航空業界の次の目玉として注目を集める「空飛ぶクルマ」は、ビジネスとして「離陸」できず、ドイツでは経営破綻騒ぎが起っている。こうした中で、スタートアップ企業エレクトラ(本社・米バージニア州)は、サッカー場ほどのスペースで――しかも静か、かつ迅速に――離着陸できるハイブリッド電動航空機が「離陸」を目指している。ヘリコプターや小型ジェット機に比べて、はるかに優位であるというのだ。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』(6月23日付)は、「ハイブリッド電動航空機、『ウルトラショート』離着陸に商機」と題する記事を掲載した。
米航空宇宙大手ボーイングの幹部から昨年、エレクトラのCEOへと転身したアレン氏はハイブリッド電動航空機について、「単に航空機の一種だ」と話す。だが同氏には、「ウルトラショート(超短距離離着陸機)」とも呼ばれるこのハイブリッド機が、渋滞で進まない空港までの移動や、保安検査の長い列、不便な乗り継ぎを経験することなく、空の旅に出たい乗客の願いをかなえるだろうとの確信がある。
(1)「ヘリコプターは騒音が大きく高価で、小型ジェット機は従来の空港を依然として使う必要があり、空飛ぶタクシーは航続距離が短い。「われわれはこうした既存技術を独自の全く新しい方法で統合し、真の直行便(ダイレクト・アビエーション)を実現しようとしている」。エレクトラは、ジェット燃料と電力を併用するハイブリッド型航空機という比較的新しい試みを手がける」
ジェット燃料と電池を併用するハイブリッド型航空機が登場する。米政府と研究契約を結び、ハイブリッド電動式「ブロウン・リフト」技術で、新しい能力を創出する先進的コンセプトを探っている。ボーイングとの関係が生かされている。
(2)「9人乗りの「EL9」は、8基のプロペラを使って翼の上部に空気を送り込み、滑走路を高速走行したときの揚力を再現する。この「ブロウン・リフト」と呼ばれる揚力技術を使えば、短い滑走路での離陸が可能になる。一般的な小型機が空中に浮き上がるために最低70ノット(時速130キロ)の速度と約457メートルの滑走路を必要とするのに対し、エレクトラの機体はその半分の速度で、約90メートルの滑走路上を45メートル進んだところで離陸できる」
「ブロウン・リフト」と呼ばれる揚力技術を使えば、短い滑走路での離陸が可能になるという。約90メートルの滑走路上を45メートル進んだところで離陸できる。これだと、ちょっとした空き地がアクセスポイント(空港)として利用可能だ。
(3)「米防衛大手ロッキード・マーチンの支援を受ける創業5年のエレクトラは、2029年までにEL9を就航させる目標を掲げる。同社は数カ月前から2人乗りの試作機「EL2」を飛ばしている。値付けに詳しい関係者によると、同機の希望小売価格は1000万ドル(約14億5000万円)前後だが、業界の標準的な値引きにより約半値となる可能性がある。エレクトラは、同機の購入・運用コストはヘリコプターのおよそ3分の1だと話している」
9人乗りの「EL9」は、2029年までに就航させる目標だ。同機の購入・運用コストは、ヘリコプターのおよそ3分の1で済むという。ヘリには、強力ライバルが登場する。
(4)「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで、アレン氏は自身の構想を語った。ハイブリッド電動式タービン発電機があり、複数の電池があり、翼の端に電動モーターがあり、全てが連動している。もしタービン発電機が故障しても、電池が動力源になるから問題ない。もし電池が1個故障しても、電池は4個ある上、(燃料で動く)ターボ発電機を備えているから問題ない。電池4個が全て働かなかったとしても、ターボ発電機がある」
飛行中の安全性は、安定した「エネルギー維持」にかかっている。その面では、ハイブリッド電動式タービン発電機、複数の電池、電動モーターがすべて連動しているという。
(5)「超短距離の着陸が可能で、同時に超静音性という利点もあるため、騒音の心配なく近隣地区に離着陸場所を設けられる。こうした特性を生かし、旅客は全く新しい超短距離アクセスポイントを利用できるようになる。超短距離離着陸機はヘリコプターのような形で航空機環境に参入できる。つまり航空路を混雑させることなく(ジェット機専用ターミナルの)駐機エリアや誘導路に着陸できるということだ。旅客は、ワシントン・ダレス国際空港のような大きな空港から300キロ以上離れた近所の超短距離アクセスポイントから出発し、ダレス空港に到着した後、シャトルバスで移動してロンドン便に搭乗できる。旅程を大幅に改善し、時間を短縮できる」
大きな空港から300キロ以上離れた場所からでも、「EL9」を使えば手軽に旅行を楽しめるという。そういう時代が、米国ではあと4年ほどで実現可能だ。いずれ、この波は日本へも来る。
(6)「機内では(静寂すぎて)ほぼ退屈に感じるだろう。率直に言って、普通の航空機に乗るのと変わらない体験だからだ。唯一驚くとすれば、着陸態勢に入る際、通常あるべき高度よりはるか上空にいる感覚なのに、そこから降下し始めることだ。だが急降下ではなく、自動車の走行速度くらいだ。アクセスポイントへの着陸時は時速40キロで、そこから停止する。エレクトラの航空機は8基のプロペラを使って翼の上部に空気を送り込むことで、通常より短距離の滑走路を使った離陸を可能にしている。今の世界では人類の80%が一度も飛行機に乗ったことがない。誰でも空を飛べるほど利用しやすく、安価な技術を開発すれば、世界はどう変わるだろうか」
アクセスポイントへの着陸時は、時速40キロからの停止となる。自動車が止まる時の感じだ。購入・運用コストは、ヘリコプターのおよそ3分の1程度とすれば、安価な費用で旅行が実現する。観光バスに乗るよりも手軽るになるのだろう。


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