中国は16日、1〜3月のGDPを発表する。25年目標は、「5%前後」である。米中貿易戦争が始まっており、米国は中国へ145%もの高関税を課した。それだけに、今後の景気動向を占う意味で、1~3月期GDPが注目される。
アジア開発銀行(ADB)は、25年の中国の成長率を4.7%と試算し、5%を下回るとみている。米国による相互関税の影響は含まない前提のため、4月以降はさらなる下振れも予想される。中国は、米国へ「徹底抗戦」を叫んでいる。感情的に沸騰点に達した。
『日本経済新聞 電子版』(4月14日付)は、「中国、1〜3月GDP16日発表 米関税で下振れリスク」と題する記事を掲載した。
中国国家統計局は、16日に2025年1〜3月の国内総生産(GDP)を発表する。実質で前年同期比の増加率は5%程度になる見通しだ。生産や投資が景気を底上げするものの、不動産不況による内需不足のほか、トランプ米政権による追加関税に起因する外需縮小が下振れリスクとなる。
(1)「日本経済新聞社と日経QUICKニュースがまとめた中国エコノミスト調査によると、1〜3月の実質GDPの予測平均値は前年同期比5.0%増となった。伸び率は24年10〜12月の5.4%から縮小すると見込む。25年に入ってからの中国経済をみると、1〜2月の固定資産投資は前年同期比で4.1%増えた。伸び率は24年通年の3.2%より大きかった。特に国有企業が恩恵を受けやすいインフラ投資は5.6%増と伸びが目立つ。1〜2月の工業生産は5.9%増と伸びは24年12月の6.2%から鈍化した」
中国エコノミスト調査によると、1〜3月の実質GDPの予測平均値は前年同期比5.0%増である。まずは、常識的な線だ。
(2)「電気自動車(EV)を含む新エネルギー車や3Dプリンター設備といった主要産品は堅調に推移しており、2月上旬の春節(旧正月)休暇明けから生産を加速した可能性はある。消費は伸び悩む。不動産不況に伴う内需不足が長引いているからだ。1〜2月の消費動向を示す小売売上高は4.0%増だった。伸び率は24年12月の3.7%から広がったものの、家計は節約志向を強めたままだ」
消費が伸び悩んでいる。不動産不況に伴う内需不足が、長引いているからだ。バブル崩壊の後遺症が、簡単に回復できるはずがない。
(3)「足元で好調な企業の景況感は回復持続が見通しにくい。国家統計局によると3月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は2ヶ月連続で好調・不調の境目である50を上回った。回答企業の6割超は、需要不足が問題だと訴えている。国務院発展研究センターの張立群研究員は「景気の基盤は不安定なままだ」と指摘する。不動産不況の出口は見えない。1〜2月の新築住宅販売面積は前年同期を3.4%下回った。販売不振で価格低下は続き、2月の主要70都市の新築住宅価格は単純平均で前月より0.1%低かった。23年6月からマイナスが続く」
PMIでも、需要不足が景況感の足を引っ張っている。新築住宅価格は、23年6月からマイナスが続いている。当面、回復の兆しはない。
(4)「景気の下押しリスクとなるのが、米中貿易戦争だ。米国は3月までに中国からの輸入品に20%の追加関税を課した。中国も米国産の農産物などに最大15%の報復関税を発動した。中国にとって米国は、最大の輸出相手国で、外需の縮小は景気の悪化につながりかねない。14日には中国税関総署が3月の貿易統計を公表する。2月の輸出額(ドル建て)は前年同月比で3%減り、24年3月以来のマイナスに転じた。米追加関税が一因とみられ、3月もマイナスが続く可能性がある」
中国経済のカギの一つである輸出環境は悪化している。2~3月の輸出もマイナス見通しである。
(5)「24年のGDPは前年比5.0%増と、政府が実質経済成長率の目標とした「5%前後」を達成した。25年も5%前後を目標とする。米国は、中国に11日時点で累計145%の追加関税を発動しており、景気のけん引役だった輸出が低迷すれば目標達成は危うくなる。3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で公表した政府活動報告で、経済成長率の目標に関し「達成は容易でなく多大な努力を払う必要がある」と記し、景気失速への危機感をにじませた。習近平指導部は、25年に一段の財政出動と金融緩和の深掘りを通じ、需要不足の解消や貿易摩擦に伴う景気下押し圧力に対応する方針だ。1〜3月のGDPはその行方を占うものとなる」
現在の最大の注目点は、一段の財政出動をするか否かだ。公的債務の25年GDP比は、すでに8%台へ乗っている。米国と徹底抗戦する場合、公的債務はさらに膨らむ。自分で自分の首を絞める形になっている。
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