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日本の海域には有望なレアアース資源が眠る。東京大学の加藤泰浩教授らの研究チームは2013年、日本最東端にある南鳥島(東京都)周辺の海底下から、レアアースを高濃度で含む「レアアース泥」を発見した。南鳥島の有望海域(2500平方キロメートル)のみでもレアアースの埋蔵量は1600万トン超と世界3位の規模とみられる。今後、探索を続ければ、さらに埋蔵量が増える見通しだ。

 

『日本経済新聞 電子版』(6月28日付)は、「南鳥島に眠るレアアース、世界3位の量 中国輸出規制の資源も豊富」と題する記事を掲載した。

 

電気自動車(EV)などに欠かせないレアアース(希土類)の確保は国内産業の懸案だ。生産の7割を握る中国が米国との対抗で輸出を規制し、国内メーカーの生産停止にまで波及した。日本の海底資源「レアアース泥」は規制対象である「中・重希土類」も豊富に含む。資源の安全保障を確保する観点からも、開発の重要度が高まる。

 

(1)「25年に入って日本政府はレアアース泥の開発に注力する方針を打ち出した。4月には深海6000メートルからレアアース泥を引き揚げる「揚泥管」の接続試験を開始すると表明した。政府は28年度以降を目標にレアアースの生産体制を整える。特筆すべきは中国の輸出規制で希少性が強く意識される中・重希土類を多く含む点だ。レアアースは軽希土類と中・重希土類に大別され、中・重希土類は中国産が大半だ。中国政府が4月に発表した輸出規制の対象であるジスプロシウムなど7種類は中・重希土類にあたる。東大の加藤教授によれば、レアアース泥の含有量の5割程度が中・重希土類だという」

 

南鳥島海底の「レアアース泥」は、中・重希土類を多く含んでいる。中国内陸部のレアアースの品位よりも20倍(東大調べ)という高品位が見込まれる。東大は、さらに海底調査を続けている。

 

(2)「商業化に向けては採算性が課題となる。21年に東京大学レアアース泥・マンガンノジュール開発推進コンソーシアムで試算した経済性評価によると、1日あたり3500トンのレアアース泥を引き揚げることができれば「過去20年ほどのいずれの価格帯でも採算が取れる」(東大の加藤教授)という。レアアース泥の開発に向けて進行中の内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)では、27年1月以降に1日あたりで350トンに相当する揚泥を目指している。今後は揚泥量を伸ばせるかが焦点だ」

 

22年に、水深2470メートルで海底堆積物の揚泥に世界で初めて成功した。技術的メドはついており、27年1月からの揚泥作業に期待がかかっている。

 

(3)「泥などを引き揚げたあとも、陸から離れた海域から運ぶ費用がかかる。実際にレアアースとして使うには、純度を上げる精錬技術も必要だ。だが地上でとれる資源と違い、海底の泥から精錬する技術は未完成。産業に応用するまでの技術的な課題は多い。環境負荷への配慮として、生態系に対する影響の調査といった取り組みも求められる」

 

海底の泥から精錬する技術は未完成、としているが。22年の海底堆積物の揚泥成功によって、すでに製錬技術の開発は進んでいるはずだ。この記事は、表面的な内容で突っ込み不足が明白である。

 

(4)「米中対立の激化で、レアアースの調達は不透明感が高まる。中・重希土類は取引価格も急上昇した。英調査会社のアーガス・メディアによれば、中国外の価格指標となる欧州価格で、ジスプロシウムとテルビウムは5月初時点の価格が1カ月前から約3倍に急騰。データが遡れる2015年5月以降での最高値となった。6月上旬時点でも最高値圏での推移が続く」

 

レアアースは、戦略物資であるゆえに供給不足に陥ると、すぐに価格が跳ね上がる。こういう環境下では、技術開発のスピードも上がるはず。単なる悲観論は有害ですらある。