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急成長する中国製造業で、モバイル・バッテリーの発火事故が多発している。製造業の歴史が短い中国の脆弱性を露呈した形だ。民間航空輸送を所管する民用航空局(民航局)は6月末、安全認証の「3C認証」(中国強制製品認証)などがない製品の国内線への持ち込みを禁止する緊急通達を出した。

 

『レコードチャイナ』(7月5日付)は、「根が深い中国のモバイル・バッテリー発火事故、安全認証取り消しやリコールも相次ぐ」と題する記事を掲載した。

 

(1)「モバイル・バッテリーの発火事故が多発する中国。民間航空輸送を所管する民用航空局(民航局)は6月末、安全認証の「3C認証」(中国強制製品認証)などがない製品の国内線への持ち込みを禁止する緊急通達を出したが、認証の取り消しやリコールも相次ぐ。問題の根は深そうだ」

 

品質管理と安全基準が、こうした事故を防ぐカギと指摘されている。バッテリーは普通、何本かつなげて利用するが、その接続部分で発火が起っているという。

 

(2)「香港メディアなどによると、合計120万台以上のモバイル・バッテリーをリコールすると発表した中国メーカーのROMOSSとAnkerの場合、主な原因はバッテリーセルの原材料にあった。ROMOSSはバッテリーセル原材料の品質問題により、ごく一部の製品において使用中に過熱、発火現象が発生する可能性があると説明した。Ankerも「特定のサプライヤーから供給されたバッテリーセルの一部ロットに、未承認の原材料変更があった」とし、これにより過熱や発火のリスクが生じたと明らかにした」

 

納入部材のチェックをしないで使用するとは驚きである。念には念を入れるものだ。一種の手抜きであろう。

 

(3)「Ankerは、6月20日に複数製品のリコールを発表しているが、これらの「3C認証」が取り消されたのは3月28日で、リコール発表まで3カ月もの間隔があった。ROMOSS616日にリコールを発表した3機種のうち2機種の一部認証も、1カ月半前の429日にすでに「一時停止」となっていた」 

 

「3C認証」が取消されているにもかかわらず、リコール公表は3ヶ月後である。メーカー責任が希薄である。

 

(4)「今年5月、「3C認証」の認証機関である中国品質認証センター(CQC)は、モバイル・バッテリーやリチウムイオン電池に対する認証制度の見直しを発表。従来の「企業提出サンプルによる試験」から、「生産現場での抜き取り検査」方式に変更されるなど、認証プロセスの厳格化を進めている。中国メディア『毎日経済新聞』は、「この制度変更の時期がメーカーの認証取り消し時期と近接している」ことに注目。記事によると、今回「3C認証」の停止または撤回が行われた理由としては、「国家法規違反や重大な製品欠陥があったこと」「工場監査で重大な不備が判明し、是正措置が取られなかったこと」「認証の変更・回復手続きが未完了であること」「監査や抜き取り検査を企業側が拒否したこと」などが指摘されているという」

 

3C認証は従来、「企業提出サンプルによる試験」で済ませてきた。それが今度は、「生産現場での抜き取り検査」へ厳格化された。当然の措置である。

 

(5)「中国で今年、モバイル・バッテリーの航空機内での火災がすでに15件発生。国営中央テレビ(CCTV)は6月29日の番組でこの話題を取り上げた際、中国民航科学技術研究院危険品センターの楊強主任の見解を紹介。発生件数は昨年同期のほぼ2倍で、楊主任は航空機内でモバイル・バッテリーが自然発火した場合、「客室は密閉空間で消火設備も限られており、有毒ガスの拡散リスクも高い」として、対処は地上よりもはるかに難しいと警告した。一方で楊主任は「新たな規則によって3C認証とリコール品管理を実施すれば、90%以上の危険リスクを排除できる」とも強調した」

 

日本のモバイル・バッテリーが、発火事故を起したという事例を聞いたことはない。品質管理が厳しいのであろう。中国製品が、日本のレベルへ達するのは何時になるのか。