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中国は、福島原発処理水の海洋放出に反対して、日本の海産物輸入を差し止めていたが再開することになった。中国が、米中対立を背景に孤立を避けるべく、日本へ「ニーハオ」である。いつものパターンだ。米中関係が順調であれば、対日関係はギクシャクする。今は逆パターンであり、日本へ接近してきたものだ。

 

中国による日本海産物輸入禁止で、ホタテが最大の被害を受けた。その後、日本は自動殻剥き機を開発して米国へ輸出している。もはや、中国へ輸出しなくても済むほどになった。こういう事情もあり、中国を慌てさせているのであろう。

 

『日本経済新聞 電子版』(5月30日付)は、「中国が日本に歩み取り、水産物の輸入再開 米中対立が背中押す」と題する記事を掲載した

 

中国は全面停止していた日本産水産物の輸入再開に向けた手続きで日本と合意した。米中対立が続くなか、日本との懸案を進展させておく必要があるとの思惑がある。抗日戦争勝利80年の記念行事を93日に控え、夏場以降は対日融和姿勢を見せにくいことも後押しした。

 

(1)「中国は2023年8月、東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出を受けて日本産水産物の輸入を全面的に止めた。24年9月に中国による安全検査などを条件とする段階的な輸入再開で日本と合意した。同年10月に海洋放出後の処理水のサンプルをとり、25年1月に放射性物質の濃度に異常はなかったと公表した。4月には福島第1原発周辺で採取した水産物についても安全性を確認した。今回、日中が放射線検査などで安全性を証明する仕組みづくりで合意したことにより輸入再開が視野に入った。中国政府は今回の決定について国内世論の反応などを見極めつつ、いつ再開するかを判断する」

 

中国の福島原発処理水反対騒ぎは、常軌を逸したものだった。世界中を「反日包囲網」を敷こうとしたが失敗。あの騒ぎは、今振り返っても異常なものだった。非科学的な言動を繰り広げていたのだ。韓国左派もこれに呼応して騒ぎまくった。大統領候補者の李在明氏である。

 

(2)「中国が日本に歩み寄ったのはこれだけではない。林芳正官房長官は29日の記者会見で中国が沖縄県・与那国島南方の日本の排他的経済水域(EEZ)に設置していたブイについて「存在しなくなったことを確認した」と述べた。中国側が撤去したとみられ、日本のEEZで確認された中国のブイは全てなくなった。これまで日本は中国にブイを取り除くよう繰り返し求め、日中の懸案になっていた。

 

中国は、日本の排他的経済水域(EEZ)に設置していたブイも撤去した。一連の行動は、日本への嫌がらせである。こういう振舞を、恥ずかしいと思わないところが不思議である。外交感覚が違うのだろう。

 

(3)「中国がここにきて日本との懸案で歩み寄りを見せたのはなぜか。一つが抗日戦勝80年の記念行事をおよそ3カ月後に控える国内事情だ。中国は、93日を抗日戦勝記念日と定める。例年、夏ごろから日中戦争や旧日本軍を題材にした報道や情報発信が増える。中国国民の対日感情が悪化すれば、水産物の輸入再開をはじめとする懸案を前進させにくくなる。日中関係筋は「水産物は25年前半をメドに道筋をつけるのが日中双方の共通認識だった」と明かす」

 

中国は、太平洋戦争で日本に勝利したという「建前」だ。建前だから、いろいろと理由は付けられる。

 

(4)「もう一つの理由が米中関係だ。米中両政府は12日に追加関税の引き下げで合意し、貿易摩擦が緩和したものの、新たな火種が生じた。米国務省が一部の中国人留学生のビザ(査証)を取り消すと発表した問題だ。対象は中国共産党とつながりがあったり重要分野で研究したりする学生で、習近平(シー・ジンピン)指導部には受け入れられない内容だ。中国では党が政府を指導し、党総書記が国家主席や人民解放軍トップを兼ねる体制をとる。習指導部は米中の貿易摩擦が激しくなった4月以降、東南アジア諸国連合(ASEAN)やロシアなど周辺国家との協力拡大に動いた。日本との関係改善に動くのも、米中対立の激化に備えた周辺外交の一環といえる」

 

中国は今、掌を返したようにアジア各国へ接近している。この見え透いた振舞が、外交効果を低めている。「一時的」な融和策であることが、分っているからだ。

 

(5)「もっとも、日中間には安全保障分野を中心に課題が山積する。中国は沖縄県尖閣諸島を自国の領土と訴え、周辺海域で日本領海への侵入を繰り返す。3日には中国海警局のヘリコプターが尖閣周辺の日本領空を侵犯した。中国でスパイ罪により公判中のアステラス製薬の現地法人幹部の日本人男性を巡り、日本政府が繰り返し早期解放を求めているが進展はない。日本政府関係者は「日中は安保などで利害がぶつかり、懸案が完全になくなることは起こりえない。米中関係が改善し、中国にとって日本の利用価値が下がればまた日中関係が悪化しかねない」と話す」

 

米中関係は、中国経済が完全に「没落」するまで悪化するであろう。その時期はいつまでか。5年や10年先ではない。となると、中国の低姿勢外交は長期にわたり続く。