米商務省経済分析局(BEA)は先週、4~6月期の実質GDP(国内総生産)統計を季節調整済み年率換算で前期比3.8%増に上方修正。米経済が、1~3月期のマイナス成長から回復したことを明らかにした。これを受けて、ホワイトハウスとウォール街は沸き立った。だが、先週のBEA報告に埋もれていたのは、GDPよりも信頼性がはるかに高い経済指標「総生産(gross output=GO)」だ。これが、実質1.2%の伸びにとどまったことから、にわかに先行きへの警戒感が出てきた。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』(9月29日付)は、「米GDP統計に隠れた『景気後退の警告』」と題する寄稿を掲載した。筆者のマーク・スカウセン氏は、チャップマン大学の自由企業に関する寄付講座教授である。
先週の米商務省経済分析局報告に埋もれていたのは、GDPよりも信頼性がはるかに高い経済指標「総生産(gross output=GO)」だ。これは生産の全ての段階における支出を測るもので、4~6月期のGOは年換算で推計63兆ドル(約9400兆円)に上り、30兆ドル規模のGDPの2倍超に相当する。
(1)「GOは、経済成長がほとんど停滞し、実質1.2%の伸びにとどまったことを明らかにしている。卸売・小売業の全取引を含めると、調整後のGOはわずか0.3%増だった。さらに重要なのは、全体の企業支出が年率で実質5.6%減と、大幅に落ち込んだことだ。これらの結果は、労働市場の弱さを示す統計とはるかに整合性が取れている」
GDP(国内総生産)は、最終財・サービスの付加価値を測る指標であり、消費中心の経済像を描く。GO(総生産)は、サプライチェーンのすべての段階での売上や支出を含むため、企業活動の全体像を捉えることが可能だ。米国では、GOがGDPの約2倍の規模を持ち、企業支出の変動をより敏感に反映するため、景気の先行指標として信頼性が高い指標だ。先行性は3~6ヶ月である。4~6月期GOは、全体の年率で実質5.6%減であった。遅くとも、年内に米国景気がピークに達する見通しだ。
(2)「個人消費と企業支出の間に大きな差が出ているのは、2008年の金融危機以来だ。個人消費は依然として堅調(実質2.6%増)だが、企業は主に関税引き上げと貿易戦争の不透明感が重荷となり、支出を抑制している。企業支出は4四半期連続で堅調に伸びた後、4~6月期に減少に転じた。民間設備投資は持ちこたえているが、いつまで続くだろうか」
GDPは、消費中心の経済像を描く。GOは、サプライチェーンのすべての段階での売上や支出を含むため、企業活動の全体像を示している。経済過程は、生産→消費である。GO→GDPというプロセスになる。
(3)「だが、考えてみると、個人消費は経済成長の鍵となる要素ではないのだろうか。ヤフーファイナンスでは、「個人消費は米経済活動の約3分の2を占め、米経済の見通しを示す重要な指標」とされている。経済活動の3分の2を消費が占めるという考え方は、経済学における大きな迷信の一つであり、国民所得勘定の誤った解釈に基づいている。個人消費はGDPの3分の2を占めるが、GDPは完成品または最終財・サービスのみを測定している。サプライチェーン(供給網)の価値は除外されており、それはGDP自体より大きい」
GDPは、完成品または最終財・サービスのみを測定している。だが、サプライチェーン(供給網)の価値は除外されている。それは、GDP自体よりも大きいのだ。
(4)「GOは、個人消費が経済活動に占める割合が3分の2ではなく、3分の1に過ぎないことを示している。企業支出は個人消費のほぼ2倍で、振れ幅が大きい主要指標の一つだ。企業がブレーキを踏めば、雇用の伸びは鈍化し、リセッション(景気後退)が起きる。GOを、国民所得勘定の一番上に書かれる「トップライン」、GDPを一番下に書かれる「ボトムライン」と考えよう。GOは「生産」の経済、GDPは「最終消費」の経済を計測する。GDPは好調に見えるが、GOは赤信号ではないにせよ、黄信号を出している。
BEAはこの重要な統計を重視・推進するとともに、GDPデータと同時に公表すると約束している。早ければ早いほど良い」
GOは「生産」の経済、GDPは「最終消費」の経済を計測する。GDPは好調に見えるが、GOは赤信号ではないにせよ、黄信号を出している。米国経済が警戒信号を灯していることに注意すべきだ。


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