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メルマガ629号で、「習近平、『毛沢東』威光にすがる 『失われた12年』 危なくなった4期目」と題する記事を掲載した。これを裏付けるようなデータが、中国人民銀行(中央銀行)から発表された。24年の人民元の新規貸出が、20%(注:正しくは7.3%)も減ったのである。11年の新規貸出は前年比6.1%減であった。24年は、これを上回る減少率になった。端的に言えば、「恐慌状態」を示している。

習近平氏が、国家主席に就任したのは2012年である。11年の新規貸出落込みを意識して、不動産バブルに依存する経済運営に走ったことは十分に想像できる。自らの経済運営能力の確かさを見せつけたかったのであろう。現実には、この間の政策がすべて否定される形で24年の新規貸出が急減する事態になった。金融緩和しても、新規に借りる意欲が消え失せているのだ。習氏の政策が、なんら効をなさなかったという意味である。「習近平氏よ、お分かりか」なのだ。


『日本経済新聞 電子版』(1月30日付)は、「中国、24年銀行貸し出し13年ぶり減 金利負担の実感重く」と題する記事を掲載した。

中国で銀行融資が落ち込んでいる。中国人民銀行(中央銀行)によると2024年の人民元建て新規貸し出しは前年を20%(注:正しくは7.3%減)下回った。13年ぶりに減少した。不動産不況に端を発した景気停滞が長引き、民間企業や家計が借り入れを伴う投資に慎重になっている。

(1)「返済額を差し引いた24年の新規貸出額は18兆0900億元(約400兆円)だった。借入期間の長い中長期資金を銀行から調達する動きが鈍いためだ。借り入れ主体で分けてみると、企業が借りた中長期資金は26%減り、6年ぶりにマイナスとなった。とくに民間企業は景気停滞に加えて、国有企業が幅を利かせて民業を圧迫する「国進民退」のあおりを受けて先行き不安が強い。民間企業が手掛けた24年の固定資産投資は2年連続で前年を下回った」


金融緩和を行いながら新規貸出が減っているのは、「流動性の罠」と呼ばれる現象である。これは、金利機能が働かない状況に陥っている証拠だ。こうなると、金融緩和よりも、財政支出が求められる緊急事態になっている。習氏には、その認識が欠如している。習氏が、財政赤字拡大を拒否しているので、側近も異を唱えられないのだ。「亭主が好きな赤烏帽子」という事態になっている。

(2)「住宅や自動車のローンが大半を占める家計向けの中長期資金も12%減った。深刻な不動産市況で新築住宅の販売面積がピークの21年から半減。買い手が減って価格が下がり、「待てば住宅はもっと値下がりする」との予想から買い控えが広がった。人民銀行は景気下支えのために銀行融資を増やそうと、金融緩和を進めてきた。24年は3回の利下げに踏み切ったが、下げ幅は小さい。インフレ率を加味した実質の政策金利をみると、12月時点で3%と、日米欧より高い。中国の企業や家計が実感する金利負担は相対的に重いことも借り入れが伸びない一因とみられる」

利下げしても、それによって貸出が増える状況ではない。国債利回りの上昇が、顕著に示すように先行きに不安感が充満している。


(3)「習近平指導部は24年12月に開いた中央経済工作会議で、25年の経済運営方針として金融政策は「適度に緩和的」な姿勢をとると決めた。利下げの幅を拡大させるとの予測も浮上しているが、追加の金融緩和は銀行の利ざやをさらに圧迫しかねない。国家金融監督管理総局によると、24年9月時点の利ざやは1.53%で過去最低を更新した。利ざやが縮小し銀行の収益力が落ち込むと、不動産不況で膨らんだ不良債権の処理に手間取り、金融リスクの抑制に支障を来す恐れがある」

24年9月時点の利ざや1.53%は、利ざやの下限である1.8%を下回っている。銀行自身に利下げの余地がなくなっている証明だ。後は、財政支出拡大しか道がない。