あじさいのたまご
   

日本政府は、中国の生成型AIディープシークを使用に際して、個人情報流出の可能性を懸念し、国民へ注意を呼びかけた。NHKは2月4日、林官房長官が定例記者会見で「個人情報を含むデータは中国サーバーに保存され、中国の法令が適用される」と述べた。興味半分でディープシークを利用すると、自分の個人情報も北京へ筒抜けになるという。いかにも中国らしい抜け穴を仕込んでいる。海外では、韓国・チェコ共和国・スウェーデン・豪州・イタリアが、ディープシーク使用を禁じている。要注意だ。

『ブルームバーグ』(2月7日付)は、「DeepSeekは好奇心満たす『おもちゃ』、ノーベル賞受賞者は冷めた目」と題する記事を掲載した。

24年ノーベル経済学賞受賞者で、人工知能(AI)の未来に関する議論でも注目を集めているマサチューセッツ工科大学(MIT)のダロン・アセモグル教授は、中国の新興企業DeepSeek(ディープシーク)の登場が生んだ熱狂と警戒心の両方を冷めた目で見ている。


(1)「ディープシークが発表したAIモデルの「R1」について同氏は、オープンAIのような米企業が開発したAIより安価かつ効率的な代替モデルを提供する目覚ましい成果だと評価。ただ、R1のダウンロードに殺到している人の多くは、オープンAIの「ChatGPT(チャットGPT)」の有料版を使っている人と同様、好奇心を満たすための「おもちゃとして使っている」に過ぎないと語った」

アセモグル教授は、もともとAIの将来性について厳しい目を向けている。人間の頭脳を上回るようなことにならないという視点だ。一方では、人間の頭脳を超えると予測する人々、例えばソフトバンクGの孫正義氏もいる。このように、見方は分かれる。アセモグル氏の目には、ディープシークのAIがチャットGPTよりもはるかに低いレベルとみているのだ。

(2)「アセモグル氏は、新しいテクノロジーがもたらす破壊的な経済効果に関する研究で、経済界では以前から知られている。「ディープシークがビジネスに採用され、企業にとって革命的となるような明確な道筋はまだ見えない」とインタビューで語った。チャットGPTが登場して以降、同氏はAIがどのように発展するかの研究を続けている。AIに奪われる職、あるいは少なくともAIに大いに依存する職は向こう10年でわずか5%に過ぎないというのが、同氏の計算だ」

アセモグル氏は、「ディープシークがビジネスに採用され、企業にとって革命的となるような明確な道筋はまだ見えない」と手厳しい。オープンAIも余裕を持って対応している。「盗作」だと言い立てないところをみると、「相手にせず」というところなのだろう。仮に、実力が接近していれば。こんな余裕ある態度をみせないであろう。


(3)「こうしたアセモグル氏の見解は、労働者に朗報である。だが、生産性の急上昇を見込んでAIに巨額を投じている企業には悪い知らせとなる。「自分が間違っていることを望む。生産性が向上することを願っている。それは本当にクールなことだと思うが、まだ目にしてはない」と同氏は語った」

アセモグル氏のAIに対する見解は、次のようなものだ。

『ブルームバーグ』(24年10月3日付)は、「AIに奪われる職はわずか5%、MITの著名経済学者が現実チェック」と題する記事を掲載した。

「私は人工知能(AI)悲観論者ではない」と、ダロン・アセモグル氏はインタビュー開始早々に宣言した。AIの可能性は認めているという。

(4)「マサチューセッツ工科大学(MIT)の著名な経済学者、アセモグル教授は迫り来る経済・金融の危機を警告する悲観論者的な声を上げるのは、AIへの熱狂やそれがあおる投資ブームと驚異的なハイテク株急騰が、とどまらないところを知らないからだ。「AIがどれほど有望であろうと、その過剰な期待に応えられる可能性は非常に低いとアセモグル氏は語る。AIに奪われる職、あるいは少なくともAIに大いに依存する職は向こう10年でわずか5%に過ぎないというのが、同氏の計算だ。労働者には確かに朗報だが、生産性の急上昇を見込んでAIに巨額を投じている企業にはとても悪いニュースだ」

アセモグル教授は、AIへの過剰期待へ警告を発している。AIに大いに依存する職は向こう10年でわずか5%に過ぎないと限定している。


(5)「アセモグル氏は、「多額の資金が無駄になるだろう」と話す。「5%では経済の革命は起きない」と述べた。ウォール街や全米の企業経営者の間で過熱するAIへの熱狂に警告する声は高まっており、アセモグル氏の発言は中でも特に注目されている。同氏は、MIT教授陣の中で最高称号であるインスティテュートプロフェッサーである。そのアセモグル氏が、AIへ懐疑的な意見を述べている。マイクロソフトやアマゾンといった企業では、AI投資のコストが急増しそれに見合った収入増がみられないことが一因だ。しかし、投資家のほとんどは高いプレミアムを払ってでも、AIの波に乗りたい姿勢を崩していない」

AIへの過剰期待が、AI株を熱狂的に押上げている。だが、マイクロソフトやアマゾンは、すでに投資で自然体に変わった。「半身の構え」なのだ。こうした姿勢の変化は、参考にすべきかも知れない。