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石破茂首相は2月6日夜、ワシントンに向けて出発した。7日午前(日本時間8日未明)にトランプ大統領との初の首脳会談に臨む。日米同盟に基づく経済や安全保障分野の協力を確かめる機会となる。首脳会談では、投資・貿易、インド太平洋地域、安全保障協力、国際情勢などが話し合われる見込みだ。トランプ大統領は、経済問題への関心が深いだけに、日本が米国製造業復権に向けた協力姿勢を打ち出す見込みだ。

投資・貿易の一つが、日鉄によるUSスチール合併問題である。バイデン政権では拒否されたが、トランプ政権では改めてこの合併が米国製造業革新に当たり重要であることの理解を求める方針である。

1月12日午前、NHKのテレビ番組に出演した岩屋外相は、「日米同盟という大きなピクチャー、これはきわめて大切だから、これを崩すことないようこの問題に適切に対応していくことが必要だと思っている」と語った。「経済界には不安が広がっているので、しっかり払拭してもらいたいと、これからも米側に伝えていきたい」と述べた。日本政府が、日鉄・USスチール合併を側面から支援する姿勢をみせている。


『ロイター』(2月6日付)は、「日鉄副会長『首脳会談きっかけに、米社買収でトランプ氏の理解に期待」と題する記事を掲載した。

日本製鉄の森高弘副会長は6日の決算会見で、米USスチール買収に関する同社の提案は「トランプ政権のポリシーと100%合致している」と述べた。週末に行われる日米首脳会談が、買収計画に対する米政府の理解を得るきっかけになればいいと期待感を示した。

(1)「森氏は、USスチールの買収により新規雇用が創出され、米国の産業とサプライチェーン強化につながることなどを改めて説明。「トランプ政権の製造業復権、米国を強くするというポリシーと100%合っている」とし、「正しく理解されれば、トランプ大統領はむしろ応援してくれると思う。ポジションを変えてもらえると思う」と述べた。今回の買収を完了させるには、訴訟に勝利することの他に、米大統領権限により前政権の決定を覆したり、再審査を命じる方法もあると指摘した」

石破首相は、日米がウィンウィンの経済関係を強調し、相互に投資を促進できる環境づくりを話し合う。日本が、米国で雇用を創出する方針も伝達するとしている。バイデン前大統領が、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画へ中止命令を出した。これによって、日本企業の対米投資への懸念が出ており、日米政府はこれを払拭する必要性があり、トランプ氏へ協力を要請する。日本企業が、過去5年にわたり対米直接投資残高で首位であることを強調する。この増加基調を続けるためにも、日鉄のUSスチ-ル合併実現が不可欠という立場だ。


(2)「森氏は、先週も訪米するなどし、さまざまな働き掛けを行っているという。加えて、日米首脳会談でも「課題の一つとして取り上げられると思う。最良のディールであることがトランプ大統領にも伝わって、道が開けるような形で一つのきっかけになればと見守っている」と述べた。森副会長は、現在の買収スキームを変える考えはないとしたほか、同社の海外戦略で欠かすことのできない米国では「今はUSスチール買収の完了にフォーカスしており、他でどうするかは考えていない」と述べた」

日鉄は、今後もUSスチ-ル買収スキームを変えないとしている。これまでの約束は、100%履行する姿勢を堅持している。

(3)「対米外国投資委員会(CFIUS)は買収計画放棄の期限を6月18日まで延長することを認めた。森氏は、仮に6月18日までに買収完了できなくてもUSスチールに計画を進めていく意向があれば契約は解除されないと説明。「これが一つの期限になることはないし、違約金が生じることもない」としたほか、日鉄側でも「期限を切って諦めることはない」と述べた」

買収計画放棄の期限は、6月18日まで延長される。それまでに買収が終らなくても、USスチールに合併計画を進めていく意向があれば、契約は解除されないとしている。USスチールも地元の州知事も買収を熱望している。6月18日以降の関係も、継続されるであろう。