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李在明(イ・ジェミョン)大統領と米国のトランプ大統領は、最初の電話会談をすでに行った。韓国側は会談の事実を公表した一方、米国は丸1日過ぎても正式に発表していないのだ。このため、その背景に関心が集まっている。

 

韓国大統領室は、「両大統領が互いのリーダーシップを高く評価し、韓米同盟のために努力することで一致した」とし「良い雰囲気を作っていく電話であり、お互い親近感を確認した電話だった」と評価した。米ホワイトハウスは関連の論評を出さず、トランプ大統領のSNSにも電話会談関連のメッセージはなく、韓米間で微妙な温度差がみられた。一部では米国側が、李在明政権の標ぼうする実用外交の実体を正確に把握するため、慎重な態度を見せるのではという見方が出てきた。

 

『朝鮮日報』(6月9日付)は、「李在明・トランプ初の韓米首脳電話会談、公式発表を行わない米政権の対応が話題に」

 

李在明大統領は当選直後の今月4日に大統領に就任し、米国トランプ大統領と米国東部時間の6日午前9時(韓国時間6日午後10時)に約20分にわたり電話会談を行った。会談直後、韓国大統領府は会談の内容とその背景について詳細に説明した。

 

(1)「米ホワイトハウスとトランプ大統領は、現地時間の7日午後になっても、会談が行われた事実もその内容も正式に公表していない。これまで、プレスリリースや報道官の会見はもちろん、トランプ大統領がたびたび使用するSNS(交流サイト)「トゥルース」にも言及がない。ロイター通信は6日、ホワイトハウス関係者の話として「トランプ大統領は李在明大統領を米国に招待した。二人は近く会う計画だ」と報じたが、これは非公式の話に過ぎない」

 

トランプ氏は、SNSで頻繁に発信している。李氏と電話会談しながら無反応なのは、話の内容がトランプ氏のハートを掴むような魅力がなかったとも言える。「沈黙」は、「無関心」にも通じるのだ。

 

(2)「トランプ大統領は2期目の政権発足後、他国の首脳との電話会談やその内容をトゥルースで自ら公表してきた。ただし全てが明らかにされたわけではなく、何を公表するかは相手やその内容により変わってきた。一例を上げるとトランプ大統領は、今年4月の韓悳洙(ハン・ドクス)大統領権限代行との電話会談後「在韓米軍の防衛費分担金問題を話し合った」と自ら公表した。だが、同じような電話会談を全て公表しているわけではない。3月にカナダのカーニー首相と行った電話会談はSNSで直ちに公表したが、先月8日に行ったドイツのメルツ首相との電話会談は公表しなかった」

 

ドイツのメルツ首相との電話会談は、公表されなかった。これは、メルツ氏がトランプ批判をするような発言をしたことや、トランプ氏自身がドイツへの関心が薄いという点もある。ドイツは、もともと米国とは距離を置いている国だ。韓国も、ドイツ並みの関心度になっているのかも知れない。

 

(3)「そのため、今回の李在明大統領との電話会談をトランプ大統領が公表しないことも特に「異例」とは言えないと考えられる。ただし複数の外交関係者は、李在明政権発足後もトランプ政権の対応が比較的静かな点に注目している。両首脳による電話会談が行われた時期も大統領選挙から3日後で、これは選挙後1~2日以内に電話会談が行われた過去の事例とはかなりの違いがあった」

 

ホワイトハウスは、李氏が大統領に当選した時から「淡泊」な感想を述べてきた。「冷淡」とも言える姿勢だった。李・トランプ会談もその延長にあるのかも知れない。

 

(4)「外交関係者の間では、今月15~17日にカナダで開催されるG7(先進7カ国)首脳会議で(招待される)李在明大統領とトランプ大統領の最初の会談が実現するかに注目が集まっている。会談が実現すれば、李在明政権に対するトランプ政権の認識がさらに明確になる具体的なメッセージが出されるとみられる」

 

李氏側近では、李政権の外交スタンスが明確になっていない以上、G7への招待出席を見合わせた方が良いとの意見もある。招待国の韓国が、G7という同じ価値観の国々に混じって出席することが、中国やロシアとの関係悪化をもたらすという慎重論もあるほどだ。

 

韓国は、G7の後で開催されるNATO会議にも招待されている。この会議には「欠席論」も囁かれている。李政権内に、対中ロ関係悪化を懸念するグループがいるからだ。李氏は、「実用主義」外交を唱えている。その都度、立場を明らかにする「コウモリ外交」である。米中対立激化の中で、韓国のこういう姿勢が西側諸国に受入れられるか不明である。