中国の8月の消費者物価指数が、6カ月ぶりの大幅な下落となった。前年比で0.4%下落である。8月1日から大型耐久消費財(100万円未満)の消費者ローンでは、1%分の政府補助金が付いている。その効果はまだ出ていない。雇用不安下で、高額商品を購入するムードにならないのだろう。8月の生産者物価指数は、政府の値下げ競争抑制効果が出て、前年比マイナス2.9%と7月(同マイナス3.3%)よりも下落幅が少し和らいだ感じである。
中国の需要は、底冷え状態にある。8月は、消費者物価も生産者物価もそろってマイナスへ落込んでいる。経済は「瀕死の重傷」を負っているが、この先どうなるのか。誰も確たる見通しを持てない状態だ。習近平氏は、自らの政策が招いたこの事態に、どのような思いでいるのか。責任を感じているのかどうか。天安門広場で、軍事パレードを派手に行なっている経済的な余裕はないはずだ。
中国のGDPデフレーターは、2年連続のマイナスである。このGDPデフレーターは、中国物価を総合した指標である。それが、マイナス状態であるのは「経済的非常時」を示す。今年でマイナス3年目に入っており、1970年代後半の中央集権的な計画経済からの移行開始以降で初めてだ。同デフレーターは、すでに9四半期連続のマイナスである。需給の不均衡が、企業のバランスシートを圧迫している。
『ロイター』(9月10日付)は、「中国PPI、8月は反内巻で下落鈍化 CPI半年ぶり大幅下落」と題する記事を掲載した。
中国の8月の物価指標は、消費者物価が6カ月ぶりの大幅な下落となった一方、生産者物価のデフレは和らいだ。主要産業で過当競争や値下げを抑制する当局の取り組みが実を結び始めていることを示唆した。
(1)「国家統計局が10日発表したデータによると、8月の生産者物価指数(PPI)は前年比2.9%下落。マイナス幅は前月の3.6%から縮小し、エコノミスト予想と一致した。6月から7月にかけて始まった「反内巻(過当競争の是正)」の効果が出始めている」との指摘も出ている。ただ、「継続的な上昇サイクルはまだ先のことだ」とし、企業が痛みを伴う生産能力の制限をまだ完全には実施していないことや、世界経済の減速を指摘している」
支払手形サイト60日規制が、6月から始まっている。罰則を伴うので、これまでの野放図な過剰生産へ歯止めとなろう。ただ、すぐにこの規制をクリアできるのは困難である。それでも罰則規定があるので過剰生産を抑制すれば、いずれは生産者物価の下落に効果を現すであろう。
(2)「当局はこのところ、主要産業に過当競争の縮小を求める声を強めている。自動車産業では長年の価格競争が大手自動車メーカーの財務指標に悪影響を及ぼしている。中国では生産者物価のデフレが3年近く続き、消費者信頼感の低迷や米国の貿易政策による不確実性にも直面する製造業者の利益を圧迫している」
中国製造業で、最大の値下げ競争を繰り広げているのが自動車である。いまだに、値下げ競争で矛を収めないのは、資金繰り上で過剰設備→過剰生産状態から抜け出せないのであろう。世界最大の自動車市場が、苦しさの余りのたうち回っている構図だ。
(3)「8月の消費者物価指数(CPI)は、前年比0.4%下落。キャピタル・エコノミクスの中国エコノミストは、マイナス圏への逆戻りは「不安定な食品価格を反映している」と述べた。また、「需要喚起策が物価押し上げに寄与したようだが、政府のインフレ目標には程遠い」と述べた。政府は8月、消費者向けサービスを手掛ける業種や個人に対し、銀行融資の利子の1%分を補助すると発表した」
政府は、個人向けの補助措置も行なう。自家用車や電子製品など、5万元(約100万円)未満の物品購入のローンについて1%ポイント分の利子を補助する。この不況下で、高額商品を買うのは勇気がいる。効果が出るのは、先の話であろう。


コメント
鉄鋼、車の国と地方からの投資補助、製品の購入補助
無駄になるのかね。
稼働率が低い工場を閉鎖できるのでしょうか?
日産のこともあるから何とも言えないけど
工場周辺の経済圏の消滅はさらに失業増大!
習さんとしては戦争のため製造技術は維持したいでしょうけど
さてさて、国有・国営だと赤字の垂れ流しかになるのかな?
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