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ドイツ自動車業界は、EV(電気自動車)戦略の失敗で工場閉鎖や従業員解雇など厳しい局面に立たされている。自動車が、ドイツ基幹産業だけに停滞は、経済失速を招く危機へ繋がる。メルツ首相は9日、ミュンヘンで開催された自動車ショー「IAAモビリティ」で演説し、ドイツは自動車業界の電動化への移行を主導すべきであり、後れを取ってはならないと力説した。日本は、政府と無関係にトヨタやホンダが自主的にEV戦術を練っている。日独には、これだけの大きな違いがみられる。

 

『ロイター』(9月10日付)は、「ドイツ首相、自動車業界に『変革主導』呼びかけ」と題する記事を掲載した。

 

メルツ首相は自動車産業がドイツ経済にとっていかに重要であるかを強調し、過剰な規制が深刻なリスクをもたらしていると指摘。

 

(1)「われわれは、自動車産業の変革に追随するのではなく、その変革を主導していきたい」とし「この変革に潜む大きな機会を、ドイツの自動車産業、さらにはドイツ全体のために生かしていきたい」と述べた。メルツ首相は今後4~6週間以内に自動車メーカーやサプライヤーなど業界関係者とのサミットを開催し、業界が直面する課題について話し合う計画を明らかにしている」

 

ドイツ自動車業界が現在、直面している最大の要因はEV戦略の失敗である。ガソリン内燃機関から一挙にEVへ移行すると想定して戦略を立てていたのだ。これが失敗した。耐久消費財には、共通なマーケッティング上の「蹉跌」が起こる。「ギャズム」(溝)と呼ばれるもので、普及率16%台へ達した段階で販売の勢いが止まるもの。これは、新技術に必ず「落し穴」があって、ユーザーはそれを忌避して購入を見送るのだ。

 

EVでも、このギャズムが起こり販売は頓挫した。理由は、リチウムイオン電池の持つ固有の欠陥だ。

1)走行距離が500キロメートル程度。

2)充電時間が長時間を要する。

3)火災事故の発生多発。

 

こういう欠陥を抱えるリチウムイオン電池に代って、次世代型電池「全固体型電池」の登場を待たなければならない。これが、世界共通の認識である。

 

ドイツでは、全固体電池の開発が遅れている。この分野のトップランナーは、トヨタである。商用化時期は、EV人気が世界的に高まる時期を想定している。当初は、2027年頃を想定していたが、これより遅れる見通しが強まっている。ドイツの自動車産業が復活するには、全固体電池が実用化される時期の到来に依存している。少なくも、2030年の声を聞くまでは困難であろう。

 

ドイツは、EVに代るHV(ハイブリッド車)技術が十分に育っていないというハンディキャップを背負っている。ガソリン車から一足飛びにEVへ向うという「単線予想」であった。トヨタは、「複線=全方位予想」であらゆる技術開発を目指して研究を重ねている。今や、トヨタの独走態勢である。トヨタは、26年前半に米国市場で販売首位に立つ見込みだ。ドイツは戦略ミスによって、トヨタから大きく離される事態となった。

 

中国自動車業界は、過剰生産によって値引き合戦を繰返し、体力消耗戦を繰り広げている。政府が6月から「支配手形60日規制」によって資金繰り面から、過剰生産を止める手立てを講じるほど乱戦状態にある。中国も「自滅状態」に向っている。