中国は、レアアース(希土類)磁石の輸出規制を緩和すると米国に約束した後も、西側企業からの申請審査を引き延ばしている。米中貿易摩擦が、再燃する懸念が出てきた。中国には、政府間で合意しても履行しない「悪弊」がある。今回もそれが、顕著に表れている。いずれ、トランプ米国大統領から、警告が出る騒ぎになりそうだ。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』(6月27日付)は、「中国がレアアース規制継続、米と合意後も」と題する記事を掲載した。
西側企業は、製造に必要なレアアース磁石をぎりぎり確保している状態で、今後の供給メドは立っていないと話す。企業は中国当局による審査を数週間待たされ、場合によっては却下されている。磁石の製造に使う未加工レアアースの輸入はほぼ認められていない。
(1)「このため各社は、供給不足で遠からず製造に影響が出ることを懸念している。企業は磁石の確保に必死で、生産を停止するとコストがかさむため、許可が下りると割高でも空輸を選択している。高性能の磁石を使わない方法を試すメーカーもある。「その場しのぎの状態で、れっきとしたサプライチェーン(供給網)の混乱だ」。米自動車大手フォード・モーターでバッテリー・電気自動車(EV)事業計画を統括するバイスプレジデントのリサ・ドレイク氏は今週、こう話した。状況は改善したものの、レアアース磁石は不足しており、工場の操業停止を回避するには調整が必要だという」
レアアースは、高性能の磁石の製造に不可欠である。中国は、ここを狙って供給を絞っているのだ。
(2)「トランプ米大統領が対中関税を引き上げたことを受け、中国は4月に新たなレアアース輸出規制を導入した。米政権は供給が正常化すると主張しているものの、メーカーの苦労が続いていることを踏まえると、輸出規制は続いているとみられる。「確かに書類上は輸出規制を中断しているが、実態は全く異なる」。ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンスのレアアース業界アナリスト、ネハ・ムケルジー氏はこう指摘した。許可手続きは「お役所仕事の遅れ」に悩まされているという」
輸出規制を解除しても、書類審査が続いている以上は輸出承認までさじ加減されている。こういう不便を被る企業は、骨の髄まで「反中国」となり、レアアースの代替購入先を探すか、レアアースそのものを使用しないですむ技術開発へ走らせるであろう。
(3)「中国商務部は26日、レアアース輸出許可の審査を迅速化しており、「一定数」を許可したと述べた。中国の輸出規制から見えてくるのは、同国が強固なサプライチェーンを通じてどれほどの力を持ち、それをどう駆使して西側企業に打撃を与え、米国から譲歩を引き出しているかだ。高性能レアアース磁石は、自動車やジェット戦闘機などさまざまな物の重要部品で、中国はその世界生産量の90%を占める。トランプ氏が中国製品に高関税を課すと、中国は4月にレアアースの輸出管理制度を導入。軍事用途の輸出を規制するのが目的だとしているが、実質的にレアアース供給を恣意的に制限できる仕組みだ」
中国は、レアアース輸出規制によって米国の譲歩を勝ち取る手段にしている。中国には、米国への対抗手段がこれしかないことを示している。
(4)「4月以降、西側企業への磁石供給は細り、世界の自動車・防衛・電子機器メーカーに衝撃が広がった。レアアース磁石の米国向け輸出は5月に前年同月比93%減少。フォードのシカゴ工場は、スポーツタイプ多目的車(SUV)「エクスプローラー」の生産を5月に1週間停止した。米国は中国が輸出許可を遅らせていると非難したが、中国はこれを否定。両国は6月に協議を再開し、中国は米国が一部の対中輸出規制を緩和する見返りに、レアアースの供給を制限しないことで合意した」
中国は、レアアース磁石の米国向け輸出を、5月に前年同月比93%も減少させた。米国を困らせて、譲歩を引出す戦術に使ったのだ。
(5)「だが、中国は新規の輸出許可を6カ月間に限定したとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は報じた。中国当局は、輸出許可を申請した西側企業に対し、磁石の購入者の連絡先や、磁石を組み込むモーターなどの設計図といった秘匿性の高い情報まで求めている。中国当局は、磁石が軍事目的に使用されないようにするために必要な審査だと主張している。磁石の売買に関わっている複数の企業が明らかにした」
中国は、輸出許可を申請した西側企業に対し、磁石の購入者の連絡先など秘匿性の高い情報まで求めている。あからさまな、スパイ行為だ。
(6)「秘匿性の高い知的財産や取引の詳細を伏せておくために無回答にすると、申請は放置されるか却下される。中には、申請を最初からやり直して全ての質問に回答した申請書を新たに提出するよう指示された企業もある。レアアース輸入に関わっている企業が明らかにした。新規の申請手続きには45日かかるという。そうした企業の担当者は、「管理は実際にある」と述べた。「(中国当局は)数千件の申請を受け取っている」と指摘」
西側企業が秘匿情報を書き込まないと、輸入申請を受け付けず放置される。なんとも横暴な商法である。


コメント
これから、パンダ貸し出しやレアアース輸出規制等のような中国の悪徳商法を、パンダ商法と命名しましょうか!
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