中国国家統計局が5月31日、5月の製造業購買担当者景気指数(PMI)を発表し49.5だった。4月から0.5ポイント上昇したものの好調・不調の境目の50を下回っている。米国が5月から、小口輸入に対する非課税措置(デミニミスルール:800ドル以下無税)を撤廃した影響が強く出てきた。非課税措置で商品を供給する中国の中小零細企業は、越境EC(通販)によって潤ったが、それも不可能になった。この影響が今後、中小零細企業を圧迫することになろう。輸出依存の製造業に、大きな障害となる。
『日本経済新聞 電子版』(5月31日付)は、「中国景況感、晴れ遠く 米国と対立再燃警戒で5月も50割れ」と題する記事を掲載した。
製造業購買担当者景気指数(PMI)は製造業3200社を対象に調べる。新規受注や生産、従業員数など項目ごとに調査する。50を上回れば前月より拡大、下回れば縮小を示す。4月は米中が100%を超える関税を課し合った影響で先行き不安が強まり49.0に落ち込んだ。米中は、5月10〜11日にスイスで開いた閣僚級協議の合意に基づき、14日に関税を115%引き下げた。一部の追加関税は90日間停止し、双方は協議を続ける。
(1)「5月のPMIの内訳をみると生産は0.9ポイント高い50.7だった。完成品在庫を示す指数は0.8ポイント低下して46.5だった。関税が下がったうちに米国への輸出を急ぐ企業が増えている。米向け物流の需要は高まっている。浙江省寧波・舟山港の米西海岸向け輸出コンテナ価格指数は30日時点で9日比2.4倍に上昇した。米東海岸向けも2.1倍に上がった。需要が急増してコンテナ価格が上がり、コンテナ確保に苦慮する企業も出ている」
米中関税は、暫定措置で115%ずつ引き下げられたが、中国には依然として30%の高関税が課されたままだ。それでも、関税引下げで輸出コンテナ需要が急増しており、コンテナ確保が困難になるほどだ。この賑わいがいつまで続くか暗雲が漂い始めている。
トランプ米大統領が5月30日、中国の習近平国家主席と会談する見通しだと述べた。トランプ氏はこれより先、中国が米国との関税に関する「合意に違反した」と非難し、米中間の緊張が再び高まっている。仮に、米国が再び関税率を引上げれば、事態は悪化する。
(2)「輸出企業は、米国などからの大型受注に慎重な姿勢を崩していない。5月のPMIのうち海外からの新規受注を示す指標は47.5で引き続き50を下回った。同指数は3〜6ヶ月先の輸出を占うとされ、輸出の先行きには不透明感が残る。企業は、米中による90日間の協議がまとまらず、関税を再び上げるなど貿易摩擦が再燃するのを警戒する。関税政策により米国を中心に景気が減速するとの見方もある」
海外からの新規受注を示す指標は、47.5で引き続き50を下回った。同指数は3〜6ヶ月先の輸出を占うので、輸出環境が好転しているわけでない。中国経済は、輸出依存型だけに、厳しい状況が続く見通しである。
(3)「企業の景況感の悪化は雇用にも響く。PMIのうち雇用を示す指数は、5月が48.1で50を下回る状況が続く。新規受注が振るわず企業は新たな雇用の拡大に慎重になっていて、景気回復の重荷となっている」
雇用指数も50を下回ったままだ。米国が5月から、小口輸入に対する非課税措置(デミニミスルール)を撤廃した影響が強く残っている。この状況は、今後とも改善しない暗い見通しだ。建設業とサービス業を含む5月の非製造業PMIは、4月の50.4から50.3へわずかに低下した。
西村友作中国対外経済貿易大学国際経済研究院教授は、これからの輸出について次のように見通しを語っている。『日本経済新聞 電子版』(5月31日付)が報じた。
米中協議で、115%の追加関税を引き下げる合意をしたが、大企業と比較すると中小零細企業の方が厳しい状況が続いている。その背景は、米国の小口輸入に対する非課税措置(デミニミスルール)の撤廃だと思われる。このルールを使って米国へ大量輸出をしてきたのがTemuやSHEINである。主に商品を供給してきたのは、中小零細企業だ。中小零細企業の経営状況は悪化し、比較的低賃金のブルーワーカー層で、もし失業者が増えると、社会の不安定化するリスクが高まる恐れはある。


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