コメ取引の関係者に対する調査で、向こう3カ月の価格見通しを示す指数が急落した。全国農業協同組合連合会(JA全農)などでつくる米穀安定供給確保支援機構が4日発表した6月の指数は35と、前月の59から24ポイント低下した。下げ幅は2012年3月の調査開始以降で最大。随意契約による安い政府備蓄米が流通し、価格が低下するとの見方が強まった。これまで、中間段階で「暗躍」してきた投機筋が、政府の強硬姿勢に押されて「観念」した形だ。末端価格が、これから安定化に向う公算が強まってきた。朗報だ。

 

『日本経済新聞』(7月5日付)は、「コメ価格の見通し指数、過去最大の下げ幅 6月市場調査、備蓄米放出影響か」と題する記事を掲載した。

 

コメの生産者や卸会社などが会員として参加する米穀安定供給確保支援機構(米穀機構、東京・中央)は4日、今後のコメの価格や需給環境に関する市場関係者への調査結果を公表した。随意契約による政府備蓄米の放出を受け、需給が緩和へ向かい価格は下落するとみる市場関係者が多く、公表数値は過去最大の下げ幅となった。

 

(1)「米穀機構は全国の生産者や集出荷業者、コメ卸、小売り・外食企業などに対して取引状況や需給動向、価格水準を毎月調査している。今回は6月に調査を実施し、向こう3カ月の主食用米の需給と価格などについてヒアリング。結果を指数化して公表した。需給の見通しDIは前月から30ポイント低い43となった。下げ幅は過去最大で、2022年9月以来の低水準となった。価格の見通しDIも最大の下げ幅で、前月から24ポイント低下の35。21年9月以来の水準に下がった。いずれも均衡水準の50を下回り、市場関係者の間ではコメ不足が解消に向かうとの見方が強まっている」

 

向こう3カ月の主食用米の価格見通しDIは、最大の下げ幅になった。前月から24ポイント低下の35である。21年9月以来の水準に下がった。「コメは高い」という認識が、ようやく是正に向う。消費者にとっては、待望の見通しとなった。5段階もある流通網が、投機を繰返してつり上げてきた米価はついに正常化へ向う。こうなると、投機筋は早く「手仕舞い」するという勢いが強まり、市場の動きは「売り勢力」が一段と強まる。これからは、面白いように下がるであろう。「コメ・バブル」が崩壊した。

 

(2)「農林水産省が、随意契約によって備蓄米を放出したことが影響した。政府は店頭価格の高止まりを受け、56月に随契で50万トンの追加放出を決めた。3~4月の競争入札分31万トンと合わせて計81万トンを売り渡す。国内のコメの月間消費量は60万トン程度とされ、すべて売り渡せば1.35カ月分のコメが追加で市場に流れることになる。調査に回答した市場関係者の半分が市況を判断するにあたって主に考慮した要因として「国の政策」を挙げた。米穀機構の担当者は「政策がここまで調査結果に影響したのは初めて」と説明する」

 

政府の強硬姿勢が、投機筋を震え上がらせたのだ。農水省の市場実態調査も入っている。虚偽申告すれば罰則もあるだけに、状況はこれまでの局面から一転する。もはや、「甘い汁」を吸えなくなる。

 

(3)「需給動向を敏感に映す卸間取引(スポット)価格は、下落が鮮明だ。代表的な新潟県産コシヒカリは6月30日時点で玄米60キログラム3万4250円前後と前週から1750円(5%)下落した。値下がりは5週連続で、23月のピークからは33%値下がりしている」

 

6月30日時点で、玄米60キログラム3万4250円前後(5キロ2854円)と23月のピークからは33%値下がりしている。先行き下落見通しが強まって、慌てて手仕舞いしているのだ。これから新米が出る9月に向けて、「古米」にならないうちに売りさばこうという動きが一段と高まるはずだ。消費者は、怨嗟の眼差しを向けて下落ぶりを眺めるであろう。