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米国は9月末で、電気自動車(EV)購入時に最大7500ドル(約110万円)の税額控除制度を終了した。これに伴い、自動車業界はEV販売が激減する事態を覚悟している。米国でEVへ大きく傾斜していた企業は、文字通り「大型爆弾」炸裂である。ただ、トヨタ自動車はEVよりも、HV(ハイブリッド車)が過渡期の電動化自動車に最適と位置づけてきたので、今回の措置でも被害は軽微。むしろ、HVは好売行きである。

 

『ロイター』(10月2日付)は、「米EV市場、税控除終了で崩壊の恐れ 各社が対応急ぐ」と題する記事を掲載した。

 

米国で電気自動車(EV)購入時に最大7500ドル(約110万円)の税額控除が適用される制度が9月末で終了した。これに伴い、業界は国内のEV販売が激減する事態を覚悟している。フォード・モーターのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)は、税額控除終了の数時間前にデトロイトのイベントで「状況を一変させる事態だ」と話した。

 

(1)「ファーリー氏は、米自動車販売全体に占めるEVの比率が10月は5%に落ち込んでも驚かないと述べた。税額控除打ち切り前の駆け込み効果があった8月の半分程度に過ぎず、過去数年で最も低い。日産アメリカズのクリスチャン・ムニエ会長は「(米国の)EV市場は10月に崩れ落ちるだろう」と警告した。日産自動車は小型EV「リーフ」の新型車を米国へ投入しようとしている」

 

EV市場は、10月に崩れ落ちると不吉な予測である。補助金110万円が消える以上、EV販売には大きなブレーキとなる。

 

(2)「9月末にインタビューに応じたムニエ氏は、買い手の争奪戦になると予想。「大量の在庫があるので競争は極めて激烈になる。われわれの競争相手は多くのEVを生産した」と語った。カリフォルニア大学バークレー校、デューク大学、スタンフォード大学の教授陣が昨年11月に実施した共同調査では、税額控除なしの場合、EV販売は27%減少する恐れがあるとの見通しが示された」

 

EV販売は、補助金がなくなれば27%も減少するという予測が出ている。企業間の販売競争は激しくなろう。

 

(3)「現段階でも米国のEV普及率は他の主要市場を下回っている。EVや車載電池、原材料の生産で世界の先頭を行く中国は、ここ数カ月で新車販売に占めるEVとプラグインハイブリッド車(PHV)の比率が40%を超えた。欧州の普及率も20%近くに達する。一方、米国は税額控除があり、各社が相次ぎ新型車を投入したにもかかわらず、過去2年間EV販売の伸びは減速してきた。コックス・オートモーティブによると、今年上半期のEV販売台数の伸びは前年比わずか1.5%だった」

 

もともと、米国はEV人気が欧州ほど高くはなかった。今年上半期のEV販売台数の伸びは、前年比わずか1.5%である。EVメーカーは多くの在庫を抱えている。

 

(4)「一部の米販売店は、税額控除廃止で売れ残りが膨らむ事態を心配している。中西部の販売店グループで最高執行責任者(COO)を務めるスコット・キューンズ氏は、当面メーカーから仕入れるEVを減らし、消費者の需要動向を見定める方針だと明かした。同じ中西部ミズーリ州のセントルイス地域に販売店を所有し「シボレー」「ジープ」などのブランドを扱うブラッド・サワーズ氏は、比較的低価格のEVは売れ続けるだろうが、最上位モデルの価格が9万ドルに上るゼネラル・モーターズ(GM)の電動ピックアップトラック「シェビー・シルバラード」などの高級EVは苦戦を強いられるとみている」

 

比較的低価格のEVは、売れ続けるだろうという、だが、最上位モデルで価格9万ドル(約1300万円)以上のEVは、売れ足が鈍るとみられる。

 

(5)「現代自動車北米部門のランディ・パーカーCEOは、EVの25年型「アイオニック5」の価格を7500ドル、26年型は最大9800ドル値下げしていると説明。「IRAの前にEV市場はあったし、IRAがなくなった後も市場は存在し続ける」と述べた。スウェーデンのボルボ・カーのホーカン・サミュエルソンCEOは最近のロイターのインタビューで、政府の政策で戦略変更はしないと語った上で、「われわれが目指すのはEV企業であり、税額控除ないし他のインセンティブではなく、米消費者にとってより好ましいEVに依拠する」と強調した」

 

韓国現代自動車は、7500ドルから9800ドルと大幅な値下げをしている。「EV市場は消えない」とやせ我慢の発言をして、自らを叱咤激励している格好だ。