韓国経済は、構造的な停滞局面へ入ったようだ。米中貿易戦争というほかに、これまでの成長要因が薄れ、逆に既得権益を狙う動きが一段と拡大している。「構造改革」は不可欠だが、反対する政治勢力によって阻まれている。要するに、危機感が希薄である。こうして、25年経済成長率は%台に止まる見通しで、2年連続で潜在成長率2%に達しない懸念が強い。統計を取り始めた1954年以来の事態である。
『東亜日報』(5月30日付)は、「韓銀が0%台成長を公式化、次期政権の肩が重い」と題する社説を掲載した。
韓国銀行(韓銀)は、今年の韓国成長率の予測値を0.8%に大幅に下げ、「0%台の成長」を公式化した。長期化する内需萎縮や米国発関税戦争が、経済を直撃すると見たのだ。緊急処方で基準金利を0.25%ポイント引き下げたものの、泥沼に陥る景気を蘇らせるには力不足だという評価が出ている。
(1)「昨日、韓銀は、1.5%だった成長率予測を、3ヵ月ぶりに半分の水準に下げた。第1四半期の成長率がマイナス0.2%に下がると、調整をこれ以上先送りできないと判断したのだ。韓銀は、対米関税交渉が円満に進み、関税率が大幅に引き下げられても成長率は1%を超えない0.9%に止まるものと予想した。来年の成長率予測も1.6%で0.2%下げたが、韓国の成長率が2年連続で2%に至らないのは、1954年に統計を取り始めて以来一度もなかったことだ」
昨年と一昨年、韓国の産業用電力の販売量が2年連続で減少した。コロナ禍の時期を除いては、関連統計を取り始めた1999年以降初めてのことだ。中国製品とのグローバル競争激化、深刻な内需萎縮が重なり、韓国の製造業が深刻な低迷に陥っている。韓国経済は、想像以上に「内部崩壊」が進んでいる。政治的混乱は、その象徴である。隣国として、極めて憂慮すべき事態へ落込んでいる。
(2)「韓銀の金融通貨委員会がこれに対応して、基準金利を2.75%から2.5%に下げたが、状況を反転させるのは難しい状況だ。外食物価の上昇や政治不安で、消費心理は依然として冷え込んでおり、収益性が悪化した企業は投資余力が足りない。だからといって、金利をさらに急激に引き下げると、不安になったソウルなどの住宅価格を引き上げ、家計負債のみさらに増やす副作用は避けられない」
金利を下げるとすぐに、不動産投機に走るというおよそ合理的行動に反することを始めている。家計債務残高は、すでに対GDP比で100%を超えている。韓国は、過度な家計負債が消費を制約し、2008年のリーマンショック後に大沈滞を体験した米国と似た道を歩んでいると指摘されている。
(3)「通貨政策が壁にぶつかった時は、財政を供給して問題を解決しなければならない。今月初め、嶺南(ヨンナム)地域の山火事対応などの用途で、13兆8000億ウォンの第1次補正予算を編成したが、景気刺激には限界がある。ただ6・3大統領選挙で勝利すれば、最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)大統領候補は20兆ウォン以上、与党「国民の力」の金文洙(キム・ムンス)候補は30兆ウォンの「2次補正予算」の編成を約束している。20兆~30兆ウォンの補正予算は成長率を最大0.2~0.5%ポイント引き上げる可能性がある」
6月3日が、大統領選である。現状では、左派勢力の李在明氏が当選すると予測されている。財政支出の大盤振る舞いを始めるのは確実だ。こうして、改革を後回しにした安易な方法がとられるであろう。
(4)「それだけに、最も効果の大きい部門に予算を集中する必要がある。限界に達した自営業者に対し数百万ウォンずつ予算を配分するのは、民生支援の効果はあるが、成長率向上にはあまり役に立たない。資金難で止まったインフラや建設部門に対する支援がさらに大きな効果を期待できる。人工知能(AI)や蓄電池を支援し、成長潜在力を高めることも先送りできない。今年、韓国経済が0%台の成長の沼から脱出できるかどうかは、来週発足する新政府の判断と実行力にかかっている」
自営業者救済は、新たな自営業者を出さない対策だ。一時的感情で会社を辞め、自営業に走り債務を増やすという繰返しである。労働市場流動化を進めるには、年功序列賃金制を廃止することが先決だが、労組の反対で進まず混沌とした事態へ陥っている。問題解決の糸口さえ見つからない社会である。


コメント
コメントする