
中国は、世界最大の推定埋蔵量を誇るレアアースの優越的地位を生かし、西側諸国と対抗する砦にしている。今年4月には、17品目のうち、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウムの7つについて供給制限を打ち出しているほどだ。「最後の砦」を死守する構えである。このレアアースが、西側諸国へのマジノ線とは中国経済の底の浅さを示している。日本が26年1月、南鳥島沖の深海でレアアースの試験操業を始める。そうなれば、中国は「三日天下」に終るのだ。
『東洋経済オンライン』(9月9日付)は、「中国政府、レアアースの『生産・流通』を一元管理採掘・精製に加えて原料輸入や製品販売も統制」と題する記事を掲載した。この記事は、中国『財新』の転載だ。
中国政府はレアアースを戦略物資に位置付け、管理の厳格化を進めている。中国政府はレアアース(希土類)の生産・流通の管理を強化する新たな規制を導入した。レアアース業界を所管する工業情報化省、国家発展改革委員会、自然資源省が共同で「レアアースの採掘および分離精製に関する総量調整管理の暫定弁法」を発表し施行した。
(1)「この新規制は、2012年に施行された旧規制の対象範囲を拡大するものだ。従来のレアアースの採掘および分離精製のプロセスに加えて、新たにレアアース原料の輸入や(販売した)レアアース製品の利用状況のトレースを追加。業界の川上から川下まで全プロセスに目を光らせる姿勢を打ち出した。新規制の施行により、関連企業はレアアース製品の流通情報を正確に記録し、所管当局が設置する「レアアース製品トレース情報システム」に毎月10日までに入力することが義務づけられる」
従来のレアアース輸出は、抜け穴だらけであった。密輸も多く、海外へ輸出規制をしても効果が上がらなかった。こうした失敗に懲りて、完全な管理体制を敷いている。「ネズミ一匹」逃さない体制だ。米国の高関税へ対抗する唯一の手段である。
(2)「この措置は、2024年10月に施行された「レアアース管理条例」の内容を具体化したものでもある。同条例はレアアースの採掘および分離・精製プロセスに(生産量の上限枠を定める)総量規制を適用するとともに、レアアース製品のトレース制度の策定による流通管理の厳格化を定めた。工業情報化省は2025年2月、レアアース製品の流通情報トレース制度の草案を公表し、パブリック・コメントを募集。一定の条件を満たした関連企業に対して先行導入を奨励していた。今回施行された新規制には、ルール違反が発覚したり行政処分を受けたりした関連企業の生産枠を削減する罰則も盛り込まれている」
アラブ諸国は、原油輸出が生命線である。中国はレアアースが、その役割を果している。中国が、技術面の脆弱さをレアアースでカバーしている姿は、米国覇権へ対抗するにしては「役不足」の感を否めない。
(3)「中国の関連企業が、海外から輸入しているレアアース原料も、今回初めて管理対象に組み込まれた。新規制には、輸入原料を使ったレアアース製品の生産にも総量規制が適用される旨が明記されている。財新記者の取材に応じた業界関係者によれば、中国のレアアース鉱山は長年の採掘を経て鉱石の品位が低下しており、レアアース製品の生産企業はミャンマーやベトナムなどからの輸入で原料不足を補っている。また、中国の分離精製工場の生産能力拡大により国内産の原料だけでは供給が足りず、(設備稼働率を上げるために)海外から輸入せざるをえない事情もあるという」
レアアース資源は、世界中に賦存している。ただ、採掘に当たって環境破壊をもたらすことが難点である。中国は、それをものともしない「蛮勇」を振るっている。
(4)「海関総署(税関)の貿易統計によれば、2025年1月から7月までの期間に中国が輸入したレアアース精鉱は2万4000トン、レアアース精製品は4万4000トンに上った。中国政府はレアアースの戦略的価値を重視し、業界に対する規制強化を重ねてきた。2007年に採掘および分離精製プロセスへの総量規制を導入し、2016年には全国の関連企業を整理統合して6つの国有企業グループを形成する業界再編を断行。国家主導のレアアース統制を強めている」
中国は、ハイテクで競うのでなく地下資源で勝負しようとしている。短期的には勝利を得ても、イノベーションには勝てないのだ。そういう歴史の教訓を見落としている。

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