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韓国は、米韓同盟で固く結ばれているはずだ。一方で、左派勢力は中ロへの接近意欲が極めて強い國である。左派は最近、ユン大統領弾劾にからんで、左派政治定着化への動きを強めている。司法の一部には、明らかに最大野党「共に民主党」シンパが存在しており、ユン大統領逮捕に向けて「暗躍」した跡が暴露されている。こういう政治的不安から、米国トランプ政権は韓国を「センシティブ国」へ指定する動きをみせている。

米エネルギー省(DOE)は、国家安全保障や核不拡散、テロ支援などの理由で「センシティブ国」目録を定期的にアップデートし、今年は韓国をこれに含める方針と伝えられている。AI共同研究プラットホームや次世代の事業として評価される量子コンピューター開発にも支障が避けられないという。


『中央日報』(3月12日付)は、「米国の韓国『センシティブ国』指定の動き 外交力で防ぐべき」と題する社説を掲載した。

米国が同盟国の韓国を「センシティブ国」に指定する動きを見せているという。米エネルギー省(DOE)は国家安全保障や核不拡散、テロ支援などの理由で「センシティブ国」目録を定期的にアップデートし、今年は韓国をこれに含める方針ということだ。

米国は中国やロシア、北朝鮮など自国が脅威を感じる国をリストに載せてきた。このため韓国を「センシティブ国」として言及すること自体が初めてだ。まだ米国の公式発表が出てきたわけではないが、DOEが傘下国策研究機関に来月15日から韓国をセンシティブ国に分類するべきという指針を出すというので当惑する。

(1)「韓国が最終リストに含まれる場合、DOEが進めるプログラムへの参加が制限される。韓国人が関連施設を訪問するには45日前に申請し、複雑な承認手続きを踏まなければならない。日々発展する先端技術分野で両国の協力に大きな支障が生じるということだ。韓米が昨年から推進するAI共同研究プラットホームや次世代の事業として評価される量子コンピューター開発にも支障が避けられない。トランプ政権が推進している造船および艦艇分野の協力にも懸念が生じる」


韓国は、左右両派の政治的対立が深刻だ。理由の一つは、左派の中ロ接近意欲が極めて強いことである。韓国左派は、北朝鮮の金日成が唱えた「主体(チュチェ)思想」に深く共鳴していることだ。主体思想は、「自主、自立、自衛」を掲げ、金日成の独裁を正当化したが、韓国左派でも「左派独裁」を夢見ている。現在のユン大統領弾劾は、まさにその第一歩である。米国が、こういう韓国左派の底流を把握しており、「センシティブ国」指定を検討するのは、あながち間違えてはいない。

韓国左派の一部は、核開発論を支持している。特に、北朝鮮の核開発進展や米国の防衛コミットメントへの不安から、韓国独自の核武装を求める声が高まっている。米国としては、神経を払わざるを得ない状況にある。

(2)「2023年までの3年間の韓国の対米投資額は、800億ドル(約12兆円)にのぼり、世界で最も多い。トランプ大統領はアラスカの天然ガス開発に韓国の参加を期待している。にもかかわらず米国が韓国に強硬カードを取り出したのは、北朝鮮の核の脅威に対抗して韓国独自の核武装や潜在的核能力保有の主張が出ているためと分析される。北東アジアの核ドミノを懸念している米国がこれを遮断するため牽制したということだ」

韓国の右派は、普通の常識論である。左派は、全く異なるビヘイビアを取っており、その原点が「主体思想」にあることを理解すべきであろう。


(3)「米国は同盟の韓国を叩く前に、北朝鮮の核という原因の除去をするのが先だ。トランプ大統領をはじめ米国当局者が北朝鮮を「核保有国」と表現すること自体が北朝鮮に誤ったメッセージを送り、我々に核の恐怖を招くからだ。同時に米国は韓国に向けた確固たる核の傘提供公約を徹底的に履行しなければいけない。それが米国の懸念する核拡散を防ぐ道だ。また韓国内部でもプラスよりもマイナスの効果が大きい生半可な核武装論には慎重でなければいけない」

かつて、『朝鮮日報』ですら核武装論を唱えて、すぐに撤回した経緯がある。韓国が核開発すれば、日本・台湾などと拡散する危険性が高い。こういうリスクを考えると常時、米韓同盟の「ブラッシュアップ」することに努めるべきであろう。

(4)「政府は報道が出た後にあたふたと状況の把握に入ったという。トランプ政権がどんな攻勢的な手段を使うか分からない状況で、動向さえも知らなかったというからあきれる。DOEが明らかにした「センシティブ国」適用期間まで1カ月ほど残っている。これは同盟関係にも悪影響を与えかねない問題だ。政府は外交的な総力をあげて韓国に対する米国の「センシティブ国」指定を防がなければいけない」

韓国は、政治の空白期にある。これも左派が仕掛けた「左派政権独占」の野望が生んだものであろう。ユン大統領は、左派による弾劾連発の「罠」にはめられた側面も強い。現在の韓国で、ユン大統領支持派が4割近くいることがこれを物語っている。