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韓国主要紙『朝鮮日報』は、今年もワシントンの桜が満開と報じた。ワシントン市当局主催の「全米桜祭り」で、全米から150万人の観光客が集まる。米国の主要メディアもこの時期に「ワシントンはどういう経緯で日本の桜でいっぱいになったのか」という記事を毎年のように掲載。世界で最も成功した公共外交と称賛されている、と朝鮮日報は報じた。

『朝鮮日報』(3月25日付)は、「『世界で最も成功した広報文化外交』、ワシントンで桜満開 日本の時間がやって来た」と題する記事を掲載した。

米国の首都ワシントンの名物となった桜の満開が近づいている。例年よりも気温が高いためかホワイトハウスや議会、リンカーン記念館やジェファーソン記念館などワシントン中心部の桜の名所ではすでに多くの桜の花を見ることができる。ワシントンに植えられた桜のほとんどは、1912年3月に当時の尾崎行雄・東京市長が米日友好の象徴としてプレゼントした3000本のソメイヨシノの苗木から始まった。


(1)「昨年4月、米国を国賓待遇で訪問した日本の岸田文雄首相(当時)は、米国独立250周年(2026年)を祝う意味合いから250本の桜を寄贈した。岸田首相は「本来の寿命とされる60年よりもはるかに長い100年以上にわたり、ワシントンの桜は今に至るまで生き続けてきた」「地域住民の皆さまが桜を大切に守ってくださったように、米日関係も互いに愛し合う人たちの支持を受けられたらこれ以上の喜びはない」と述べた」

1912年3月、尾崎行雄が贈った3000本のソメイヨシノが、100年以上経っても見事に咲き続けている。この年は、米国が日本を「潜在的敵性国家」として「オレンジ作戦」を始めたころである。尾崎は、こういう米国の対日観の変化を肌で感じていたのだろう。日米融和を込めて贈ったに違いない。

(2)「タフト大学フレッチャー・スクール学長だったエドモンド・ガリオン博士が提唱した「公共外交」(広報文化外交)という概念は、相手国民の心を自然に開かせる外交手法を意味する。また毎年この時期に日本はワシントンの各地で満開となる桜を利用し、公共外交の精髄を見せてくれる。今月20日から来月13日まで開催されるワシントン市当局主催の「全米桜祭り」には、日本の全日空(ANA)が米アマゾンと共に最上位スポンサーを意味する「リーダーシップ・サークル」として名を連ねる。全米から毎年150万人がこの桜祭りを見るためワシントンを訪れ、この時期だけでワシントンの観光収入全体の3分の1以上が集まるという」

桜は、ワシントンの一大観光資源になっている。3月20日から4月13日(25日間)まで開催される桜祭りは毎年、全米から150万人の観光客を集め、ホテルが満杯になっている。この時期だけで、ワシントンの観光収入全体の3分の1以上に達するという。その盛況ぶりがうかがえる。


(3)「日本政府が、数カ月前から支援に乗り出すこともあり、桜祭り前後にはワシントンのレストランや酒を提供する店はどこも、すし、酒、茶道、ウイスキーなど日本文化を前面に出したイベントで集客に力を入れる。SNS(交流サイト)でも自然に「桜祭りのおいしい日本食」「ワシントンで日本文化を深く体験できる場所」などのコンテンツばかりで善の循環が形成される。桜祭りをテーマとする大手ホテルの宿泊ツアーはすでにほとんどが売り切れだ」

25日間の桜祭り期間中は、絶好の日本文化を宣伝する機会である。これだけの長期間、日本の話題で持ちきりとはありがたいことだ。桜が取り持つ貴重な縁である。

(4)「この時期には米日関係、日本の外交・安全保障、米日に第三国を含めた3ヶ国協力などをテーマとする本格的なイベントも集中的に開催される。米シンクタンクのスティムソン・センターは25日「より深まった米日同盟」をテーマにセミナーを開催する。26日には、日本の対米アウトリーチの拠点とも言えるマンスフィールド財団が、日本大使館と共同で「米日間の立法協力」に関するブリーフィングを米議会で行う予定だ」

桜祭り期間は、日米関係や日米に第三国を含めた3ヶ国協力などの政治や外交のイベントが開かれる。


(5)「ワシントンを代表するシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)は日本とのエネルギー、ハイテク技術協力、軍用機の整備・修理・オーバーホール(MRO)などをテーマとするイベントを今月だけで3回開催する。日本の笹川財団などは、日本について研究する研究者や大学生などに全面的な支援を惜しまず、訪日プログラムを企画し彼らが知日派となるよう重要な役割を果たしている」

尾崎行雄は、約1ヶ月も続く桜祭りが日本を広く理解して貰う機会になることを願っていたのであろう。その願いが、こうして立派に今も実っている。そして、これからも。