テイカカズラ
   

中国が、北京の南西30キロメートルに位置するおよそ1500エーカー(約6キロ平方メートル)で、中国の軍幹部を保護するための大きな強化シェルターを収容する深い穴が掘られていることが判明した。フィナンシャル・タイムズ(FT)が入手し、米情報機関によって検証されている衛星画像には、広大な建設現場が写っている。軍事専門家の見立てでは、核戦争を含むあらゆる紛争時に備えたものとみている。

『フィナンシャル・タイムズ』(1月30日付)は、「中国・北京に巨大な軍司令部を建設か 衛星画像で確認」と題する記事を掲載した。

米政府の現役の職員や元職員によると、中国の軍隊が北京市西部に巨大な複合施設を建設している。米国の情報機関は、この施設が米国防総省よりはるかに大きな戦時司令部として機能すると考えている。


(1)「数人の米政府関係者と元職員の話では、各種情報機関が今、この建設現場を注意深く監視している。米国防総省の規模の10倍に上る世界最大の軍司令部となる可能性がある。FTが入手した衛星画像の評価・検証に基づくと、大規模な建設は2024年半ばに始まった。事情に詳しい3人の関係者によると、一部の情報分析官はこのプロジェクトを「北京軍事都市」と呼んでいる」

「北京軍事都市」と呼ぶに相応しい大規模な、地下施設が建設されている。

(2)「軍司令部の建設は、中国の人民解放軍が27年の創設100周年に先立って開発する新たな兵器やプロジェクトとあわせて進められている。米情報機関によれば、中国の習近平国家主席は人民解放軍に対し、それまでに台湾を攻撃する能力の開発も終えるよう命じている。人民解放軍は核兵器の保有数を急激に増やしているほか、軍の様々な部隊の統合強化にも取り組んでいる。軍事専門家は、人民解放軍の統合の欠如は米軍と比べた場合の最大の弱点の一つだと考えている」

中国軍の全司令部を集める施設とみられている。


(3)「米中央情報局(CIA)の首席中国分析官を務めたデニス・ワイルダー氏は「もし事実と確認されれば、中央軍事委員会主席である習近平国家主席を含む軍幹部のためのこの新しい高度地下司令部は、世界クラスの通常兵器だけでなく、核戦争を戦う高度な能力も構築する中国政府の意図を表している」と話す。米情報機関を統括する国家情報長官室は中国のプロジェクトについてコメントしなかった。ワシントンの在米中国大使館は「詳細を把握していない」としながら、中国は「平和的な発展の道筋と、守りの姿勢を基本とする防衛政策にコミットしている」と強調した」

新しい高度地下司令部は、核戦争を戦う中国政府の意図を表しているとみられる。

(4)「米国家地球空間情報局(NGA)の元画像分析官で、北京の建設現場の画像を分析したレニー・バビアーツ氏は、「画像分析によれば、地下通路で結ばれる可能性がある複数の地下施設が建設されているようだ」と指摘した。米情報当局のある元高官は、北京市の中心部にある人民解放軍の現在の本部はかなり新しいものの、安全な戦闘司令拠点になるように設計されていないと指摘する。「厳重に警備された主な司令部は新しい施設の北東に当たる(北京市)西山にあり、数十年前の冷戦の絶頂期に建設された」とこの元高官は言う。「新たな施設のサイズとスケール、そして部分的に地下に埋められた特徴は、ここが主たる戦時司令部として西山の施設に取って代わることを示唆している」と話した」

中国は、すでに北京市西山に司令部の施設がある。現在、建設中の地下軍事施設は、戦時司令部になると予想される。


(5)「元高官は、「中国の指導者は、新しい施設では米国の『バンカーバスター(地下貫通爆弾)』や核兵器に対する防衛態勢を強化できると判断するかもしれない」と付け加え、「より高度で安全な通信を組み込むこともでき、人民解放軍の能力と作戦を拡大する余地がある」と語った。衛星画像について知るある中国の研究者は、厳重に強化された鉄筋コンクリートや深い地下トンネルをはじめ、現場は「機密性の高い軍事施設の特徴をすべて備えている」と話す。「ペンタゴン(米国防総省)の10倍近い規模となる施設は、米国を凌駕(りょうが)するという習氏の野望にふさわしい」とこの研究者は述べた。「この要塞が果たす目的はただ一つ。ますます洗練され、能力が高まる中国の軍隊のための最後の地下シェルターとして機能することだ」と指摘」

中国は、米国の「バンカーバスター(地下貫通爆弾)」や核兵器に対する防衛態勢を取っている様子である。習近平氏の終身国家主席への準備が、着々と進められている感じだ。習氏は最後に、この地下施設へ身を隠す積もりか。ヒトラーが最後に、ベルリンの地下壕へ身を寄せていたことを彷彿とさせる話だ。