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デジタル赤字DX推進の証
6G世界標準で一発大逆転
NTTアイオンが独走体制
NTT・ラピダスが協業へ

円安相場が、しつこくまとわりついている。日米金利差が主因であるものの、いわゆる「デジタル赤字」も指摘されている。これが、貿易赤字を膨らませているからだ。身の回りのパソコンやスマホなど、すべて海外特許を利用している。さらに、AI(人工知能)の利用とともに、日本が対外的に支払わねばならぬサービス金額は増加の一途だ。

こうして、デジタル赤字が嵩むことから、日本は「デジタル小作人」と揶揄され始めている。小作人である以上、「デジタル大地主」の米国に利益を吸い上げられている構図になる。これを覆すには、日本が革新的技術を開発し世界標準にしなければならない。


デジタル赤字は、海外特許の使用が原因である。日本が、こうした特許を持たない以上、デジタル赤字の膨脹はどうにもならないことだ。日本経済はハードウェアで強いが、ソフトウェアに弱いという根本的な欠陥を露呈している。だが、デジタル赤字を宿命として受入れるのでなく、強みのハードウェアにDX(デジタルトランスフォーメーション)を加えることによって、日本がデジタル小作人の危機を脱することが可能である。

DXとは、デジタルテクノロジーを使用して新たなる付加価値をつけることだ。そのデジタルテクノロジーの一つが、最先端半導体である。ラピダスが、この4月から試作に入るAI半導体(CPUにアクセラレータを結合する)は、機械類に装着されることによって、付加価値を生むことが確実である。工作機械やロボットなどに、ラピダスAI半導体が装着されれば無人化を促進するのだ。

世界のトヨタ自動車は、SDV(ソフトウェア・ディファインド・ビークル)に取組んでいる。クラウドとの通信を通じて、自動車の機能を継続的にアップデートすることで、運転機能の高度化する。こうした従来の車にない新たな価値を提供して、付加価値が高まる。トヨタは、世界で年間1000万台の新車販売実績を持つ。10年間で1億台に達する。これらが、SDVを装着するので膨大な金額が日本へ流れ込む。このSDVは、コネクテッドカーをめざしており、NTTと共同開発中である。2030年以降の実用化を目指す。


さらに、NTTが30年から実用化に向けて取組んでいる次世代通信基盤6Gは、世界標準になる可能性が強まっている。NTTは、世界の関連業界150社弱のメンバーを従えて、世界初の光電融合「IOWN」の普及に向けて体制づくりを進めている。

日本は、こうした新たなデジタルテクノロジーを開発しており、デジタル地主(デジタル黒字)になる可能性が高まっている。何時までも、デジタル小作人に止まる「技術小国」ではないのだ。

デジタル赤字DX推進の証
日本のデジタル赤字は、24年1〜10月累計額は5兆4000億円と、すでに2023年実績(5兆5194億円)に接近した。24通年では、6兆円超と過去最大になりそうだ。海外の巨大テック企業などに利用料を支払うデジタル赤字が拡大している結果だ。デジタル赤字拡大要因は、パソコンやスマートフォンの普及に伴いビジネスや生活が変化したためだ。在宅勤務環境を整えるために、企業間でクラウドサービスの導入も相次いでいる。

このようにデジタル赤字の拡大は、生活やビジネスの「進化」に伴う不可避的コスト上昇と理解できる。日本のデジタル化は、他国に比べて遅れている。現在、その挽回策に出ていると理解すれば、デジタル赤字は次なる日本経済の発展コストとも言える。問題は、日本のデジタル化によって新たな付加価値を生む土壌が整うかどうかだ。既述の通り、ラピダスとNTTが、その使命を担って基盤づくりに動いている。


デジタル赤字は今、大きくクローズアップされている。一方で、訪日外国人消費のインバウンド黒字が急浮上していることにも触れなければならない。日本のインバウンド収入は2024年、8兆1395億円に達した。デジタル赤字を吸収している。インバウンド収入は、前年より53.4%もの増加で過去最高を更新した。訪日外国人旅行者数もまた、3687万人と過去最高である。

6G世界標準で一発大逆転
24年のデジタル赤字は、大幅なインバウンド黒字で吸収された。国際収支面では、辻褄が合うものの、これでは念願の「デジタル地主」になる条件を欠いたままだ。デジタル地主になれる条件を挙げると、次のようになろう。

1)次世代通信基盤(6G)で、世界をリードする技術を持つこと。
2)国際的な標準化団体と協力し、日本の技術を国際標準として採用させること。(つづく)

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