衝撃のトランプ決断
習近平構想は再検討
過剰生産で企業自滅
浮上する政権交代論
イスラエルとイランの「12日間戦争」は、米国のイラン核開発区への急襲によって、ひとまず停戦が実現した。これによって、両国の紛争が終結する訳でない。イランの濃縮ウラン(濃縮度60%)400キロの行方が不明であるからだ。イランが、事前に安全な場所へ移動させたと説明している。米国は、これを拒否し「虚報」と断じているほど、情報が交錯している。
イランが説明するように、濃縮ウランが安全な場所で保管されていれば、「核爆弾」完成(濃縮度90%)は時間の問題。こういう事態となれば、両国の紛争再発は不可避である。これからイスラエルの厳しい「詮索活動」が始まるであろう。
中東では、イスラエルとイランの抗争が今後も続く構図になった。アジアでは、中国と台湾がすでに75年の長きにわたり対立している。最近は、中国が一段と強硬姿勢をとり、台湾包囲の演習を二度も行うほどエスカレートしている。米国は、国内法による「台湾関係法」(1979年)を基礎にして台湾防衛姿勢をみせつつも、内外へ決定的な言質を与えない「曖昧戦術」を取ってきた。
米国は、最終的にイラン急襲でイスラエル擁護の姿勢を取り、紛争解決へ向けて一石を投じた。この伝で言えば、中国が台湾侵攻の場合、米国の介入を招くことは決定的とみるほかない。
米国が、イスラエルを守って台湾を突き放すことになれば、米国の同盟国や友好国の抱く米国への信頼感は大きく崩れる。同時に、米国の安全保障にとっても重大危機を招くはずだ。米国が、イランの核武装を阻止するのは、米国の安全保障を危機に陥れるとする論理であった。この安保論理は、そのまま台湾侵攻阻止にも通じるものである。その意味で、米国がイランを急襲した安保論は、そのまま台湾防衛論となるだろう。
衝撃のトランプ決断
習近平中国国家主席は、イスラエルとイランの紛争で、米国が介入するか注目していたはずだ。米国が、イランの地底深くに設置したウラン濃縮施設へ「バンカーバスター」を14発もぶち込んだことで、ある種の恐怖感を持ったであろう。中国には、こういう弾薬を開発していないからだ。中国は、米国の並々ならぬ決意を見せつけられて、台湾侵攻が容易ならざる戦争になることを自覚させられただろう。同様の恐怖感は、北朝鮮も抱いている。米国批判を抑えていることに見て取れるのだ。
習近平氏は、毛沢東を「神」とも崇め奉っている。毛沢東の「持久戦」に従って米国と対峙していれば、いずれ米国が自滅するという論理を後生大事にしている。今回の米国によるイラン急襲は、習氏へどのような影響を与えたか興味深い。
中国自体は、不動産バブル崩壊と高齢化で国力が落ちても、米国はもっと速いペースで衰退すると想定している。この仮想によれば、米国のイラン急襲は「自滅」への一歩であり、中国が相対的に強くなるきっかけが得られたとほくそ笑んでいたであろう。米国は当然、中国包囲網へ力を入れる余裕がなくなると読んでいた。
習氏は台湾統一を悲願とする上で、現在が極めて有利な状況を生んでいるとみているだろう。毛沢東の持久戦論が、これから生きる局面になると判断しても不思議はない。持久戦論とは、このように中国が我慢していれば、いずれ有利になるという「他力本願」の戦法である。それだけに仮定が少しでも狂えば、大きな見間違いを冒すのだ。バンカーバスターが、この妄想を打ち砕いた。
台風のような天災では、持久戦で我慢していればいずれ危機は去る。だが、国家間の戦争のような国力が基盤になる場合、そういう安易な方法で勝利が得られるはずがない。むしろ、敗北をもたらすであろう。米国は、最終決戦相手が中国と想定している。その戦いに不利になるようなイスラエルへの「肩入れ」を最も警戒している。習近平氏の「計算違い」はここから始まる。
米国バンス副大統領によれば、トランプ氏による今回のイラン急襲決断の背景には「トランプ・ドクトリン」が存在するという。バンス氏の説明では、次のような道筋だ。『ロイター』(6月26日付)が報じた。
1)まずは米国の明確な利益を明示して外交で問題を解決しようとする。
2)それが失敗した場合は、「圧倒的な軍事力」で解決する。
3)紛争が長期化する前に、そこから抜け出す。
外交専門家には、トランプ氏に「ドクトリン」という高尚なものは存在せず、「直感外交」に過ぎないと批判している。ドクトリンか直感かの判定は、今後の実績でしか判定するほかない。いずれにしても、世界最大の軍事力を擁する米国が、瞬間的でもその持てる軍事力の一部を使うことで、イランが「12日間戦争」を集結させたことは事実だ。
上記の「トランプ・ドクトリン」によれば現在、2)の段階が終ったことになる。今後、紛争が再発しても米国は本格介入しないとしている。それ以降は、イスラエルが国益を賭けた自衛戦争という立場だ。
習近平構想は再検討
習近平氏にとって、台湾侵攻が自らの権力を終身化する目的とされている。中国の憲法は、国家主席の任期が1期5年、2期10年を限度とするとの規定であった。習氏は、この規定を撤廃して無期限に改めた。習氏は、健康が許す限り終身国家主席が可能になったのだ。ただ、終身国家主席になるには、それなりの業績が不可欠である。習氏は、最終的に台湾侵攻による統一をその目標に据えている。習氏は今、手を替え品を替え台湾へ軍事的圧力を加えている。台湾統一が、習氏最大の政治目的になっているのだ。(つづく)
https://www.mag2.com/m/0001684526


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