国策半導体企業ラピダスは、4月1日から試験操業に入る。すべて順調に推移している。NHKが3月29日、ラピダスの内部映像を紹介したほどだ。技術提携先の米IBMは、ラピダス半導体購入を約束した。時事通信によると、ラピダス市川社長が「訪米のたびにラピダス半導体への期待が高まっている」と手応えぶりを示した。地元北海道千歳市は、2棟から4棟の工場増設を期待して用地手配するなど活気に満ちている。オフィスも一挙に6棟の計画が持ち上がっている。関連企業の進出ラッシュである。
『時事通信』(3月30日付)は、「先端半導体、試作ライン4月稼働 27年量産開始へ一里塚―ラピダス」と題する記事を掲載した。
先端半導体の国産化を目指すラピダスは4月1日から、北海道千歳市の工場で試作ラインを稼働させる。米中対立などの地政学リスクが顕在化する中、戦略物資である半導体の国内拠点確保は喫緊の課題。ラピダスが目標とする2027年の量産開始に向け、重要な一里塚となりそうだ。
(1)「ラピダスは22年に設立され、トヨタ自動車やNTTなどの出資も受けている。千歳工場では、人工知能(AI)や自動運転システムへの活用が見込まれる回路線幅2ナノメートル(ナノは10億分の1)の先端半導体を製造する。昨年12月には、微細化に不可欠な極端紫外線(EUV)露光装置を国内で初めて導入した」
4月1日から試験操業が始まる。これまで随分と無責任な報道に悩まされてきたが、一貫した技術開発がこれら「雑音」を跳ね返してきた。ラピダス自体が、「PR下手」も手伝い、地味な報道であるので「疑念」を増幅していた。これも、試験操業開始で消えるであろう。
(2)「小池淳義社長は「27年までには確実に量産を開始できる」と手応えを示す。「決して楽な道ではないが、(試作の段階で)歩留まりを上げ、信頼性を確保していきたい」と意気込む。2ナノ半導体を巡っては、台湾の半導体受託製造大手、台湾積体電路製造(TSMC)なども量産準備を進めている。ラピダスは納期の短縮に力を入れることで、競合他社との差別化を図る方針だ」
ラピダスは、27年からの量産化に向けて大きな手を打った。半導体の設計受託や人材派遣を手掛ける世界的なシンガポール企業、クエスト・グローバルと提携したことだ。同社は航空や防衛、自動車分野などで多くの顧客を抱えており、半導体設計や製造委託先の選定も支援する。ラピダスはクエストとの提携で顧客確保に弾みをつけたい考えだ。スタッフを500人以上も派遣することに決まった。これで、受注と製造の両面で強力な支援態勢が整った。
『時事通信』(3月30日付)は、「『ラピダス効果』に期待 盛り上がる地元経済―北海道千歳市」と題する記事を掲載した。
ラピダスが先端半導体工場を建設中の北海道千歳市は、2023年2月以来、東京エレクトロンやオランダのASMLなど半導体関連37社が進出、産業拠点として存在感を増している。4月からはいよいよラピダスの試作ラインが稼働。地元経済への波及効果に期待が高まっている。
(3)「マンスリーマンション運営などを手掛けるWeekly&Monthly(札幌市)は4月以降、千歳市内の物件を2室から20室に増やす。ホテルより割安で長期滞在でき、工場作業員らの引き合いは強い。黒木健次郎社長は「様子を見ながら40室ほど増やしていきたい」と話す。また、進出企業の拠点開設でオフィス需要も拡大。市によると、当初は商業ビルの空き室などで急場をしのいでいたが、今後新たに6棟のオフィスビル竣工が控えているという」
千歳市と言えば、空港があるものの札幌への通過地点であった。それが、一大工業地域へ変貌する。クエストから500人以上のスタッフ派遣となれば、ラピダスは1000人以上の雇用を抱えることになる。住居確保が大きな課題だ。
(4)「市の将来ビジョンによると、ラピダスが2~4棟目の工場を建設すると想定し、社員やその家族らの転入で40年までに約7800人の人口増加効果があると試算。新たに市内で1423億円の消費活動が生じると見込んでいる。半導体を巡る世界的な競争は激しさを増しており、ラピダスを軸とした「日の丸半導体」復活の道は険しい。試算通りに進むかは不透明だが、市は「待望の試作ライン稼働。次は27年の量産開始に向けて支援していきたい」(次世代半導体拠点推進室)と、伴走を続ける構えだ」
千歳市は、ラピダスの2~4棟目の工場建設を見込んでいる。かねてから、ラピダスが第二工場、第三工場計画を口にしていたので、千歳市が用地確保で動いているのであろう。ラピダス半導体は、「エッジAI半導体」を製造する。端末(エッジ)で、AI(人工知能)機能を実現する画期的な半導体である。GPU(画像処理装置)を使わずに、CPU(中央処理装置)でAI機能を果すので小型化と省電力化を実現する。これまで半導体は単なる「部品」であったが、ラピダス半導体は独立した「製品」として高い付加価値を実現する。これが、他の半導体製造企業と根本的に異なる点だ。この認識は、なかなか一般へ伝わらないのが悩みだ。


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