中国国家統計局は27日、1月の製造業の購買担当者景気指数(PMI)が49.1と発表した。前月より1.0ポイントもの急低下となった。4カ月ぶりに好調・不調の境目である50を下回った。生産や受注不振が、響いたものだ。
24年のGDP成長率は、5.0%と政府見通し通りの伸びとなったが、25年1月の製造業PMIは、24年GDP成長率の足下を突き崩すような「低調」な内容である。これに刺激されたのか、習氏は27日、2026〜30年の新たな5カ年計画をまとめる意向を示した。「25年は(現在の)第14次5カ年計画の最終年だ」と述べ、「第15次5カ年計画の制定へ(党の)建議をまとめ、野心的な目標に向かってまい進する」としている。これで、不動産バブル崩壊後遺症を棚上げするのであろう。
『日本経済新聞 電子版』(1月27日付)は、「1月の中国景況感、4ヶ月ぶり50割れ 春節で工場稼働鈍く」と題する記事を掲載した。
中国国家統計局が、27日発表した1月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、4ヶ月ぶりに好調・不調の境目である50を下回った。長引く需要不足が重荷となった。28日からの春節(旧正月)休暇を前に労働者が早めに帰省し、工場稼働率が低下した影響も出た。PMIは、製造業3200社を対象に調べる。新規受注や生産、従業員数など項目ごとに数値化し合成する。50を上回れば前月より拡大、下回れば縮小を示す。
(1)「1月は、49.1で前月より1.0ポイント下がった。下げ幅は2023年4月以来の大きさとなった。PMIの内訳をみると、指数全体への影響が大きい新規受注が4ヶ月ぶりに節目の50を割り込んだ。生産も、24年8月以来の50割れとなった。回答企業の6割超が「需要が不足している」と答えた」
PMIが、1ヶ月で1ポイントも下落することは珍しい。新規受注が、4ヶ月ぶりに節目の50を割り込んだ影響が強く出ている。これまでは、「トランプ関税」を恐れて、米国へ駆け込み輸出をしてきた。25年に入って、これが剥落したことでPMIは急落したのであろう。とすれば、これからのPMIは、50割れが継続しかねないであろう。
(2)「企業業績は、国内需要の低迷で振るわない。製造業など工業企業が、24年に稼いだ利益総額は前年を3.3%下回った。不動産不況が始まった21年をピークに3年連続で減少した。春節を挟んだ連休も指数が下振れする要因となった。国家統計局は「春節休暇を前に従業員が集中して帰省したことが響いた」と説明した。PMI統計は、毎月22〜25日に調査する。25年の法定上の春節休暇は1月28日〜2月4日だが、その前後も有給休暇を取得して休む労働者は多い。調査時期に工場の稼働がすでに落ちていたとみられる」
24年の工業利益は、前年比3.3%減となった。こうなると、24年GDPの「5%成長率」がにわかに疑わしくなってくる。中国GDPは、すっかり信頼性を失っている。習近平氏が、「かさ上げ」を命じているとみられている。習氏の政治生命を護るためにも、GDP操作は不可欠な要因となっている。
25年の春節休暇は1月28日〜2月4日だが、その前後も有給休暇を取得して休む労働者がふえているという。経営者であれば、こういう季節要因は、景気見通しから除外して基調で判断しているはず。「有給休暇」うんぬんの理由は、付け足しとみるべきだ。
(3)「PMIを企業の規模別でみると大企業、中堅企業、中小零細企業の全てで50を下回った。民間企業が多い中小零細企業の先行き不安は、雇用の悪化を招きやすい。24年12月の都市部失業率は、5.1%と前年同月と同じだった。だが、16〜24歳の若年層に限ると15.7%と高く、1年前から0.8ポイント上昇した」
大企業、中堅企業、中小零細企業の全てでPMIが50を下回った点に注目すべきである。つまり、中国経済は企業規模を問わずすべてが不振へ落込んでいる。さあ、習近平氏がどういう対策を打つのか、だ。
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