あじさいのたまご
   

韓国の大統領選候補締め切り日(5月11日)を目前にして、韓国与党は代表候補を決められない状況に陥っている。先の党代表候補選出で、金文洙(キム・ムンス)氏が決まったものの付帯条件が付けられているのだ。候補者一本化に協力する、となっている。つまり、党内の予備選で党代表を決めるが、それは「最終決定でない」という複雑な事情を映し出している。

これには、前首相の韓悳洙(ハン・ドクス)氏を最終候補にするという「思惑」が秘められている。ならば、なぜ前首相が予備選に立候補しなかったのか。党員でないからだ。ただ、大統領本選で、最大野党「共に民主党」候補の李在明氏に対抗できる候補は、前首相しかいないという事情を抱えている。前首相は、無所属で立候補する意思を固め、与党候補一本化に積極的である。


『ハンギョレ新聞』(5月9日付)は、「韓国与党、大統領選候補を交代させる「決断」下す可能性も…破局に突き進む一本化」と題する記事を掲載した。

8日に行われた韓国の与党「国民の力」の金文洙大統領選候補と無所属の韓悳洙候補の候補一本化交渉が、前日から2日連続で成果なしで終わった。一本化の時期をめぐり、金候補と党指導部が極限の「チキンゲーム」を続ける中、指導部はこの日候補を替える可能性まで示唆し、中央選挙管理委員会の候補登録締切日(11日)を前に「強制的な一本化」を強行する意向を繰り返し表明した。金候補は裁判所に「大統領選候補地位認定仮処分申立て」を行うと共に、「16日までの一本化」を掲げ、党の圧力に対抗した。

(1)「両候補は同日午後、国会のサランジェ(伝統韓屋)で約75分間にわたり1対1の公開対話を行ったが、意見の相違の再確認にとどまった。韓候補は、「(私との一本化は党内選挙の際)22回も金候補が約束したことだ」とし、約束を守るよう迫った。さらに「(一本化を)先送りしようというのは、(一本化を)やめようということに他ならない。党内予備選挙の方式は(何でも)すべて受け入れるから、今日の夕方、明日の朝にでも(一本化を)しよう」とし、党指導部と同様に「11日前の一本化」を強調した。そして、「それもできないなら、国家に奉仕する唯一の道は(選管委に)候補登録をしないことだ」と述べ、援護射撃をするよう党指導部に圧力をかけた。

与党幹部は、韓氏が大統領候補として立候補すれば、金氏よりも有利という判断が先行している。これに金氏が反発している。


(2)「金候補は、「私は党の予備選挙を経て、お金(予備選挙寄託金3億ウォン)もすべて支払い、すべての手続きを守ってここ(党候補)まで来た。それなのに、韓候補が突然遅れて現れて『一本化の約束を守るべきだ』と請求書を突き付けるのは、問題がある」と反論した。「大統領選出馬を決心したなら、当然入党すべきなのに、なぜ入党しないのか」とも問い詰めた」

金氏にも言い分がある。だが、「候補一本化」という前提条件があることも事実だ。第三者として言えば、韓氏に大統領候補を譲り、金氏が首相候補になる方がベターであろう。実績を上げて、次の大統領選を目指すという選択もあるのだ。

(3)「対話に先立ち、金候補はこの日自らソウル南部地裁に「大統領選候補当選証」を持って行き、大統領選候補の地位認定仮処分申立てを行った。また、ソウル汝矣島(ヨイド)の陣営事務所で記者会見を開き、「党務優先権を発動する。党指導部は強圧的な一本化要求を中断すべきだ」とし、「(両候補)それぞれ1週間ずつ選挙運動を行った後、14日の放送討論、15〜16日の世論調査を経て一本化しよう」と提案した」

金氏は、世論調査による候補一本化を認めている。その時期は、15〜16日の世論調査後とずらしている。


(4)「これに対し、国民の力のクォン・ヨンセ非常対策委員長は、候補交代の可能性を示唆した。 クォン委員長は国会記者懇談会で、「金候補の誤った判断で我々が大統領選挙で敗北することになれば、金候補だけでなくわが党も歴史に大きな罪を犯すことになる」とし、「韓悳洙を(大統領選挙に)呼び出したのは金文洙だ。11日までに一本化を実現するために、必要ならば『決断』を下すこともあり得る」と強調した。クォン・ソンドン院内代表は、「ちっぽけな候補の座を守ろうとする情けない姿だ」と金候補を激しく非難した」

与党は、候補交代の可能性を示唆している。党内のゴタゴタは早く解決しないと世論の反発を受けよう。

(5)「国民の力は前日深夜に発表した通り、世論調査に突入した。同党は9日午後4時までに調査を終えた後、11日までに候補を確定する計画だが、現在、各種世論調査で党員と支持層、無党派層の間では金候補より韓候補の支持率が高い」

与党は、すでに世論調査を始めた。9日午後4時までに調査を終えた後、11日までに候補を確定するという強い姿勢をみせている。