米国は9月末で、電気自動車(EV)購入時に最大7500ドル(約110万円)の税額控除制度を終了した。これに伴い、自動車業界はEV販売が激減する事態を覚悟している。8月は、税額控除打ち切り前の駆け込み効果があったが、10月のEV販売戦線は、総崩れという暗い予測に打ちひしがれている。日産アメリカズのクリスチャン・ムニエ会長は「(米国の)EV市場は10月に崩れ落ちるだろう」と警告するほどだ。
米国では、価格を引下げた廉価版EVの発売によって事態の打開が始まっている。テスラは7日、より手頃な価格の新型車を発表する見通しだ。価格は3万ドル(約440万円)台と従来から1〜2割程度安くなる見通しである。
『日本経済新聞 電子版』(10月8日付)は、「テスラが3万ドル台の廉価EV発表か 米で補助終了、顧客離れに危機感」と題する記事を掲載した。
テスラは、7日までにX(旧ツイッター)で新型車を発表することを予告した。同社が新型車を投入すれば2023年11月に発売した「サイバートラック」以来約2年ぶりとなる。
(1)「複数の欧米メディアによると、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がかねてより市場投入するとしてきた低価格EVを発表すると見られる。現在、最も売れている多目的スポーツ車(SUV)「モデルY」をベースに開発し、車体上部のガラスルーフをなくすなどして、価格を5000ドル〜1万ドル引き下げる見通しだ。同社は7月、低価格EVについて「6月から生産を開始し、25年後半に量産を開始する」と表明していた。発売地域や時期は明らかにしていないが、米国などで投入する可能性がある」
テスラは、車体上部のガラスルーフをなくすなどして、価格を5000ドル〜1万ドル引き下げる見通しだ。
(2)「同社の低価格EVを巡っては、24年4月にロイター通信により開発中止が伝えられた。その後、マスク氏は度々発売に言及したが、開発や生産が遅れていた。25年4月に同社は25年1〜3月期にモデルYの生産ラインを世界同時に切り替え、モデルYをベースにした低価格EVを準備していることを明らかにした」
テスラが、価格引下げの新車を発売するのは、モデルYをベースにした低価格EVである。価格を5000ドル〜1万ドル引き下げる。
(3)「テスラが、低価格EVを投入する背景には、中国勢との価格競争に加え、主力の米国でトランプ米政権がEVの新車購入に対する7500ドルの税額控除を廃止したことがある。モデルYは税額控除があれば3万ドル以下で購入できたが実質2割高となった。競合他社が値引きを続ける中、テスラは販売不振が続く。過去は米国で5割以上のシェアがあったが、8月に初めて4割を割り込んだ。新型EV投入で販売回復につなげる」
モデルYは、税額控除があれば3万ドル以下で購入できた。それが、実質2割高となったので売行きが落ちている。これをカバーすべく、低コストEVを発売する。値引きせずに正攻法で取り組む。
(4)「補助廃止でEV販売低迷が想定される中、競合他社も低価格シフトを鮮明にしている。米ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターは税額控除が終了した10月以降も米国でEVの値引きを続けているほか、3万ドル以下のEVで攻勢をかける。フォードは8月、中国の電池技術を採用して3万ドル以下のEVを開発すると発表した。日本勢や韓国勢も米国のEVで低価格戦略を進める。日産自動車が米国で投入した26年モデルのEV「リーフ」は2万9990ドルから購入できる。韓国の現代自動車も10月、米国で投入する26年モデルのEVについて2割程度値下げすると発表した」
GMやフォードは補助金廃止後、値引きで対応している。日産自動車は、米国で投入した26年モデルのEV「リーフ」が2万9990ドルから購入できる。現代自動車も、26年モデルのEVについて、2割程度値下げすると発表した。


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