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トランプ米大統領は14日、自動車業界を支援するため、短期的に関税を免除することを検討中だと明らかにした。トランプ氏は、自動車関税について部品製造をカナダとメキシコから米国に移転しようとしている自動車メーカーを対象外とすることを検討中とした。自動車関税が一時免除となれば、日本は自動車が対米輸出の大きな部分を占めるだけに、好影響が期待できると歓迎している。

『日本経済新聞 電子版』(4月15日付)は、「トランプ氏、自動車関税で救済検討 米生産移転に『猶予』」と題する記事を掲載した。

トランプ米大統領は14日、高関税政策について「自動車メーカーの一部を支援する何らかの方法を検討している」と明らかにした。部品の生産を国内生産に切り替えるまで時間がかかることなどに配慮する。関税の発動後に軌道修正する事態が続いている。ホワイトハウスで記者団の質問に答えた。トランプ氏は理由について「彼らはカナダやメキシコなどほかの国で製造されていた部品を切り替えているが、米国で製造するとなると、少し時間が必要だ」と説明した。


(1)「トランプ政権は3日、輸入自動車に25%の関税を発動した。外国から輸入する自動車部品には5月3日までに同率の関税を課す予定だ。免除措置の規模や期間、対象は明らかにしなかった。免除措置の背景に自動車大手による要請がある。米ブルームバーグ通信によると米ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーターなど米自動車大手「ビッグ3」は輸入部品が製造コストを押し上げると警戒してロビー活動を展開していた。米自動車大手は、メキシコなどの部品に強く依存している。米商務省などによると米国の自動車部品輸入額に占めるメキシコの比率は4割でカナダを含めると5割にのぼる」

米自動車大手は、メキシコなどの部品に強く依存している。米国の自動車部品輸入額に占めるメキシコの比率は4割でカナダを含めると5割にのぼる。米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が存在する以上、当然の選択である。トランプ氏は、一方的にこの協定を反故にした。


(2)「米国販売車に占めるメキシコ部品比率は、GMやテスラなど米国メーカーで2割だ。日本の自動車メーカーもメキシコ部品に頼る。特に依存が大きいのは日産自動車やマツダで、米国販売車に占めるメキシコ部品の比率は2割を占める。各社は第1次トランプ政権時に発効した米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)のもとでメキシコやカナダでの部品生産を増やしてきた。USMCAは北米3ヶ国の域内調達などの要件を満たせば、完成車や部品の関税をゼロにする貿易協定だ。米国よりも安価な労働コストや輸送の利便性を背景に各社が生産拠点を広げた。生産移管は容易でない。自動車1台あたりの部品点数は3万点以上あり、原材料や加工、最終組み立て地は国を越えて分散する。新工場を建設する場合は数年単位かかり、数十億ドル以上の投資が必要となる」

14日の米国株式市場でゼネラル・モーターズ(GM)は3.5%、フォード・モーターは4.1%、それぞれ上昇した。フォード、GM、ステランティスでつくる米自動車貿易政策評議会(AAPC)のマット・ブラント会長は、声明で「われわれは米国の自動車生産を増やすというトランプ大統領の目標を共有し、政権との継続的な対話に感謝している」とした上で、「部品に対する広範な関税が、繫栄し成長する米自動車産業を築くという共通の目標を損なう可能性があり、多くの供給網移行には時間がかかるという理解が高まっている」と述べた。『ロイター』(4月15日付)が報じた。


(3)「トランプ政権は今回の追加関税にあたり、USMCAの条件を満たして現在無税で輸入している部品や完成車について、米国産素材や部品の使用率が高いほど税負担が軽くなる仕組みにした。カナダやメキシコから米国に生産を移管させる狙いだった。この「米国産」の定義も混乱を招いている。日系メーカーは「定義が曖昧で、現状は概算で申告するしかない」と嘆く。免除措置の背景に広範囲のサプライチェーン(供給網)の把握に時間がかかることをメーカー側が要請した事情もある」

USMCAは、トランプ1期政権が主導権をもって締結したものだ。トランプ氏は、これを破棄して米国優位な関税を掛けるという「協定破り」を行ったもの。カナダやメキシコの怒りは当然である。