンドリー事業への危機感を強め、サムスン依存からの脱却を目指している。国営半導体企業の設立構想が出てきた背景である。

『レコードチャイナ』(12月28日付)は、「韓国半導体 起死回生の『KSMC』設立を計画 経済効果は30兆円以上―中国メディア」と題する記事を掲載した。

中国メディア『環球時報』(12月27日付)は、韓国メディアの報道を引用し、台湾がTSMCで成功した方式にならい、韓国政府が国営ファンドリー「KSMC(Korea Semiconductor Manufacturing Company)」の設立を計画していると伝えた。

(1)「記事は、初めに「ソウル新聞など複数の韓国メディアによると、韓国の国家工学アカデミー(NAEK)で先ごろ開かれた検討会で、韓国工業界と学術界から台湾のTSMCのように政府が援助するファウンドリーメーカーの設立が提案されたという。この計画は、国内半導体産業が直面する課題に対処し、世界市場での競争力を強化するために、(最先端、伝統的なものを含めた)多様な製造プロセスを通じてファウンドリとファブレス(工場なし)企業の間でバランスの取れたシステムを構築することを目的としている」

「国営半導体企業設立構想」は、サムスンがファンドリー事業から撤退する事態を想定したものである。こうした最悪事態に陥ると、多様な製造プロセスが育成できなくなるという危機感が強く出ている。

(2)「専門家の試算では20兆ウォン(約2兆1500億円)規模の投資で、2045年までに300兆ウォン(約32兆円)の経済効果を生み出すという」と伝えた。続けて、「韓国の半導体業界の関係者によると、今年の半導体の業績は回復基調にあるものの、業界が歴史的に最大の危機を迎えていることに変わりはなく、世界で半導体産業の競争が激化する背景の下で、これまで韓国がリードしていたメモリチップの技術は徐々に弱まりつつあり、投資も先送りされ、人材流出や政策のサポート不足などの問題が業界の発展を難しくしている」

ファンドリー事業は、20兆ウォン(約2兆1500億円)程度の規模では、競争力を持てないとされている。日本のラピダスのように最低5兆円規模の投資が必要だ。このことからも、「KSMC」は、本格的な事業構想でなさそうだ。

(3)「データによると、「18~23年で、韓国のメモリチップ輸出額は830億ドルから、ほぼ半分の429億ドルまで減少した」と伝えた上で、専門家の意見として「KSMC構想は業界内の構造的な問題を解決し、台湾のUMC(聯華電子)やPSMC(力晶積成電子製造)のような、特殊な工程にも対応可能なファウンドリ企業と先進的な技術を持つ企業との間で相互補完ができるようになる。現在、韓国はサムスン電子の10ナノ以下の工程へ過度に依存しており、より多くの小型システムの企業が発展できずにいる」

サムスンは、5ナノ半導体で歩留まり率が20~30%と低く赤字経営である。それだけに、撤退が噂に上っている。これが、韓国の関連技術育成において危機を招くと危惧されている。

(4)「検討会でも、メモリと先進的なパッケージ技術の積極的な育成とタイムリーな設備投資の実行が主張された。ファブレスの半導体設計やパッケージ業界の成長の鈍化、人材流出、過剰な規制につながる現在のアラームを解決しなければ、韓国の半導体産業は世界の技術競争から脱落し、取り返せないほどの経済的打撃を被るだろう」と紹介し、「専門家は韓国政府が大企業の発展を後押しするのと同時に、中小企業へのサポートも強化し、中小の原材料や部品、設備メーカーへ直接投資することにより、半導体業界の製造システム全体の研究開発力の拡大を促すよう呼び掛けている」と指摘した」

すでに、ファブレスの半導体設計やパッケージ業界において人材流出が始まっている。これを食止めるべく、KSMC構想が出てきた。

(5)「記事は、最後に「業界関係者の中には、KSMCのような政府出資の企業が高度な製造プロセスへの挑戦に効果的に対処できるかを心配する声もあり、SKハイニクスからはサムスン電子の古いファウンドリ設備をKSMC計画の一部に利用することなどの提案がされているという」と伝えた」

サムスン電子の古いファウンドリ設備を、KSMC計画の一部に利用するなどが提案されている。これは、サムスンのファンドリー事業撤退を前提にした話だ。