中国とヨーロッパを結ぶ国際貨物列車「中欧班列」は、今年に入って不振が続いている。ロシア経済が停滞しているからだ。ロシアのウクライナ侵攻が始まって、今年2月で満3年を経た。戦争経済は3年が限界とされるので、ロシア経済に息切れが出て当然である。
『東洋経済オンライン』(8月4日付)は、「中国発国際貨物列車、不振が示すロシア景気悪化」と題する記事を掲載した。これは、中国『財新』の転載記事である。
中国とヨーロッパを結ぶ国際貨物列車「中欧班列」の不振が続いている。
(1)「中国の国有鉄道である中国国家鉄路集団(国家鉄路)が7月16日に公表したデータによれば、中欧班列の2025年上半期(1~6月)の運行本数は前年同期比3.3%減少。貨物輸送量は同7.4%減少した。進行方向別では(中国製品の輸出を担う)往路の不振が目立つ。上半期の往路の運行本数は前年同期比16.6%減、貨物輸送量は20.3%減にとどまった」
中国からロシア行き鉄道貨物輸送量が上期で、2割の減少になっている。中欧班列の運賃は、船便の2~3倍高いとされるので、貨物運賃コスト高が問題になれば減少するのは当然だ。ロシア経済は、戦争経済下で大きな痛手を受けているので、その影響が出たもの。
(2)「中欧班列の運行本数と貨物輸送量は、2025年初めから6ヶ月連続で前年同月を下回り続けている。その裏には、中欧班列の貨物輸送量の約9割を占めるロシア向けが大きく落ち込んでいることがある。「上半期の不振は、ロシア政府が中国製自動車の輸入を実質的に制限する措置をとったことに加えて、ロシアの景気後退で購買力が低下している影響が大きい」。中国のあるフォワーダー(貨物運送代理業者)の経営者は、財新記者の取材に対してそう述べた」
ロシアの実質GDPは、今年1~3月期に1.4%に低下した。昨年10~12月期の4.5%から急減速である。これでは、中欧班列の運行本数や貨物輸送量が減少して当然である。
(3)「2022年2月にロシアがウクライナに侵攻して以降、ロシアは中国製品の輸入を急拡大し、それが中欧班列の貨物輸送量拡大を支えていた。ところが2025年に入ると、“ロシア特需”の息切れがはっきりしてきた」
米国が、ロシアへ8月8日を期限に停戦を要求している。これに対して、ロシアがどう対応するかは不明である。停戦に応じなければ、ロシア産原油輸入国へ「二次制裁」として100%関税を掛けるとしている。ロシアは、ますます苦境に立たされる。
(4)「ロシア企業は今、政府財政の逼迫、資金調達の困難、消費者の購買力低下、過剰在庫など多数の問題に直面している」。前出のフォワーダーの経営者はそう指摘する。さらに、6月から8月にかけてはもともとロシアの休暇シーズンだ。ロシア企業で多数の従業員が長期休暇を取り、生産活動や物資調達が停滞していることも、中欧班列の不振に拍車をかけているという」
ロシアは、長い夏休みの習慣がある。その影響は、ハッキリと出るだのろう。
(5)「国家鉄路が、ヨーロッパ行き国際貨物列車のブランドを「中欧班列」に統一したのは2016年のことだ。それ以来、中欧班列の貨物輸送量は2024年まで右肩上がりで伸び続けていた。なかでもロシア特需がピークに達した2024年は、年間の運行本数が1万9392本と前年比10.7%増の2桁成長を記録した。だが、ロシア向け貨物輸送が大幅な減少に転じた今、その穴を埋められる需要は見当たらない。前出のフォワーダーの経営者は、今後について次のような見方を示した。「中欧班列の低迷は、ロシアとウクライナの戦争が終わるまで打開できないだろう」と指摘」
中欧班列の貨物輸送量は、2024年まで増え続けた。25年に入ってからは一転して減少である。ロシアGDPの動きと軌を一にしている。興味深い動きだ。


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