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経営的に余裕を持つトヨタ自動車は、世界的のEVメーカーが萎縮している時期を捉え、欧州で初のEV(電気自動車)の生産へ乗り出す。チェコで年産10万台規模、28年からの生産計画だ。

 

トランプ米大統領が、輸入自動車に15%の追加関税を課すなど、世界経済がブロック化に向かう中、グローバル企業が供給網の分散に動き出す。トヨタは現在、世界で5車種の自社開発EVを販売している。これまでは、日本と中国でのみ生産していたが、生産拠点を5カ国に拡充することで為替や関税リスクを回避する。輸送のリードタイムが短くなるため、より早く顧客に車両を届けられるようにもなる。

 

『日本経済新聞 電子版』(7月29日付)は、「トヨタがチェコでEV生産、欧州初 2028年にも年10万台規模」と題する記事を掲載した。

 

トヨタ自動車が、2028年にも欧州で電気自動車(EV)の生産を始めることが29日、わかった。チェコの子会社で年間10万台規模を生産する見込みで、欧州では初の現地生産となる。環境規制が進む欧州では新車販売の15%程度をEVが占めている。足元ではEV需要が低迷する中でも将来の普及を見据えて生産体制を拡充する構えだ。

 

(1)「多目的スポーツ車(SUV)の生産を始めるとみられる。トヨタは、26年までに欧州で新型車を含めEV14車種を投入する方針を明らかにしている。新しく投入する車種にはSUV「C-HR+(プラス)」やトヨタ初の量産EVの新型「bZ4X」などが含まれる」

 

C-HR+は、最大で約600kmの航続距離とされる。bZ4Xについては、最大航続距離が約567kmである。トヨタは、性能面で競争力を強化するため、充電効率やバッテリーのプレコンディショニング(急速充電を最適化する技術)を導入している。また、デザインや信頼性、長年の技術への信頼も競争力の一部と捉えている。欧州市場は、航続距離だけでなく、充電時間や利便性、ブランド力が選ばれる要素とされている。

 

(2)「足下のEVへ需要は、伸び悩んでいる。24年の欧州域内主要31カ国のEV販売は23年比で1%減の199万台で、新車販売に占めるEV比率は23年の15.%から15.4%に下がった。もっとも、2%を下回る日本に比べると一定程度普及している。欧州連合(EU)では、35年に合成燃料を除くエンジン車の新車販売を原則禁止する方針を掲げている。再生可能エネルギー由来の合成燃料を利用したエンジン車は継続販売可能なものの、こうした長期的な環境対応にも備える観点からも現地生産を進めることが最適と判断したようだ」

 

24年の欧州EV需要は、約200万台である。トヨタは、ここへ年産10万台で参入する。浸透している「トヨタ・ブランド」をバックに、「EVトヨタ」を売り込む。

 

(3)「トヨタは、欧州で35年に二酸化炭素(CO2)の排出を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」を達成する目標を掲げている。トヨタのEV販売は全体でも2%弱にとどまっており、これから生産・販売両面ともに拡充する必要がある」

 

トヨタは、EVのほかに商用での水素自動車や水素電池の普及に取組んでいる。こうして、トヨタの水素戦略は欧州で大きな注目を浴びています。特に商用車分野への普及を加速させる取り組みが際立っている。トヨタは、水素充填ステーションのインフラ拡大に注力しており、フランスのHRSやENGIEと協力して欧州全域に水素ステーションネットワークを展開する契約を締結した。

 

大型商用車用の次世代燃料電池システムも開発中で、短時間の水素充填で長距離走行が可能になる技術を搭載している。環境負荷を削減しつつ、商用モビリティの持続可能性を実現する戦略だ。こういうトヨタの総合的戦略は、欧州で高い評価となって結実している。EV販売でも、この企業イメージがプラスとなろう。